司法書士試験に必須の民法の暗記項目を、わかりやすくまとめてみました。
参考になれば幸いです。
- 九州を拠点に自動車販売店を経営
- 2015年より金融系ブログ作成
- 2級ファイナンシャル・プランニング技能士
制限行為能力者
【特定の行為のみ単独で有効にできる】
- 単に権利を得、又は義務を免れる法律行為
- 処分を許された財産の処分(お小遣いも含む)
- 許された営業に関する行為
【精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況】
- 日常生活に関する行為以外は単独でできない
- 身分上の行為は単独でできる(婚姻・養子縁組・認知など)
【精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分】
- 13条1項+αの項目のみ単独でできない
- 代理権付与の申立てには、本人の同意が必要
【精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分】
- 家庭裁判所の審査により、13条1項の項目の一部を単独でできないようにできる(本人の同意が必要)
- 補助の申立には、本人の同意が必要
- 代理権付与の申立てには、本人の同意が必要
保護者の権限
代理権 | 同意権 | 追認権 | 取消権 | |
親権者 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
成年後見人 | 〇 | × | 〇 | 〇 |
保佐人 | △(付与の審判による) | 〇(13条1項+α) | 〇 | 〇 |
補助人 | △(付与の審判による) | △(付与の審判による) (13条1項-α) | △(同意権あり) | △(同意権あり) |
成年被後見人・被保佐人には、親権を行う能力はない
意思表示
意思表示
効果 | 第三者保護 | |||
原則 | 例外 | |||
不存在 | 心裡留保 | 相手方が善意無過失 有効 | 相手方が悪意有過失 無効 | 善意の第三者に 無効を主張できない |
通謀虚偽表示 | 無効 | |||
錯誤 | 表意者が無重過失 取消しできる | 相手方が悪意重過失/共通錯誤 取消しできる | 善意無過失の第三者に 取消しを主張できない | |
瑕疵 | 詐欺 | 取消しできる | 第三者詐欺で相手方が悪意有過失 取消しできる | |
強迫 |
代理
任意・法定代理の消滅原因
死亡 | 後見開始 | 破産手続 | 解除 | |
本人 | ◎(653)(111) | × | 〇(653) | 〇(651) |
代理人 | ◎(653)(111) | ◎(653)(111) | ◎(653)(111) | 〇(651) |
民法110条の表見代理の要件・効果
- 本人が代理人に代理権(基本代理権)を授与したこと
- 代理人が基本代理権の範囲を超えて代理行為をしたこと
- 相手方がその代理人に代理権があると信じたことに正当事由があること
無権代理人の責任
- 取引の安全を図り、代理制度の信用を維持するために無権代理人に法定の重い責任を負わせた
- 無権代理人は、自己に代理権があると思い、かつ、そう思うことについて過失がなかった場合でも、本条の責任を負わなければならない(無過失責任)
- 損害賠償責任の内容は、履行利益の損害賠償である
- 表見代理が成立する場合でも、相手方は表見代理と無権代理の責任を選択的に主張できる
無権代理人は表見代理の成立を主張して自己の責任を免れることができない - 代理権の不存在を相手方が過失によって知らなかった場合であっても、無権代理人が自己に代理権がないことを知っていたときは、相手方は無権代理人の責任を追及することができる
条件・期限
条件の種類 | 効力 | |
条件がすでに成就 | 停止条件 | 無条件 |
解除条件 | 無効 | |
条件が不成就に確定 | 停止条件 | 無効 |
解除条件 | 無条件 |
条件と期限
将来それが発生するかどうかわからない事実(合格など)
将来到来することが確実な事実(死亡など)
時効の更新(承認)
