行政書士|合格への道【会社法:機関】

行政書士|合格への道【会社法:機関】
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クマ美

今回は、機関を学習するわ!

くまケン

断トツの出題頻度だモン!

本ブログでは、行政書士の試験科目「会社法:株式」について要約しています。

行政書士を目指している方に向けて、下記の書籍を参考にして作成しました。

ほんのわずかでも、行政書士試験を受験される方の手助けになれたら幸いです。

記事を書いた人
  • 九州を拠点に自動車販売店を経営
  • 2015年より金融系ブログ作成
  • 2級ファイナンシャル・プランニング技能士
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目次

機関設計

機関とは、会社の代わりに意思決定や行為をする人及びその集まりのことです。

行政組織法の行政主体に当たるのが会社であり、行政機関に当たるのが機関といえます。

株式会社には、必ず株主総会と取締役を置かなければなりませんが、その他の取締役会・会計参与・監査役・監査役会・会計監査人・監査等委員会・指名委員会等については、定款で定めることにより自由に置くことができます。

機関設計のルール

取締役会を置かなければならない会社
  • 公開会社
  • 監査役会設置会社
  • 監査等委員会設置会社
  • 指名委員会等設置会社
監査役を置かなければならない会社
  • 取締役会設置会社
  • 会計監査人設置会社
監査役会を置かなければならない会社
  • 公開会社である大会社
会計監査人を置かなければならない会社
  • 監査等委員会設置会社
  • 指名委員会等設置会社
  • 大会社
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株主総会

権限

株主総会とは、会社の構成員である株主によって構成され、会社の意思を決定する機関です。

株主総会の権限は、取締役会設置会社であるか取締役会非設置会社であるかによって異なります。

スクロールできます
取締役会非設置会社会社法に規定する事項及び株式会社の組織・運営・管理
その他株式会社に関する一切の事項について決議できる
取締役会設置会社会社法に規定する事項及び定款で定めた事項に限り決議できる

招集手続き

招集地

会社法の下では、株主にとって特に不利益とならない限り、株主総会を開催する場所に制限はありません。

召集時期

株主総会には、毎事業年度の終了後一定の時期に招集される定時株主総会と、必要に応じて随時招集される臨時株主総会があります。

招集権者

取締役会設置会社では、取締役会の決議に基づいて、代表取締役名義で招集通知を出します。

これに対して、取締役会非設置会社では、取締役が決定し招集通知を出します。

もっとも、少数株主権として、一定の株式数を保有する株主にも株主総会の招集を請求する権利が認められています。

招集通知

株主総会の招集通知については、以下の規制があります。

スクロールできます
公開会社、書面・電子投票を定めた会社それ以外の会社
発出時期2週間前1週間前
通知の方法書面取締役会設置会社→書面
取締役会非設置会社→制限なし

招集手続きの省略

書面・電磁的記録による議決権行使を認める場合を除いて、株主全員の同意があれば、招集手続きなしに株主総会を開催できます。

株主総会資料の電子提供制度

株主総会資料の電子提供制度とは、株主総会資料を自社のWEBサイトのアドレス当を書面で通知することで提供する制度です。

資料の掲載日は、株主総会の日の3週間前または召集の通知を発した日のいずれか早い日です。

議事

株主提案権

株主には、以下の権利が認められています(株主提案権)。

スクロールできます
議題提案権一定の事項を議題とするよう請求する権利
議案提出権株主総会の会日において、株主総会の目的である事項についての議案を提出する権利
議案の要領の
通知請求権
あらかじめ取締役に対して議案を提出して、それを招集通知に記載するよう請求する権利

取締役等の説明義務

取締役等は、株主から説明を求められた場合には、必要な説明をしなければなりません。

ただし、以下の場合には説明を拒むことができます。

  • 株主の質問事項が株主総会の目的である事項に関しないものである場合
  • その説明をすることにより株主の共同の利益を著しく害する場合
  • 正当な理由がある場合として法務省令で定める場合

総会検査役

株式会社または総株主の議決権の100分の1以上の議決権を有する株主は、株主総会の招集手続き及び決議方法を調査させるため、株主総会に先立ち、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをすることができます。

