今回は、貸借型契約を学習するわ!
物の貸し借りをする契約だモン!
本ブログでは、行政書士の試験科目「債権:貸借型契約」について要約しています。
行政書士を目指している方に向けて、下記の書籍を参考にして作成しました。
ほんのわずかでも、行政書士試験を受験される方の手助けになれたら幸いです。
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消費貸借契約
消費貸借契約とは何か
消費貸借契約とは、借主が種類・品質・数量の同じ物をもって返還することを約束して、貸主から金銭その他の物を受けとることによって成立する契約です。
消費貸借契約は、契約当事者の合意のほかに、目的物の引渡しをすることが成立要因です(要物契約)。
ただし、書面でする消費貸借契約は、契約当事者の合意だけで成立します(諾成契約)。
消費貸借契約の目的物は、金銭であることが多いですが、金銭以外の物を目的とすることもできます。
返還時期
返還時期を定めた場合
当事者が返還時期を定めた場合、その時期に返還することになります。
返還時期を定めなかった場合
当事者が返還時期を定めなかった場合、貸主は、相当の期間を定めて返還の催告ができます。
催告してから相当の期間が経過すると、貸主は履行遅滞に陥ります。
対して借主は、返還時期の定めの有無にかかわらず、いつでも返還できます。
使用貸借契約
使用貸借契約とは何か
使用貸借契約とは、貸主がある物を引き渡すことを約束し、借主が受けとった物について無償で使用・収益をして契約が終了したときに返還することを約束することで成立する契約です。
使用貸借契約の効力
貸主の義務
貸主は借主の使用・収益を受忍する消極的義務を負いますが、賃貸借の場合と異なり、積極的な修繕義務は負いません。
借主の義務
借主は、契約またはその目的物の性質によって定まった用法に従い、物の使用・収益をしなければなりません。
また借主は、貸主の承諾を得なければ、第三者に借用物の使用・収益をさせられません。
上記に違反して使用・収益をしたときは、貸主は、契約を解除できます。
費用の償還
借主は、借用物の通常の必要費を負担します。
通常の必要費以外の費用については、貸主に対して償還請求できます。
使用貸借契約の終了
目的物の返還時期
使用貸借契約における目的物の返還時期は、以下の通りです。
その時期に返還する
原則:目的に従った使用・収益の終わるときに返還する
例外:使用・収益に必要な期間経過したときは、貸主は契約の解除ができて、借主はいつでも契約の解除ができる
貸主・借主ともにいつでも契約の解除ができる
借主の死亡
使用貸借契約は、無償で目的物を貸すものなので、貸主が借主を信頼してなされるものです。
したがって、使用貸借契約は、借主の死亡によって当然に終了します。
賃貸借契約
賃貸借契約とは何か
賃貸借契約とは、賃貸人がある物の使用・収益を賃借人にさせることを約束し、賃借人が賃料を支払うことおよび引渡しを受けた物を、契約が終了したときに返還することを約束することにより成立する契約です。
敷金
敷金とは何か
敷金とは、いかなる名目によるかを問わず、賃料債務などを担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭です。
賃貸人は、
- 賃貸借が終了して賃貸物の返還を受けたとき
- 賃借人が適法に賃借権を譲り渡したとき
延滞賃料などの未払債務を差し引いて、敷金を返還しなければなりません。
敷金返還請求の相手方
賃貸人の地位が譲受人またはその継承人に移転した場合、敷金返還債務は譲受人またはその継承人に承継されます。
賃借権が移転した場合、敷金に関する敷金交付者の権利義務関係は、特段の事情のない限り、新賃借人に承継されます。
契約当事者の義務
賃貸人の義務
賃貸人は、賃借人に対して目的物を使用・収益させる義務を負います。
また、賃貸人は、賃貸物の使用・収益に必要な修繕をする義務を負います。
なお、賃借人が目的物の必要費や有益費を支出した場合、賃貸人は、これらの費用を償還する義務を負います。
費用償還義務
意味 | 償還時期 | |
必要費 | 使用・収益に適する状態に、 目的物を維持・保存するために必要な費用 | 直ちに償還しなければならない |
有益費 | 目的物の改良のために支出された費用 | 賃借物の増加が現存する限り、 賃貸借の終了するときに支出した費用 または増加額の償還をしなければならない |
また、賃貸借は有償契約なので、賃貸人は、売主と同様の担保責任を負います。
したがって、賃借人は、賃借物に対する権利に基づき自己に対して明渡しを請求できる第三者から明渡しを求められた場合には、それ以後、賃料の支払いを拒絶できます。
賃借人の義務
賃借人は、賃貸人に対して賃料を支払う義務を負います。
賃料とは、目的物の使用・収益に対する対価です。
賃借権の譲渡・転貸
賃借権の譲渡・転貸とは何か
賃借権の譲渡とは、賃借人が第三者に賃借権を譲渡し、自らは賃貸借関係から離脱することです。
転貸とは、賃借人が目的物を第三者に又貸しし、自らも賃貸借関係を存続させることです。
承諾のない譲渡・転貸(無断転貸)
賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、賃借物を譲渡または転貸できません。
承諾のない譲渡無断転貸の場合、賃貸人・賃借人・転借人の関係は、以下のようになります。
- 賃貸人は、契約を解除できる
- 賃借人が転借人に相当の担保を提供していない限り、転借人は、賃借人に対して転貸借の賃料の支払いを拒絶できる
- 原賃貸借を解除しなくても、賃貸人は、転借人に対して所有権に基づく建物の明渡しを請求できる
承諾のある譲渡・転貸
賃借権が適法に譲渡されると、旧賃借人は賃貸借関係から離脱します。
賃借人が適法に転貸したときは、転借人は、賃借人の債務の範囲を限度として賃貸人に対して直接に義務を負います。
なお、転借人は、賃料の前払いをもって賃貸人に対抗できません。
賃貸借の解除の効力
合意解除(賃貸人・賃借人) | 賃貸人は、転借人に対抗できない |
債務不履行(転借人)による解除 | 転借人は、賃貸人に対抗できない |
賃借人の第三者に対する関係
不動産賃借権の対抗力
不動産の賃貸借は、登記をしたときは、その不動産を取得した者その他の第三者に対抗できます。
賃貸人たる地位の移転
法令の規定による対抗要件を備えた場合において、その不動産が譲渡されたときは、その不動産の賃貸人たる地位は、譲渡人に移転します。
そして、賃貸人たる地位の移転は、不動産について所有権の移転の登記をしなければ、賃借人に対抗できません。
なお、賃貸人たる地位が譲受人に移転したときは、費用の償還に係る債務および敷金の返還に係る債務は、譲受人が承継します。
賃借権の二重設定
賃借権が二重に設定された場合の優劣は、対抗要件の先後で決まります。
不法占拠者との関係
所有者たる賃貸人は、不法占拠者に対して、所有権に基づく妨害排除請求権を行使できます。
そこで賃借人は、妨害排除請求権を代位行使できます。
また賃借人は、賃借権につき対抗要件を備えていれば、直接に賃借権に基づく返還請求もできます。
賃貸借と使用貸借の違い
契約の性質 | 対抗力 | 費用償還請求権 | 借主の死亡 | |
貸借権 | ・諾成契約 ・有償契約 | あり | ・必要費は直ちに ・有益費は賃貸借終了時 | 契約終了しない |
使用貸借 | ・諾成契約 ・無償契約 | なし | ・通常の必要費は不可 ・非常の必要費・有益費は目的物返還時 | 契約終了 |
それではまた次回。
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