管理能力がある被保佐人や被補助人は単独で承認することができますが、管理能力がない未成年者や成年被後見人は単独で承認することができません。
消滅時効の客観的起算点
- 【確定期限ある債権】
期限到来時 - 【不確定期限ある債権】
期限到来時 - 【期限の定めなき債権】
債権の成立ないし発生時 - 【返還時期を定めない消費貸借に基づく返還請求権】
・催告があるとき→催告後相当期間経過後
・催告がないとき→契約成立時から相当期間経過後 - 【停止条件付債権】
条件成就のとき - 【解除条件付債権】
条件成否未定の間でも時効は進行する - 【債務不履行による損害賠償】
債権本来の履行を請求しうる時から - 【無権代理行為の追認によって発生した請求権】
追認の時から - 【不法行為債権】
不法行為の時
時効
物権
物権的請求権と占有訴権の比較
- 物を奪われた場合
・物権的返還請求権=奪われた原因を問わず行使できる
・占有回収の訴え=占有を侵奪された場合のみ認められる - 侵奪者の特定承継人
・物権的返還請求権=善意の特定承継人に対しても行使できる
・占有回収の訴え=占有を侵奪した者の善意の特定承継人に対して提起することができない - 行使期間
・物権的請求権=行使期間の制限はない
・占有訴権=行使期間の制限がある
解除前後の第三者との関係
- 解除前に第三者が現れた場合、第三者が先に登記をした場合、本人は第三者に対抗することはできない
- 解除後に第三者が現れた場合、二重譲渡と考えて、先に登記した方が対抗力を持つ
取消しと登記
取消し前の第三者 | 取消し後の第三者 | |
制限行為能力 | 登記なくして第三者に対抗できる | 対抗関係 |
詐欺 | 善意無過失の第三者には対抗できない | 対抗関係 |
強迫 | 登記なくして第三者に対抗できる | 対抗関係 |
解除と第三者
- 解除前に第三者が現れた場合、第三者が先に登記をした場合、本人は第三者に対抗することはできない
- 解除後に第三者が現れた場合、二重譲渡と考えて、先に登記した方が対抗力を持つ
取得時効完成と第三者
- 時効取得者は、時効完成前の購入者に対して、登記なくして対抗できる
- 取得時効完成後に現れた場合、先に登記を備えた方が対抗力を備える
登記請求権はどれか1つではない
- 物権の効力として生じる
- 登記と実体の不一致を除去するため
- 物権変動の事実から生じる
- 変動過程を忠実に登記する要請があるため
- 登記手続をする特約から生じる
- 当事者の合意があるため
添付
添付の種類
付合 | 混和 | 加工 | ||
不動産 | 動産 | |||
添付の態様 | 不動産 | 動産 | ||
動産 | 工作 | |||
所有権の帰属 | ①不動産の所有者 | ①主従の区別がある場合 →主たる動産の所有者 | ①材料の所有者 | |
②他人が権限により付属させたとき →その他人 | ②工作により生じた価格が著しく材料の価格を超えるとき 及び 加工者が材料の一部を提供した場合、その材料の価格と工作によって生じた価格の合計が、他人の材料の価格を超えるとき →工作者 | |||
②の2強い付合 →不動産の所有者 | ||||
②主従の区別がない場合 →当時の動産の価格に応じて共有 |
地役権
要役地が共有の場合
消滅 | 単独では消滅させることができない(承役地共有含む) |
時効完成(取得時効) | 共有者の一人の時効完成は共有者全員に効力を生じる |
更新・完成猶予(取得時効) | 共有者の一人に対する時効の更新・完成猶予は全共有者に効力を生じない |
消滅時効 | 共有者の一人による時効の更新・完成猶予は全共有者に効力を生じる |
抵当権
借地権と抵当権
借地権が賃借権の場合、借地権に抵当権を設定することはできない。
借地権が地上権の場合には、地上権に抵当権を設定することができる。
借地上に自分の建物がある場合、借地権が賃借権か地上権かにかかわらず、その建物に抵当権をつけることがでる。
法定地上権
法定地上権は、競売によって土地と建物の所有者が別々になったときに成立し、建物所有者(建物の競落人など)が土地を利用することを認める権利。
法定地上権が成立すると、土地の利用権が奪われるので土地の所有者・抵当権者にとって不利益だが、建物の所有者・抵当権者にとって利益になる。