これによって選任された者を総会検査役といいます。

議事録

株主総会が終結した場合には、議事について議事録を作成しなければなりません。

そして、株主・会社債権者は、会社の営業時間内はいつでも、議事録の閲覧・謄写請求をできます。

対して、親会社社員は、権利行使に必要なときに限り、裁判所の許可を得て、閲覧・謄写を請求できます。

決議の省略

ある提案について、議決権を行使できる株主全員が書面・電磁的記録によって同意の意思表示をしたときは、提案を可決する決議があったものともなされます。

その場合、決議があったとみなされた日から10年間、同意の書面・電磁的記録を本店に備えおいて、株主当が閲覧できるようにしておく必要があります。

議決権

1株1議決権の原則

各株主は、原則として、その有する1株について1個の議決権を持ちます(1株1議決権の原則)。

もっとも、以下の場合には例外が認められています。

単元未満株

単元株制度が採用されている場合、単元未満株については議決権が認められない

議決権制限株式

議決権制限株式を有する株主は、制限された事項について議決権を行使できない

自己株式

会社が保有する自己株式については、議決権が認められない

子会社の保有する親会社株式

子会社が親会社株式を保有する場合、原則として、当該株式については議決権が認められない

相互保有株式

総株主の議決権の4分の1以上の議決権を保有されている会社は、支配会社の株式について議決権を行使できない

代理人による議決権行使

株主は、代理人によって議決権を行使できます。

この代理権は、株主総会ごとにしなければなりません。

議決権の不統一行使

株主は、有する議決権を統一しないで行使できます。

もっとも、これは他人のために株式を有する者のために必要とされる制度なので、会社は、他人のために議決権を有する者でないものが不統一行使をしたときは、これを拒めます。

書面投票・電子投票制度

会社側から、株主総会の招集通知に株主総会参考書類と議決権行使書面を添付して株主へ送付し、株主が議決権行使書面に必要な事項を記載し、総会直前の営業時間終了時までに会社に提出した場合には、議決権を行使したものと扱えます(書面投票制度)。

また、以上の投票方式を電磁的方法によって行う場合を電子投票制度といいます。

決議方法

株主総会の決議は、定款に別段の定めがある場合を除き、議決権を行使できる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の過半数をもって行うのが原則です(普通決議)。

ただし、取締役・会計参与・監査役の選任、取締役・会計参与の解任の決議については、定款の別段の定めによっても、定足数を3分の1未満の割合にはできません。

会社法は、一定の重大事項について、普通決議よりも厳格な決議要件である特別決議特殊決議特別特殊決議を定めています。

特別決議
  • 【要件】
    議決権を行使できる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成
  • 【決議事項】
    通常の定款変更など
特殊決議
  • 【要件】
    議決権を行使できる株主の半数以上の賛成、かつ、議決権を行使できる株主の議決権の3分の2以上の賛成
  • 【決議事項】
    発行する株式全部に譲渡制限を付するための定款変更
特別特殊決議
  • 【要件】
    総株主の半数以上の賛成、かつ、総株主の4分の3以上の賛成
  • 【決議事項】
    非公開会社が余剰金の配当・残余財産の分配・議決権について、株主ごとに異なる取扱いを定める定款変更

株主総会決議の瑕疵

株主総会の決議に瑕疵があった場合、会社法が認めている救済方法としては、株主総会決議取消しの訴え決議不存在確認の訴え決議無効確認の訴えの3種類があります。

決議取消しの訴え
  • 【提訴原因】
    ・招集手続きまたは決議方法が、法令定款に違反しまたは著しく不公正なとき
    ・決議内容が定款に違反するとき
    ・特別利害関係人が議決権を行使したことによって著しく不当な決議がなされたとき
  • 【提訴権者】
    ・株主
    ・取締役
    ・執行役
    ・監査役
    ・清算人
  • 【提訴期間】
    ・決議の日から3か月以内
  • 【裁量棄却】
    ・招集手続または決議方法の法令・定款違反の場合
決議無効確認の訴え
  • 【提訴原因】
    ・決議内容が法令に違反するとき
  • 【提訴権者】
    ・誰でも
  • 【提訴期間】
    ・いつでも
  • 【裁量棄却】
    ・不可
決議不存在確認の訴え
  • 【提訴原因】
    ・決議の手続的瑕疵が著しく、法律上決議があったと認められないとき
  • 【提訴権者】
    ・誰でも
  • 【提訴期間】
    ・いつでも
  • 【裁量棄却】
    ・不可
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取締役

