今回は、遺言・遺留分について学習するわ!
遺言は頻出分野だモン!
本ブログでは、行政書士の試験科目「相続:遺言・遺留分」について要約しています。
行政書士を目指している方に向けて、下記の書籍を参考にして作成しました。
ほんのわずかでも、行政書士試験を受験される方の手助けになれたら幸いです。
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遺言の要件
遺言能力
遺言者は、遺言をする時においてその能力を有しなければなりません。
もっとも、遺言に行為能力の規定の適用はありませんので、遺言能力は、財産法上の行為能力とは異なります。
遺言が遺言者の死後に効力を生じるものであり、制限行為能力制度により遺言者を保護する必要がないからです。
遺言能力
未成年者 | 15歳に達した者は、単独で有効な遺言をすることができる |
成年被後見人 | 事理を弁識する能力を一時回復した時において遺言をするには、 医師2人以上の立ち合いがなければならない |
被保佐人 | 制限なし |
被補助人 | 制限なし |
遺言事項
遺言は法定の事項についてのみすることができ、これに反する遺言は無効となります。
遺言の方式
種類
遺言は、遺言者の真意を確保し、のちの変造・偽造を防止するため、厳格な要式行為となっています。
遺言の方式には、普通方式と特別法式があります。
普通方式の遺言
自筆証書遺言 | 公正証書遺言 | 秘密証書遺言 | |
長所 | ・他人の関与なしに用意に作成 ・費用がかからない | ・遺言の存在と内容が明確 ・方式の不備が生じにくい | 遺言の内容を秘密にできる |
短所 | 遺言書の偽造や滅失のおそれ | 承認に遺言の内容を知られる | 手続が複雑で手間がかかる |
公証人 | 関与しない | 関与する | 関与する |
証人 | 不用 | 必要 | 必要 |
検認 | 必要 | 不用 | 必要 |
特別方式には、死が差し迫り普通方式に従った遺言をする余裕のない場合に用いられます。
特別方式
- 死亡危急者遺言
- 伝染病隔離者遺言
- 在船者遺言
- 船舶遭難者遺言
自筆証書遺言の方式
自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、全文・日付・指名を自書し、印を押さなければなりません。
また、自筆証書の遺言を変更するには、変更の場所を指示し、変更内容を付記して署名し、かつ、変更の場所に押印しなければ効力を生じません。
公正証書遺言の方式
公正証書によって遺言をするには、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授しなければなりません。
秘密証書遺言の方式
秘密証書によって遺言をするには、遺言者が
- 証書に署名・押印
- 証書を用いた印章により封印
- 公証人1人および証人2人以上の面前で
- 当該証書が自己の遺言書である旨や筆者の指名・住所
を申述する必要があります。
遺言の証人・立会人
自筆証書遺言については、証人・立会人は不用ですが、公正証書遺言・秘密証書遺言については、証人・立会人が必要です。
共同遺言の禁止
遺言は、2人以上の者が同一の証書でできません。
したがって、夫婦であっても同一の証書で遺言できません。
遺言の効力
効力発生時期
遺言は、遺言者の死亡の時から効力を生じます。
もっとも、遺言に停止条件をした場合において、その条件が遺言者の死亡後に成就したときは、遺言は条件が成就した時から効力を生じます。
遺贈
遺贈とは何か
遺贈とは、遺言により遺産の全部または一部を無償で他人に譲渡する単独行為です。
種類
遺贈には、遺産の全部または一定割合を示してなす包括遺贈と、特定の具体的な財産を指定してなす特定遺贈があります。
遺贈の種類
包括遺贈 | 特定遺贈 | |
承認・放棄 | ・相続人と同様、熟慮期間内にしなければならない ・家裁への申述が必要 | ・自由になしうる ・家裁への申述は不用 |
撤回 | 不可 | 不可 |
遺贈の承認または放棄の催告
遺贈義務者その他の利害関係人は、受遺者に対し、相当の期間を定めて、期間内に遺贈の承認または放棄をすべき旨の催告をできます。
受贈者が、期間内に遺贈義務者に対してその意思を表示しないときは、遺贈を承認したものとみなされます。
負担付遺贈
負担付遺贈とは、受遺者に一定の義務を課する内容を有する遺贈です。
受遺者は、遺贈の目的の価値を超えない限度においてのみ、負担した義務を履行する責任を負います。
遺言の執行
遺言の執行とは、遺言の内容を実現するため、登記の移転や物の引渡しなどの法律行為・事実行為をすることです。
検認
検認とは、遺言書の保存を確実にして後日の変造や隠匿を防ぐ証拠保全手続です。
遺言者の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、遺言書を家裁に提出して、検認を請求しなければなりません。
また、遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も同様とされます。
もっとも、公正証書遺言については、偽造・変造のおそれがないので、検認は不用です。
遺言執行者
遺言執行者とは、遺言の執行のために特に選任された者です。
遺言執行者がある場合には、相続人は、遺言の執行を妨げるべき行為をすることができず、違反して相続人が遺贈の目的物についてした処分は無効です。
遺言の撤回
撤回自由の原則
遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、遺言の全部または一部を撤回できます。
また遺言者は、遺言を撤回する権利を放棄できません。
撤回の擬制
撤回の擬制
- 前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分
- 遺言が遺言後の生前処分その他の法律行為と抵触するときは、その抵触する部分
- 遺言者が故意に遺言書・遺贈の目的物を破棄したときは、その破棄した部分
撤回の効果
撤回された遺言は、撤回の行為が撤回され、取り消され、または効力を生じなくなるに至ったときであっても、効力を回復しません。
ただし、撤回行為が錯誤、詐欺または強迫による場合は、撤回された遺言が復活します。
遺留分
遺留分の範囲
兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、遺留分を算定するための財産の価額に、直系尊属のみが相続人である場合は1/3、それ以外の場合は1/2を乗じた額を受けます。
遺留分侵害額請求権
遺留分権利者およびその承継人は、受遺者・受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求できます。
遺留分を侵害する遺言がなされたとしても、遺言は当然に無効となるわけではなく、遺留分侵害額請求の対象となるにすぎません。
遺留分の放棄
相続の開始前における遺留分の放棄は、家裁の許可を受けたときに限り、効力を生じます。
また、共同相続人の1人のした遺留分の放棄は、他の各共同相続人の遺留分に影響を及ぼしません。
それではまた次回。
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