法定地上権は建物所有のためのものであり、借地借家法(存続期間30年)の適用を受け、建物が滅失しても法定地上権は消滅しない。
抵当権の譲渡・放棄
抵当権の | 抵当権の順位の | |||
譲渡 | 放棄 | 譲渡 | 放棄 | |
受益者 | 無担保債権者 | 後順位者担保権者 | ||
要件 | 抵当権者と 無担保債権者の合意 | 先順位者担保権者と 後順位者担保権者の合意 | ||
上記両者の債務者が同じ | 同じ不動産上の抵当権であればよく、 必ずしも同一の債務者であることを要しない | |||
効果 | 受益者優先 | 按分比例 | 受益者優先 | 按分比例 |
上記両者以外に影響なし |
担保権を消す請求
抵当権・不動産先取特権・不動産質権 | 確定後根抵当権 | |||
代価弁済 | 抵当権消滅請求 | 根抵当権消滅請求 | 極度額減額請求 | |
物上保証人 | 〇 | 〇 | ||
所有権 第三取得者 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
地上権 取得者 | 〇 | 〇 | ||
永小作権・対抗賃借権 取得者 | 〇 | |||
設定者 | 〇 |
根抵当権の処分・移転
確定前 | 確定後 | |||
転抵当 | 〇 | 〇 | ||
債権の質入れ | 〇 | 〇 | ||
債権の差押え | 〇 | 〇 | ||
根抵当権の譲渡・放棄 | × | 〇 | ||
根抵当権の順位の譲渡・放棄 | × | 〇 | ||
債権譲渡による移転 | × | 〇 | ||
代位弁済による移転 | × | 〇 | ||
根抵当権特有 | 全部譲渡 | 〇 | × | |
分割譲渡 | 〇 | × | ||
一部譲渡 | 〇 | × | ||
共有者の権利移転 | 〇 | × |
債権
債権者代位権と詐害行使取消権
債権者代位権 | 詐害行使取消権 | |
場面 | ・債務者が自分の財産を減少させる行為を放置 | ・債務者が自分の財産を減少させる行為 |
債権の範囲 | ・履行期 | ・詐害行為前に発生しているもの |
債務者の資力 | ・無資力であることが必要 | ・必ず無資力 |
権利の対象 | ・財産権〇 ・身分行為× | ・財産権〇 ・身分行為× |
行使方法 | ・裁判上か否かを問わない ・相手方の主観は問わない | ・裁判のみ行使可能 ・債務者・受益者or転得者が悪意 |
行使の範囲 | ・代位債権者の債権額を超えて行使可能 ・金銭債権は債権額が限度額 | ・債権額が限度額 |
行使の相手 | ・債務者 | ・受益者or転得者 |
消滅時効 | ・なし | ・知った時から2年 ・行為から10年 |
債権者代位権と通知
- 債権の譲受人は、債券譲渡の通知を譲渡人に代位して行使することはできない
- 債権の譲受人は、譲渡人に対して債権譲渡の通知請求権を有し、譲受人から更に債権の譲渡を受けた者は、これを代位行使できる
保証人
通常保証 | 連帯保証 | 連帯債務 | |||||||
事例 | 債権者A | 債権者A | 債権者A | ||||||
↓90 | ↓保証 | ↓保証 | ↓90 | ↓保証 | ↓保証 | ↓90 | ↓90 | ↓90 | |
債務者B | 保証人C | 保証人D | 債務者B | 連保C | 連保D | 連務B | 連務C | 連務D | |
負担部分 | 45 | 45 | 45 | 45 | 30 | 30 | 30 | ||
A請求額 | 90 | 45 | 45 | 90 | 90 | 90 | 90 | 90 | 90 |
分別の利益あり | 分別の利益なし | ||||||||
C→A 90支払 | C→B90求償可 | C→B90求償可 | C→B30求償可 | ||||||
C→D45求償可 | C→D45求償可 | C→D30求償可 | |||||||
C→A 21支払 | C→B21求償可 | C→B21求償可 | C→B7求償可 | ||||||
C→D求償不可 | C→D求償不可 | C→D7求償可 | |||||||
自己負担部分を超える弁済をすれば求償可 |
請負において誰が損するか?