取締役とは何か

取締役会非設置会社の場合、取締役は、会社の業務を執行する機関です。

対して、取締役会設置会社の場合、取締役は、単なる取締役会の構成員にすぎず、会社の業務を執行する機関ではありません。

株主は、経営に興味がない場合や経営の能力がない場合がほとんどなので、自分で会社の経営をせずに、経営のプロである取締役を選任してその人に経営を任せる方が望ましいといえます(所有と経営の分離)。

そこで、公開会社は、取締役が株主でなければならない旨を定款で定めることはできないとされています。

もっとも、非公開会社では、上記の定款を定められます。

資格

以下の者は、取締役になれません。

  • 法人
  • 会社法秩序に関する犯罪を犯し、刑に処せられて間もない者
  • その他の法令違反により禁固以上の刑に処せられ、刑の執行が終わっていない者

なお、成年被後見人が取締役に就任するには、成年後見人が、成年被後見人の同意を得た上で、成年被後見人に代わって就任の承諾をすることになります。

被保佐人が取締役に就任するには、保佐人の同意を得なければなりません。

員数

取締役会を設置しない会社であれば、1人でも足りますが、取締役会設置会社では3人以上が必要です。

選任

取締役は、株主総会の普通決議によって選任されます。

終任

任期満了

取締役の任期は、原則として、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までです。

もっとも、定款または株主総会決議で短縮することは可能です。

株主総会決議による解任

取締役は、いつでも、株主総会の普通決議により解任できます。

もっとも、累積投票により選任された取締役または監査等役員である取締役であれば株主総会の特別決議が必要です。

株主総会の決議によって解任された取締役は、その解任について正当な理由がある場合を除き、株式会社に対して、解任によって生じた損害の賠償を請求できます。

取締役解任の訴え

取締役の職務の執行に関し不正の行為または法令・定款に違反する重大な事実があったにもかかわらず、取締役を解任する旨の議案が株主総会で否決された場合には、株主は、株主総会の日から30日以内に、訴えをもって取締役の解任を請求できます。

ただし、総株主の議決権の100分の3以上の議決権または発行株式総数の100分の3以上の株式を6か月前から引き続き有する株主でなければ請求できません(非公開会社の保有期間は不要)。

取締役に欠員が生じた場合

旧取締役の職務執行

取締役が欠けた場合または会社法・定款で定めた取締役数の員数が欠けた場合には、任期の満了または辞任により退任した取締役は、新たに選任された取締役が就任するまで、なお取締役としての権利義務を有することになります。

一時取締役

裁判所は、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより、一時的に取締役の職務を行うべき者を選任できます。

取締役の権限

取締役の権限は、会社の機関設計によって異なります。

取締役会非設置会社の場合

取締役会非設置会社では、定款に別段の定めがない限り、会社の業務執行は各取締役が行います。

ただし、取締役が2人以上いる場合には、定款に別段の定めがない限り、取締役の過半数をもって業務執行の意思決定をします。

また、取締役が2人以上いる場合であっても、各取締役が単独で会社を代表するのが原則です。

取締役会設置会社の場合

個々の取締役は、取締役会の一構成員として決議に参加するだけで、独立に業務執行権や会社代表兼を有するわけではなく、代表取締役が業務執行権や代表権を有します。

もっとも、業務執行取締役は、個々の業務執行権を有しています。

取締役の義務

善管注意義務・忠実義務

取締役と会社とは委任の関係なので、取締役は職務を行うにあたり、会社に対して善管注意義務を負います。

また、取締役は、会社に対して忠実義務を負います。

競業避止義務

取締役が会社の事業と競合する事業を行うと、会社のノウハウや顧客情報を奪われるおそれがあり、会社の利益を害する危険性が大きいです。

そこで、取締役は、自己または第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするときは、株主総会(取締役会設置会社は取締役会)において、取引について重要な事実を開示し、承認を受けなければなりません。

また、取締役会設置会社の場合、協業取引をした取締役は、取引後、遅滞なく、取引についての重要な事実を取締役会に報告しなければなりません。

利益相反取引

取締役が自己または第三者のために株式会社と取引する場合(直接取引)、または、株式会社が取締役の個人的な債務を保証するなど取締役と株式会社が直接取引をするわけではないが、取締役と株式会社の利益が相反する取引をする場合(間接取引)、会社の利益を害する危険が大きいです(利益相反取引)。

