今回は、意思表示を学習するわ!
意思表示に欠陥があった場合の処理が中心だモン!
本ブログでは、行政書士の試験科目「総論・意思表示」について要約しています。
行政書士を目指している方に向けて、下記の書籍を参考にして作成しました。
ほんのわずかでも、行政書士試験を受験される方の手助けになれたら幸いです。
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- 2015年より金融系ブログ作成
- ほったらかし投資が座右の銘
法律行為
法律行為とは何か
法律行為とは、意思表示を構成要素として、その意思によって欲せられたとおりの権利義務関係の設定・変動が生ずる行為です。
法律行為は、成立の態様により以下の3種類に分類されます。
法律行為
意味 | 具体例 | |
単独行為 | 効力を発生させようとする者の単独の意思で、第三者にも効力を及ぼす行為 | ・取消し ・相殺 ・契約解除 ・遺言 |
契約 | 2人の意思の合致による行為 | ・売買 ・賃貸借 |
合同行為 | 多数の者が一定の目的のためになす、意思の合致による行為 | ・団体を設立 |
準法律行為
準法律行為とは、一定の法的な効果は生ずるものの、法律行為とは区別される行為です。
準法律行為には、以下の2種類があります。
準法律行為
意味 | 具体例 | |
意思の通知 | 意思を伝えるものではあるが、 意思によって欲せられたとおりの効果を発生させるわけではないもの | ・債務の履行の催告 |
観念の通知 | 一定の事実の通知にすぎないが、 法律によって認められた一定の効果を発生させるもの | ・債権譲渡の通知 |
有効要件
公序良俗違反
公の秩序または善良の風俗に反する法律行為は、無効とされます。
強行規定違反
法律行為の当事者が任意規定と異なる意見を表示したときは、その意思に従うものとされています。
反対に解釈すると、強行規定と異なる意思を表示したときは、無効となります。
意思表示
意思表示とは何か
意思表示とは、表意者が一定の法律効果の発生を欲する意思を外部に対して表示する行為です。
意思表示は通常、①動機→②効果意思→③表示意思→④表示行為となります。
ただし、動機自体は意思表示に含まれません。
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なお、意思表示に欠陥がある場合、その意思表示に効力を認めてよいかが問題となります。
意思表示に欠陥がある場合には、意思の不存在と瑕疵ある意思表示の2つがあります。
意思の不存在
心裡留保(しんりりゅうほ)
心裡留保とは、意思表示の表意者が、表示行為に対応する真意のないことを知りながらする意思表示です(冗談など)。
心裡留保は、原則として有効とされています。
冗談を言った人よりも、それを信頼した人を保護するべきだからです。
もっとも、意思表示が表意者の真意ではないことを知り、または知ることができた相手方は、保護する必要がないので無効となります。
心裡留保の無効は、善意の第三者には対抗できません。
心裡留保をした人は権利を失っても自業自得ですし、第三者を保護しないとかわいそうだからです。
虚偽表示(きょぎひょうじ)
虚偽表示とは、表意者が相手方と通じて真意ではない意思表示をすることです。
虚偽表示は、無効とされています。
表意者と相手方が、意思表示が虚偽であることを認識しているので、両方とも保護する必要がないからです。
虚偽表示の無効は、善意の第三者に対抗できません。
虚偽表示をした人は権利を失っても自業自得ですし、第三者がかわいそうだからです。
なお第三者とは、虚偽表示の当事者または一般継承人(相続人)以外の者であって、虚偽表示に法律上の利害関係を有する人です。
- 虚偽表示の目的物に抵当権を付けた人
- 仮装債権を譲り受けた人
- 転得者
- 虚偽表示の目的物を差し押さえた人
- 取立てのために仮装債権を譲り受けた人
- 土地の賃借人所有の建物を他に仮装譲渡した場合の土地の賃貸人
- 土地の仮装譲受人から建物を賃借した人
また、実際に虚偽表示がなくても、適用可能な場合には94条2項が類推適用されます。
94条2項は権利外観法理の現れとされており、適用可能な場合にも権利外観法理が妥当するからです。
権利外観法理=真の権利者が自分以外の者が権利者であるかのような外観を作り出したときは、それを信頼した第三者は保護されるべきであり、自らその外観を作った権利者は権利を失ってもやむを得ないとする理論
錯誤(さくご)
錯誤とは、法律行為の時点における表意者の効果意思が、表示行為と食い違っているにもかかわらず、表示者自身がそのことに気づいていないことです(勘違い)。
錯誤
意思表示に対応する意思を欠く錯誤
表意者が法律行為の基礎とした事情についてその認識が真実に反する錯誤
錯誤は、法律行為の目的および取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができます。
ただし、動機の錯誤の場合は、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り取り消すことができます(明示的・黙示的)。
なお、錯誤が表意者の重大な過失があった場合には取消しできません。
重大な過失があった場合には、表意者を保護する必要がないからです。
ただし、以下の場合は意思表示の取消しができます。
- 相手方が表意者に錯誤があることを知っていた
- 相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていた
錯誤による意思表示の取消しは、善意無過失の第三者には対抗できません。
瑕疵ある意思表示
詐欺(さぎ)
詐欺とは、欺罔行為により他人を錯誤に陥れ、意思表示させることです。
相手方に対する意思表示について、第三者が詐欺を行った場合は、相手方が悪意有過失に限り取り消すことができます。
したがって、相手方が善意無過失の場合には取り消すことができません。
また、詐欺による意思表示の取消しは、善意無過失の第三者には対抗できません。
ただし第三者は、表意者が取り消す前の第三者に限られます。
強迫(きょうはく)
強迫とは、他人に畏怖を与え、畏怖によって意思表示をさせることです。
強迫はさぎよりも意思形成への干渉が強いので、強迫による表意者は、詐欺よりも強く保護されています。
詐欺と脅迫
詐欺 | 強迫 |
・相手方が悪意有過失に限り意思表示を取り消せる ・善意無過失の第三者には対抗できない | ・相手方が善意無過失でも意思表示を取り消せる ・善意無過失の第三者に対抗できる |
それではまた次回。
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