請負人に責任あり | 注文者に責任あり | 双方に責任なし | ||
仕事完成前の 滅失・損傷 | 期限までに 完成可能 | 請負人は仕事完成義務の履行を拒絶できない | ||
増加費用は 請負人の負担 | 損害賠償請求 | 増加費用は 請負人の負担 | ||
期限までに 完成不可能 | 請負人は仕事完成義務の履行を拒絶できる | |||
・損害賠償請求 ・契約解除可 | ・報酬支払の履行拒絶不可 ・契約解除不可 | ・報酬支払の履行拒絶可 ・契約解除可 | ||
仕事完成後の 滅失・損傷 | 請負人は仕事完成義務の履行を拒絶できる | |||
・損害賠償請求 ・契約解除可 | ・報酬支払の履行拒絶不可 ・契約解除不可 | ・報酬支払の履行拒絶可 ・契約解除可 |
委任契約の解除
原則 | ・いつでも解除できる |
例外 解除できない | ・任意解除権放棄の特約がある場合 ・受任者にも利益がある場合 |
例外の例外 解除できる | ・受任者が著しく不誠実な行動に出るなどやむを得ない事由がある場合 ・やむを得ない事由がない場合であっても、 委任者が委任契約の解除権自体を放棄したものと解されない事情がある場合 |
委任契約の損害賠償
原則 損害賠償しなければならない | ・相手方の不利な時期に委任を解除したとき ・受任者の利益を目的とした委任(除く専ら報酬)を解除したとき |
例外 損害賠償は不要 | ・やむを得ない事由があるとき |
損害賠償請求権
項目 | 期間 | 起算点 |
債務不履行に基づく 損害賠償請求権 | 5年 | 権利を行使できることを知った時 |
10年 | 権利を行使できる時 | |
不法行為に基づく 損害賠償請求権 | 3年 | 損害・加害者を知った時 |
20年 | 権利を行使できる時 | |
生命・身体の侵害による 損害賠償請求権 | 5年 | 知った時 |
20年 | 権利を行使できる時 | |
賃貸借・使用貸借 | 1年 | 貸主が貸借物の返還を受けた時 |
親族法
認知者の意思に基づかないときは、事実上の親子関係があるときでも、認知は無効となる。
嫡出否認の訴え
- 嫡出推定される嫡出子との、法律上の父子関係を否認するための裁判手続き
- 嫡出子→推定される嫡出子→推定が及ぶ場合→嫡出否認の訴え
親子関係不存在確認の訴え
- 推定されない嫡出子や非嫡出子について、法律上の親子関係を争う裁判手続き
- 嫡出子→推定が及ばない場合→親子関係不存在確認の訴え
- 嫡出子→推定されない嫡出子→親子関係不存在確認の訴え
嫡出子
子 | 妻が婚姻中に懐胎した子→夫の子と推定 | |||
婚姻成立から200日以降、 婚姻解消から300日以内に出生 | 婚姻成立から 200日以内に出生 | |||
妻が夫によって 懐胎する 蓋然性が 低い場合 | ||||
推定される嫡出子 | 推定の及ばない子 | 推定されない嫡出子 | 非嫡出子 | |
訴え | 嫡出否認の訴え | 親子関係不存在確認の訴え | 認知の訴え | |
提訴権者 | 夫 | 権利の利益を有する者 | ・子 ・直系卑属 ・法定代理人 | |
相手方 | 父=子:親権を行う母 子=父 母=父 前夫=父及び子:親権を行う母 親権を行う母がないときは 特別代理人 | ・当事者である親及び子の双方 または一方 ・当事者の一方が死亡し、 生存する他方が訴えたときは検察官 | ・父:母 ・検察官(死亡後) | |
期間 | 各号に定める時から3年以内 | なし | ・いつでも ・3年以内(死亡) |
相続法
担保責任
遺産分割によって受けた債権の担保責任 | 債権の売り主の担保責任 |
各共同相続人は、その相続分に応じ、他の共同相続人が遺産の分割によって受けた債権について、その分割の時における債務者の資力を担保する | 債権の売主が、債務者の資力を担保したときは、契約の時における資力を担保したものと推定する |
弁済期に至らない債権及び停止条件付の債権については、各共同相続人は、弁済をすべき時における債務者の資力を担保する | 弁済期に至らない債権の売主が債務者の将来の資力を担保したときは、弁済期における資力を担保したものと推定する |
期間(まとめ)
期間1
名称 | 主観的起算点 | 客観的起算点 |
特別寄与料 | 6か月 | 1年 |
遺留分侵害額請求権 | 1年 | 10年 |
詐害行為取消権 | 2年 | 10年 |
相続回復請求権 | 5年 | 20年 |
取消権 | 5年 | 20年 |
債権 | 5年 | 10年 |
所有権 | 10年(善意かつ無過失) | 20年(悪意または有過失) |
期間2
- 制限行為能力者の相手方は、その制限行為能力者が行為能力者となった後、その者に対し、1か月以上の期間を定めて、その期間内にその取り消すことができる行為を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、その者がその期間内に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなす(20条)
- 不在者の生死が7年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができる(30条)
- 戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が、それぞれ、戦争が止んだ後、船舶が沈没した後又はその他の危難が去った後1年間明らかでないときも、前項と同様とする(30条2項)