取締役は、利益相反取引を使用とするときは、株主総会(取締役会設置会社は取締役会)において、取引につき重要な事実を開示し、承認を受けなければなりません。

また、取締役会設置会社の場合、利益相反取引をした取締役は、取引後、遅滞なく、取引についての重要な事実を取締役会に報告しなければなりません。

なお、会社の承認の有無を問わず、利益相反取引が行われ会社に損害が生じた場合には、以下の者の任務懈怠が推定されます。

  • 利益が相反する関係にある取締役・執行役
  • 利益相反取引をすることを決定した取締役・執行役
  • 利益相反取引に関する取締役会の承認の決議に賛成した取締役

取締役の報酬等

取締役の報酬等の額、具体的な算定方法または報酬等の具体的な内容については、定款に事項の定めがあるときを除き、株主総会決議によって定めます。

取締役の報酬等の決定は業務執行に係る事項ですが、取締役が自ら報酬を決定するのでは過大な報酬となるおそれが大きいことから、定款または株主総会で決定するものとされています。

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取締役会

職務

取締役会とは、すべての取締役で組織される合議制の機関です。

取締役会の職務は、

  • 業務執行の決定
  • 個々の取締役の職務の遂行の監督
  • 代表取締役の選定・解職

です。

業務執行の決定

取締役会は、会社の日常業務の意思決定を代表取締役業務執行取締役に委任できます。

しかし、以下のような特に会社にとって重要な事項は、代表取締役等に委任することができず、取締役会で決議しなければなりません。

  • 重要な財産の処分
  • 多額の借財
  • 支配人その他の重要な使用人の選任・解任
  • 支店その他の重要な組織の設置・変更・廃止
  • 募集社債に関する重要事項
  • 株式会社の業務並びに株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要な内部統制システムの整備構築
  • 定款の定めに基づく役員等の会社に対する損害賠償責任の免除

個々の取締役の職務の執行の監督

代表取締役・業務執行取締役は、3か月に1回以上、職務執行の状況を取締役会に報告しなければなりません。

これは、取締役会を3か月に1回以上開催する必要があることを意味します。

代表取締役の選定・解職

取締役会は監督や意思決定をする合議体なので、そこでなされた意思決定の執行者として代表取締役が選定されます。

招集手続き

招集権者

取締役会の招集権は、原則として、各取締役が有しています。

もっとも、定款または取締役会で招集権者たる取締役を定めることもできます。

また、招集権者と定められていない取締役であっても、招集請求をすることは可能です。

招集通知

召集の通知方法にとくに制限はなく、口頭でも書面でも構いません。

また、招集通知に議題を示す必要はありません。

招集通知は、取締役会の1週間前に発しなければなりませんが、定款でこの期間を短縮できます。

招集手続の省略

取締役(監査役設置会社では取締役及び監査役)の全員の同意があるときは、招集手続きを省略できます。

決議方法

議決権

取締役会の場合は、1人につき1議決権が認められています。

株主の場合とは異なり、議決権の代理公使は許されません。

また、決議に加わることができる取締役の過半数が出席し、出席取締役の過半数で決定します。

この要件を定款で加重はできますが、軽減はできません。

持ち回り決議

議決に加わることができる取締役全員が、書面・電磁的記録により議案である提案に同意する意思表示をした場合には、その提案を可決した取締役会決議があったものとみなす旨を定款で定められます。

持ち回り決議をに止めて、取締役会の開催の省略を許すものです。

決議の瑕疵

取締役会決議の瑕疵については、株主総会決議のように特別の訴えの制度が用意されていないので、一般原則により当然に無効となります。

取締役会議事録

備置き

取締役が終了した後は、議事の経過の要領と結果について、議事録を作成し、出席者が署名をし、会議終了日から10年間、本店に備え置かなければなりません。

閲覧・謄写

株主は、権利行使のために必要があるときは、株式会社の営業時間内はいつでも(監査役設置会社・監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社では裁判所の許可を得て)、閲覧・謄写請求をできます。

