今回は時効を学習するわ!
時効は頻出分野だモン!
本ブログでは、行政書士の試験科目「総論:時効」について要約しています。
行政書士を目指している方に向けて、下記の書籍を参考にして作成しました。
ほんのわずかでも、行政書士試験を受験される方の手助けになれたら幸いです。
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時効とは何か
時効とは、真の権利関係とは異なる事実状態が長期間継続した場合に、事実状態に即して新たな権利関係を作り出す制度です。
事実上権利者であるかのような状態を継続する人に権利を取得させるものを取得時効、権利を行使しない状態を継続する人の権利を消滅させるものを消滅時効といいます。
時効の効力
発生時期
時効の効力は、起算日にさかのぼって発生します。
たとえば、土地に建物を建てて住み始めたときにさかのぼって、土地の所有権を取得したものとされます。
また、金銭を借りたときにさかのぼって、賃金債権が消滅したものとされます。
時効の援用
時効の援用とは、時効の利益を受ける旨の意思表示です。
時効の完成に必要な期間が経過しても、直ちに時効の効力が発生するわけではなく、当事者が援用しなければ時効の効力は発生しません。
この趣旨は、時効の利益を潔しとしない当事者の意思を考慮する点にあります。
時効の援用権者
- 保証人
- 物上保証人
- 被担保債権の第三取得者
- 被担保債権の詐害行為の受益者
- 一般債権者
- 後順位抵当権者
- 取得時効が問題となる土地上の建物賃借人
時効の利益の放棄
時効の利益の放棄とは、時効の援用とは反対に、時効の利益を受けない旨の意思表示をすることです。
時効の利益は、時効前に放棄できません。
なぜならば、債権者によって無理やり時効の利益を放棄させられることを防止する点からです。
時効の完成猶予・更新
時効の完成猶予・更新とは何か
時効の完成猶予とは、時効の完成を一定期間猶予することです(すでに経過した時効時間はそのまま)。
他方、時効の更新とは、すでに経過した時効時間をリセットして新たに時効時間を計算し直すことです。
たとえば、裁判上の請求をした場合、時効の完成が猶予されて、確定判決によって権利が確定したときは、時効の更新により新たに時効が進行します。
催告(裁判外での請求)による時効の完成猶予
催告があったときは、6か月を経過するまでの間は、時効は完成しません。
また、催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告は、時効の完成の効力がありません。
承認による時効の更新
承認とは、権利の存在を知っていることを示すことです。
時効は、権利の承認があったときは、新たに進行を始めます。
承認に時効の完成猶予はありません。
時効の完成猶予・更新の効力が及ぶ者の範囲
時効の完成猶予・更新は、当事者および承継人の間においてのみ、効力を有します。
時効の完成猶予
完成猶予事由 | 完成猶予期間 |
未成年者・成年被後見人に対する事項の完成猶予 | 6か月 |
天災・事変による時効の完成猶予 | 3か月 |
仮差押え・仮処分による時効の完成猶予 | 6か月 |
催告による時効の完成猶予 | 6か月 |
協議を行う旨の合意による時効の完成猶予 | 最大5年間 |
取得時効
取得時効には、所有権の取得時効と、所有権以外の財産権の取得時効の2種類があります。
所有権の取得時効
要件
所有権の取得時効の要件は、所有の意思を持って、平穏かつ公然と、他人の物を占有し、時効時間を経過したことです。
時効時間は、占有を始めたときに他人の物であることを過失なく知らなかった場合(善意無過失)は10年間、それ以外の場合は20年間です。
所有権の取得時効の要件
所有の意思 | 所有者として所持している |
平穏かつ公然 | 暴力的に占有せず、占有を隠匿しない |
他人の物 | 不動産だけではなく、動産も含まれる |
時効期間 | 善意無過失で10年、それ以外は20年 |
所有権以外の財産権の取得時効
所有権以外の財産権の取得時効の要件は、自己のためにする意思をもって、平穏かつ公然と、他人の財産権を行使し、時効期間を経過したことです。
なお、時効期間については、善意無過失の場合は10年間、それ以外は20年間です。
用益物権や質権が取得時効の対象となり、直接法律の規定によって成立する留置権や先取特権は対象にはなりません。
消滅時効
消滅時効が完成する期間は、以下の通りです。
起算点 | 期間 | |
債権 | 権利を行使できることを知ったとき(主観的期間) | 5年 |
権利を行使できるとき(客観的期間) | 10年 | |
債権・所有権以外の財産権 | 権利を行使できるとき | 20年 |
所有権 | なし | なし |
消滅時効の起算点
起算点 | |
確定期限がある債権 | 期限到来時 |
不確定期限がある債権 | 期限到来時 |
期限の定めのない債権 | 債権成立時 |
返還期限の定めのない消費貸借 | 消費貸借契約のときから相当期間の経過後 |
債務不履行による損害賠償請求権 | 本来の債務の履行を請求できるとき |
不法行為による損害賠償請求権 | ・被害者・代理人が損害および加害者を知ったとき ・不法行為時 |
それではまた次回。
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