- 公示による意思表示は、最後に官報に掲載した日又はその掲載に代わる掲示を始めた日から2週間を経過した時に、相手方に到達したものとみなす。ただし、表意者が相手方を知らないこと又はその所在を知らないことについて過失があったときは、到達の効力を生じない(98条3項)
- 次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了した時から6か月を経過するまでの間は、時効は、完成しない(149条)
- 催告があったときは、その時から6か月を経過するまでの間は、時効は、完成しない(150条)
- 権利についての協議を行う旨の合意が書面でされたときは、次に掲げる時のいずれか早い時までの間は、時効は、完成しない(151条)
・合意のあった時から1年
・通知の時から6か月
・時効が完成すべき時から通じて5年 - 時効の期間の満了前6か月以内の間に未成年者又は成年被後見人に法定代理人がないときは、その未成年者若しくは成年被後見人が行為能力者となった時又は法定代理人が就職した時から6か月を経過するまでの間は、その未成年者又は成年被後見人に対して、時効は、完成しない(158条)
- 未成年者又は成年被後見人がその財産を管理する父、母又は後見人に対して権利を有するときは、その未成年者若しくは成年被後見人が行為能力者となった時又は後任の法定代理人が就職した時から6か月を経過するまでの間は、その権利について、時効は、完成しない(158条2項)
- 相続財産に関しては、相続人が確定した時、管理人が選任された時又は破産手続開始の決定があった時から6か月を経過するまでの間は、時効は、完成しない(160条)
- 債権又は所有権以外の財産権は、権利を行使することができる時から20年間行使しないときは、時効によって消滅する(166条)
- 確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利については、10年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は、10年とする(169条)
- 占有物が盗品又は遺失物であるときは、被害者又は遺失者は、盗難又は遺失の時から2年間、占有者に対してその物の回復を請求することができる(193条)
- 占有保持の訴えは、妨害の存する間又はその消滅した後1年以内に提起しなければならない。ただし、工事により占有物に損害を生じた場合において、その工事に着手した時から1年を経過し、又はその工事が完成したときは、これを提起することができない(201条)
- 占有回収の訴えは、占有を奪われた時から1年以内に提起しなければならない(201条3項)
- 遺失物は、遺失物法の定めるところに従い広告をした後3か月以内にその所有者が判明しないときは、これを拾得した者がその所有権を取得する(240条)
- 埋蔵物は、遺失物法の定めるところに従い広告をした後6か月以内にその所有者が判明しないときは、これを発見した者がその所有権を取得する。ただし、他人の所有する物の中から発見された埋蔵物については、これを発見した者及びその他人が等しい割合でその所有権を取得する(241条)
- 共有者が1年以内に前項の義務を履行しないときは、他の共有者は、相当の償金を支払ってその者の持分を取得することができる(253条)
- 各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、5年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない(256条)
- 共有物の持分が相続財産に属する場合において、相続開始の時から10年を経過したときは、前項の規定にかかわらず、相続財産に属する共有物について前条の規定による分割をすることができる。ただし、当該共有物の持分について遺産の分割の請求があった場合において、相続人が当該共用物の持分について同条の規定による分割をすることに異議の申出をしたときは、この限りでない(258条の2 2項)
- 設定行為で地上権の存続期間を定めなかった場合において、別段の慣習がないときは、地上権者は、いつでもその権利を放棄することができる。ただし、地代を支払うべきときは、1年前に予告をし、又は期限の到来していない1年分の地代を支払わなければならない(268条)
- 地上権者が前項の規定によりその権利を放棄しないときは、裁判所は、当事者の請求により、20年以上50年以下の範囲内において、工作物又は竹木の種類及び状況その他地上権の設定当時の事情を考慮して、その存続期間を定める(268条2項)
- 永小作人が引き続き2年以上小作料の支払を怠ったときは、土地の所有者は、永小作権の消滅を請求することができる(276条)
- 永小作権の存続期間は、20年以上50年以下とする。設定行為で50年より長い期間を定めたときであっても、その期間は、50年とする(278条)
- 不動産質権の存続期間は、10年を超えることはできない。設定行為でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、10年とする(360条)
- 不動産質権の設定は、更新することができる。ただし、その存続期間は、更新の時から10年を超えることができない(360条2項)
- 抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当権の目的である建物の使用又は収益をする者であって次に掲げるものは、その建物の競売における買請人の買受けの時から6か月を経過するまでは、その建物を買請人に引き渡すことを要しない(395条)