賛成の推定

取締役会の決議に参加した取締役は、議事録に異議をとどめなければ決議に賛成したものと推定されます。

特別取締役による取締役会決議

特別取締役とは何か

取締役の数が多く遠隔地にも取締役が常駐しているような大企業では、常務会と呼ばれるような形で少人数の取締役で重要事項を迅速に意思決定することが行われてきました。

会社法は、これを特別取締役による取締役会決議として制度化しています。

要件

特別取締役をおくためには、取締役の数が6人以上であり、かつ、社外取締役が1人以上であることが必要です。

なお、特別取締役は、取締役会で選定されます。

員数

特別取締役は、3人以上であることが必要です。

決議事項

迅速性が要求される重要な財産の処分・譲受け多額の借財についてのみ、特別取締役による取締役会で決議できます。

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代表取締役

選定

代表取締役とは、会社の業務を執行し、対外的に会社を代表する取締役です。

取締役会設置会社の場合、代表取締役は、取締役会の決議で取締役の中から選定しなければなりません。

対して、取締役会非設置会社では、定款、定款の定めに基づく取締役の互選または株主総会の決議によって取締役の中から選定できます。

員数

代表取締役の人数に制限はなく、1人でも複数でも構いません。

終任

代表取締役は、取締役であることが前提なので、取締役の地位を失た場合には、当然に代表取締役の地位も失います。

ただし、代表取締役の地位を失ったからといって、当然に取締役の地位を失うわけではありません。

権限

代表取締役は、会社の業務に関する一切の裁判上または裁判外の行為をする包括的代表権を有し、これを定款等で制限しても、善意の第三者に対抗できません。

表見代表取締役

表見代表取締役とは何か

表見代表取締役とは、代表権がないにもかかわらず、会社の代表権を有すると認めるべき名称が付された取締役です。

表見代表取締役が善意の第三者との間でした行為については、会社が責任を負います。

要件

表見代表取締役が適用されるための要件は、以下の3つです。

  • 会社を代表する権限を有するものと認められる名称があること
  • 会社がその名称を付したこと
  • 相手方が善意であること
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会計参与

会計参与とは、取締役と共同して書類計算などを作成する機関です。

これは、会計の専門家である会計参与が取締役と共同して計算書類を作成することで、計算書類の正確性を高めようとするものです。

会計参与は、会計に関する専門性を備えていなければならないことから、公認会計士・監査法人または税理士・税理士法人でなければなりません。

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監査役・監査役会

監査役

監査役とは何か

監査役とは、取締役や会計参与の職務の執行が適法になされているかを監査する機関です。

監査役は、定款で特に定めのない限り、業務監査権限と会計監査権限の両方を有しています。

資格

監査役は、会社とその子会社の取締役・使用人、子会社の会計参与・執行役を兼ねることはできません。

監査する者とされる者が同一では、適正な監査は期待できないからです。

員数

監査役会を設置しない会社であれば、1人でも足りますが、監査役会設置会社では3人以上必要で、そのうちの半数以上は社外監査役でなければなりません。

選任

監査役は、取締役と同じく、株主総会の普通決議で選任されます。

終任

監査役の任期は4年であり、取締役のように任期を定款や株主総会の決議で短縮できません。

また、株主総会で監査役の解任決議をする場合、取締役とは異なり、株主総会の特別決議が必要となります。

権限・職務

監査役は、以下の権限・職務を有しています。

調査権
  • いつでも、取締役・会計参与等に対して事業の報告を求め、会社の業務・財産の状況を調査できる
  • 必要があれば、子会社についても調査できる
不正行為等の報告義務

取締役の不正行為、法令・定款違反を発見したときは、遅滞なく、取締役会(取締役)に報告しなければならない

取締役会出席・意見陳述義務

取締役会に出席し、必要があれば意見を述べなければならない

株主総会への報告義務

取締役が株主総会に提出しようとする議案・書類等を調査し、法令・定款違反や著しく不当な事実を発見した場合には、株主総会に報告をしなければならない

会社・取締役間の訴訟の会社代表

会社と取引の間の訴訟については、監査役が会社を代表する

監査役会

監査役会とは、すべての監査役で組織される合議制の機関です。

監査役会の職務は、

  • 監査報告の作成
  • 常勤の監査役の選定・解職
  • 監査の方針、会社の業務及び財産の状況の調査の方法その他の監査役の職務の執行に関する事項の決定

の3つです。

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会計監査人

会計監査人とは、計算書類の作成が適正になされているかを監査する機関です。

会計監査人は、監査役と異なり、業務監査権限を有しておらず、会計監査権限のみ有しています。

会計監査人は、特に会計に関する専門性をそなえていなければならないことから、公認会計士または監査法人でなければなりません。

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指名委員会等設置会社

指名委員会等設置会社とは、指名委員会報酬委員会監査委員会の3委員会を置く株式会社です。

指名委員会等設置会社の各委員会は、3名以上の取締役で構成されます。

また、各委員会の委員の過半数は社外取締役でなければなりません。

指名委員会株主総会に提出する取締役・会計参与の選任・解任に関する議案の内容の決定
報酬委員会取締役・執行役・会計参与の個人別の報酬の決定
監査委員会取締役・執行役・会計参与の職務の執行の監査