- 第1項の期日(根抵当権の元本確定期日)は、これを定め又は変更した日から5年以内でなければならない(398条の6 3項)
- 第1項及び第2項(根抵当権者又は債務者の相続)の合意について相続の開始後6か月以内に登記をしないときは、担保すべき元本は、相続開始の時に確定したものとみなす(398条の8 4項)
- 根抵当権設定者は、根抵当権の設定の時から3年を経過したときは、担保すべき元本の確定を請求することができる、この場合において、担保すべき元本は、その請求の時から2週間を経過することによって確定する(398条の19)
- 元本の確定後においては、根抵当権設定者は、その根抵当権の極度額を、現に存する債務の額と以後2年間に生ずべき利息その他の定期金及び債務の不履行による損害賠償の額とを加えた額に減額することを請求することができる(398条の21)
- 詐害行為取消請求に係る訴えは、債務者が債権者を害することを知って行為をしたことを債務者が知った時から2年を経過したときは、提起することができない。行為の時から10年を経過したときも、同様とする(426条)
- 主たる債務者が期限の利益を有する場合において、その利益を喪失したときは、債権者は、保証人に対し、その利益の喪失を知った時から2か月以内に、その旨を通知しなければならない(458条の3)
- 売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、売主が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、この限りでない(566条)
- 買戻しの期間は、10年を超えることができない。特約でこれより長い期間を定めたときは、その期間は、10年とする(580条)
- 買戻しについて期間を定めなかったときは、5年以内に買戻しをしなければならない(580条3項)
- 前項の登記(買戻し)がされた後に第605条の2第1項に規定する対抗要件を備えた賃借人の権利は、その残存期間中1年を超えない期間に限り、売主に対抗することができる。ただし、売主を害する目的で賃貸借をしたときは、この限りでない(581条2項)
- 契約の本旨に反する使用又は収益によって生じた損害の賠償及び借主が支出した費用の償還は、貸主が返還を受けた時から1年以内に請求しなければならない(600条)
- 前項の損害賠償権の請求権については、貸主が返還を受けた時から1年を経過するまでの間は、時効は、完成しない(600条2項)
- 賃貸借の存続期間は、50年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、50年とする(604条)
- 賃貸借の存続期間は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から50年を超えることができない(604条2項)
- 前条本文に規定する場合において、注文者がその不適合を知った時から1年以内にその旨を請負人に通知しないときは、注文者は、その不適合を理由として履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない(637条)
- 不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する(724条)
一 被害者又はその法定代理人が損害および加害者を知った時から3年間行使しないとき
二 不法行為の時から20年間行使しないとき - 人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効についての前条第1号の規定の適用については、同号中「3年間」とあるのは、「5年間」とする(724条の2)
- 不適齢者は、適齢に達した後、なお3か月間は、その婚姻の取消しを請求することができる。ただし、適齢に達した後に追認をしたときは、この限りでない(745条2項)
- 前項の規定による取消権は、当事者が、詐欺を発見し、若しくは強迫を免れた後3か月を経過し、又は追認をしたときは、消滅する(747条2項)
- 前項の規定により婚姻前の氏に復した夫又は妻は、離婚の日から3か月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離婚の際に称していた氏を称することができる(767条2項)
- 前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、離婚の時から2年を経過したときは、この限りでない(768条2項)
- 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる(770条)
一 配偶者に不貞な行為があったとき
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき
三 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき - 前項の場合において、婚姻の成立の日から200日以内に生まれた子は、婚姻前に懐胎したものと推定し、婚姻の成立の日から200日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する(772条2項)
- 次の各号に掲げる否認権の行使に係る嫡出否認の訴えは、それぞれ当該各号に定める時から3年以内に提起しなければならない(777条)
一 父の否認権 父が子の出生を知った時
二 子の否認権 その出生の時