指名委員会等設置会社は、業務執行に対する監督の強化を図るため、業務執行と監督を分離しています。

具体的には、会社の業務執行の決定を取締役とは別に選定された執行役が行い、取締役(監査委員会)が監督するという仕組みになっています。

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監査等委員会設置会社

監査等委員会設置会社とは、監査等委員会を置く株式会社です。

監査役設置会社は、監査役が取締役の業務執行を監査し、取締役会が取締役の業務執行を監督するものですが、取締役とは別に監査役を設置するのは負担となるため、現実にはあまり利用されてきませんでした。

他方、指名委員会等設置会社は、取締役で構成される監査委員会が取締役・執行役の業務執行を監査・監督するものであり、取締役とは別に監査役を設置する必要はありませんが、指名委員会・報酬委員会を設置することへの抵抗感が強く、やはり現実にはあまり利用されてきませんでした。

そこで、その中間的な形態として、自ら業務を執行しない取締役で構成される監査等委員会が取締役の業務執行を監査・監督する監査等委員会設置会社の制度が新設されました。

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役員等の責任

会社に対する責任

責任の内容

役員等は、任務を怠ったときは、会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負います。

もっとも、役員等が注意を怠らなかったことを証明した場合には、損害賠償責任を免れるのが原則です。

ただし、会社法上、無過失責任とされている場合もあります。

就業取引に関する責任過失責任
利益相反取引に
関する責任
直接取引原則過失責任
自己のために取引無過失責任
間接取引過失責任
利益供与に
関する責任
原則過失責任
自ら利益供与をした
取締役・執行役
無過失責任
余剰金の配当に関する責任過失責任

責任の免除・制限

役員等の任務懈怠責任は、以下の場合に免除または制限できます。

総株主の同意による免除

役員等の会社に対する損害賠償請求は、総株主の同意により免除できる

株主総会の特別決議による一部免除

役員等が職務を行うにつき善意無重過失である場合、株主総会の特別決議により責任の一部を免除できる

取締役等による免除に関する定款の定め

役員等が職務を行うにつき善意無重過失の場合において、特に必要と認めるときは、取締役の過半数の同意(取締役会設置会社は取締役会決議)によって、取締役の責任を免除できる旨を定款で定めておくことができる

責任限定契約

会社は、非業務執行取締役・監査役・会計参与・会計監査人が職務を行うにつき善意無重過失であれば、定款で定めた額の範囲であらかじめ会社が定めた額と最低責任限度額とのいずれかの高い額を限度とする契約を締結できる旨を定款で定めておくことができる

第三者に対する責任

責任の内容

役員等は会社以外の第三者とは直接の法律関係を持たないので、役員等の行為によって第三者が損害を受けた場合、不法行為責任を追及されることはあっても、それ以外の責任を追及される立場にはありません。

しかし、役員等の行為は第三者に重大な影響を与えることが多いことから、第三者の保護を厚くする必要があります。

そこで、役員等が職務を行うについて悪意重過失があったときは、役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負うものとされ、特別の法律上の責任が課せられています。

要件

役員等の第三者に対する責任が認められるためには悪意重過失が必要ですが、それは損害についてではなく、任務懈怠について存在すればよいとされています。

また、役員等の行為によって、第三者が直接損害を被った場合であろうと、会社が損害を被った結果第三者が損害を被った場合であろうと、任務懈怠と第三者の損害との間に相当因果関係が認められる限り、役員等は第三者に対して損害賠償を負います。

責任を負う取締役

429条1項に基づく損害賠償責任を負うかどうかが問題となった取締役としては、以下のものがあります。

名目取締役

非常勤の社外重役として名目的に取締役に就任しているにすぎない者でも、429条1項に基づく損害賠償責任を負わされる場合がある

表見取締役

適法に選任されていないにもかかわらず取締役として登記されている者は、取締役でないことを善意の第三者に対抗できないため、429条1項に基づく損害賠償責任を負う

退任取締役

取締役を退任したにもかかわらず退任登記をしていなかったものは、退任登記を申請しないで不実の登記を残存させることにつき明示的に承諾を与えていたなどの特段の事情が存在する場合に限り、429条1項に基づく損害賠償責任を負う

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株主の監督是正権

株式会社においては所有と経営の分離がなされていることから、取締役の行為は、株主ではなく取締役会や監査役などによって監督されるのが原則です。

しかし、取締役や監査役は株主総会により多数決で選任されるものである以上、少数株主の利益が害されるおそれがあります。

そこで、個々の株主にも、取締役の行為の監督是正権が付与されています。

取締役の違法行為の差止め

取締役が株式会社の目的の範囲外の行為その他の法令・定款違反の行為をし、またはこれらの行為をするおそれがある場合において、その行為によって会社に著しい損害が生じるおそれがあるときは、その行為の差止めを請求できます。

もっとも、監査役設置会社・監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社では、回復することができない損害が生じるおそれがあるときに限定されます。

差止め請求ができるのは、公開会社では6か月前から引き続き株式を保有する株主であり、非公開会社では株主であれば保有期間の制限はありません。

株主代表訴訟

株主代表訴訟とは何か

役員等のなれあい等から、会社によって役員等の責任追及が行われないことが考えられます。

そこで、株主が会社に代わって役員等の責任を追及する制度(株主代表訴訟)が認められています。

株主代表訴訟を提起する場合、原則として、まず書面で会社に対して役員等の責任を追及する訴えを提起するように請求しなければなりません。

そして、会社が請求があった日から60日以内に訴えを提起しないときは、株主は代表訴訟を提起できます。

ただし、60日間の期間の経過により会社に回復することができない損害を生じるおそれがある場合には、株主は、上記の手続を経ることなく、直ちに代表訴訟を提起できます。

業務執行検査役の調査

会社の業務執行に関し、不正の行為、法令・定款に違反する重大な事実があることを疑うに足りる事由がある場合に、総株主の議決権の100分の3以上の議決権を有する株主または発行済株式数の100分の3以上の数の株式を有する株主は、株式会社の業務・財産の状況を調査させるため、裁判所に対して、検査役の選任を申立てできます。

選任された検査役は、職務を行うため必要があるときは、子会社の業務・財産状況を調査でき、調査の結果を裁判所に報告します。

そして、裁判所は、必要があると認めるときは、取締役に対して、一定の期間内に株主総会を招集すること、調査の結果を株主に通知することを命じなければなりません。

機関設計の最低限ルール(+株主総会)

非公開会社公開会社
非大会社・中小企業
取締役
・ベンチャー企業
取締役会+監査役
大会社・上場企業の子会社
取締役+監査役+会計監査人
・上場企業
取締役会+監査役会+会計監査人
公開会社
  • 株主は不特定多数
  • 不特定の株主で何でも決めるのは困難
  • 取締役会で決める必要あり
  • 取締役会だけで決めると株主は不安
  • 取締役会を見張るために監査役が必要
非公開会社
  • 株主は特定少数
  • 株主自身で決められる
  • 取締役会は不要
  • 取締役会を見張る必要がないので監査役は不要
  • 取締役会を置いた場合、取締役会を見張るために監査役が必要(会計参与を設置すれば監査役は不要)
  • 大会社の場合、監査役は最低限必要
大会社
  • 資本金5億円以上or負債が200億円以上
  • お金の監査を監査役個人でするのは大変
  • 監査役会が必要
  • 債権者が多数でお金の計算をするために会計監査人が必要
  • 非公開会社は監査役会は不要で監査役だけで十分
非大会社
  • 債権者は少数
  • 会計監査人は不要
  • 内部監査は監査役のみで十分なので監査役会は不要
  • 非公開の場合は監査役さえ不要

それではまた次回

大きいくまケン
くまケン

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この記事を書いた人

日々の相場の動きに動じない、「ほったらかし投資」についていろいろと語ってみました。
「ほったらかし投資」は、こころとからだにやさしい投資スタイルです。
今まで金融投資には興味が無かった方が、少しでも金融投資の世界に興味を持っていただけるとうれしいです。宮崎県出身 鹿児島大学法文学部卒 

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