三 母の否認権 子の出生の時
四 前夫の否認権 前夫が子の出生を知った時 - 子は、その父と継続して同居した期間が3年を下回るときは、第777条及び前条の規定にかかわらず、21歳に達するまでの間、嫡出否認の訴えを提起することができる。ただし、子の否認権の行使が父による養育の状況に照らして父の利害を著しく害するときは、この限りではない(778条の2 2項)
- 次の各号に掲げる者は、それぞれ当該各号に定める時から7年以内に限り、認知について反対の事実があることを理由として、認知の無効の訴えを提起することができる。ただし、第3号に掲げる者について、その認知の無効の主張が子の利益を害することが明らかなときは、この限りではない(786条)
一 子又はその法定代理人 子又はその法定代理人が認知を知った時
二 認知をした者 認知の時
三 子の母 子の母が認知を知った時 - 子は、その子を認知した者と認知後に継続して同居した期間が3年を下回るときは、前項の規定にかかわらず、21歳に達するまでの間、認知の無効の訴えを提起することができる。ただし、子による認知の無効の主張が認知をした者による養育の状況に照らして認知をした者の利益を著しく害するときは、この限りではない(786条2項)
- 子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人は、認知の訴えを提起することができる。ただし、父又は母の死亡の日から3年を経過したときは、この限りではない(787条)
- 前3項の規定により氏を改めた未成年の子は、成年に達した時から1年以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、従前の氏に復することができる(791条4項)
- 第792条の規定に違反した縁組は、養親又はその法定代理人から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。ただし、養親が、20歳に達した後6か月を経過し、又は追認をしたときは、この限りでない(804条)
- 第794条の規定に違反した縁組は、養子又はその実方の親族から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。ただし、管理の計算が終わった後、養子が追認をし、又は6か月を経過したときは、この限りでない(806条)
- 第796条の規定に違反した縁組は、縁組の同意をしていない者から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。ただし、その者が、縁組を知った後6か月を経過し、又は追認したときは、この限りでない(806条の2)
- 詐欺又は強迫によって第796条の同意をした者は、その縁組の取消しを家庭裁判所に請求することができる。ただし、その者が、詐欺を発見し、若しくは強迫を免れた後6か月を経過し、又は追認をしたときは、この限りでない(806条の2 2項)
- 第798条の規定に違反した縁組は、養子、その実方の親族又は養子に代わって縁組の承諾をした者から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。ただし、養子が、成年に達した後6か月を経過し、又は追認をしたときは、この限りでない(807条)
- 縁組の当事者の一方は、次に掲げる場合に限り、離縁の訴えを提起することができる。
一 他の一方から悪意で遺棄されたとき
二 他の一方の生死が3年以上明らかでないとき
三 その他離縁を継続しがたい重大な事由があるとき - 縁組の日から7年を経過した後に前項の規定により縁組前の氏に復した者は、離縁の日から3か月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離縁の際に称していた氏を称することができる(816条)
- 父又は母による虐待又は悪意の遺棄があるときその他父又は母による親権の行使が著しく困難又は不適当であることにより子の利益を著しく害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について、親権喪失の審判をすることができる。ただし、2年以内にその原因が消滅する見込みがあるときは、この限りではない(834条)
- 家庭裁判所は、親権停止の審判をするときは、その原因が消滅するまでに要すると見込まれる期間、子の心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して、2年を超えない範囲内で、親権を停止する期間を定める(834条の2 2項)
- 相続回復の請求権は、相続人又はその法定代理人が相続権を侵害された事実を知った時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から20年を経過したときも、同様とする(884条)
- 婚姻期間が20年以上の夫婦の一方である被相続人が、他の一方に対し、その居住の用に供する建物又はその敷地について遺贈又は贈与をしたときは、当該被相続人は、その遺贈又は贈与について第1項(特別受益)の規定を適用しない旨の意思を表示したものと推定する(903条4項)
- 前3条の規定(特別受益者・寄与分)は、相続開始の時から10年を経過した後にする遺産の分割については、適用しない。ただし、次の各号のいずてかに該当するときは、この限りではない(904条の3)
一 相続開始の時から10年を経過する前に、相続人が家庭裁判所に遺産の分割の請求をしたとき。
二 相続開始の時から始まる10年の期間の満了前6か月以内の間に、遺産の分割を請求することができないやむを得ない事由が相続人にあった場合において、その事由が消滅した時から6か月を経過する前に、当該相続人が家庭裁判所に遺産の分割の請求をしたとき。 - 前項の権利(相続分の取戻権)は、1か月以内に行使しなければならない(905条2項)
- 被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定め、若しくはこれを定めることを第三者に委託し、又は相続開始の時から5年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる(908条)
- 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる(915条)
- 前項の取消権は、追認をすることができる時から6か月間行使しないときは、時効によって消滅する。相続の承認又は放棄の時から10年を経過したときも、同様とする(919条3項)
- 相続債権者又は受遺者は、相続開始の時から3か月以内に、相続人の財産の中から相続財産を分離することを家庭裁判所に請求することができる。相続財産が相続人の固有財産と混合しない間は、その期間の満了後も、同様とする(941条)
- 家庭裁判所が前項の請求によって財産分離を命じたときは、その請求をした者は、5日以内に、他の相続債権者及び受遺者に対し、財産分離の命令があったこと及び一定の期間内に配当加入の申出をすべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、2か月を下ることができない(941条2項)
- 前項の規定により相続財産の清算人を選任したときは、家庭裁判所は、遅滞なく、その旨及び相続人があるならば一定の期間内にその権利を主張すべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、6か月を下ることができない(952条2項)
- 952条2項の公告があったときは、相続財産の清算人は、全ての相続債権者及び受遺者に対し、2か月以上の期間を定めて、その期間内にその請求の申出をすべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、同項の規定により相続人が権利を主張すべき期間として家庭裁判所が公告した期間内に満了するものでなければならない(957条)
- 贈与は、相続開始前の1年間にしたものに限り、前条の規定によりその価額を参入する。当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与したときは、1年前の日より前にしたものについても、同様とする(1044条)
- 相続人に対する贈与についての第1項の規定の適用については、同項中「1年」とあるのは「10年」と、「価額」とあるのは「価額(婚姻若しくは養子縁組のため又は生計の資本として受けた贈与の価額に限る)」とする(1044条3項)
- 遺留分侵害額の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から10年を経過したときも、同様とする(1048条)
- 前項の規定による特別寄与料の支払いについて、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、特別寄与者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から6か月を経過したとき、又は相続開始の時から1年を経過したときは、この限りでない(1050条2項)
善管注意義務(まとめ)
善管注意義務
- 共有者は、善良な管理者の注意をもって、共有物の使用をしなければならない(249条)
- 管理不全土地管理人は、管理不全土地等の所有者のために、善良な管理者の注意をもって、その権限を行使しなければならない(264条の11)
- 留置権者は、善良な管理者の注意をもって、留置物を占有しなければならない(298条)
- 債権の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、その引渡しをするまで、契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らして定まる善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならない(400条)
- 受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う(644条)
- 管理者は、本人の身体、名誉又は財産に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理をしたときは、悪意又は重大な過失があるのでなければ、これによって生じた損害を賠償する責任を負わない(698条反対解釈)
- 配偶者は、従前の用法に従い、善良な管理者の注意をもって、居住建物の使用及び収益をしなければならない。ただし、従前居住の用に供していなかった部分について、これを居住の用に供することを妨げない(1032条)
- 配偶者(配偶者短期居住権を有する配偶者)は、従前の用法に従い、善良な管理者の注意をもって、居住建物の使用をしなければならない(1038条)
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