今回は、行政法総論を学習するわ!
最高裁の判例をよく読むんだモン!
本ブログでは、行政書士の試験科目「行政法の一般的な法理論:行政法総論」について要約しています。
行政書士を目指している方に向けて、下記の書籍を参考にして作成しました。
ほんのわずかでも、行政書士試験を受験される方の手助けになれたら幸いです。
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行政法の一般原則
法律による行政の原理
行政活動は国民の生活に密接にかかわるものであり、無秩序に行われると国民の権利が侵害されるおそれがあります。
そこで行政活動は、国民の代表機関である国会によって作られた法律に沿って行わなければなりません(法律による行政の原理)。
法律による行政の原理
法律の法規創造力 | 法律によってのみ人の権利義務を左右する法規を創造できるとする原則 |
法律の優位 | 法律の規定と行政活動が抵触する場合、法律が優位に立ち行政活動は無効になるとする原則 |
法律の留保 | 行政活動を行う場合には、事前に法律でその根拠が規定されていなければならないとする原則 |
その他の一般原則
行政法については、法律による行政の原理の他にも、以下の原則があります。
行政法の一般原則
信義則の原則 | 国や地方公共団体は、国民の信頼を裏切らないように誠意をもって行動すべきである |
権利濫用禁止 | 行政権の行使が正当な範囲を逸脱するような場合には、権利の濫用としてその効果は認められない |
比例原則 | 行政目的を達成するために、必要最小限度を超えた制約を課すことは許されない |
平等原則 | 国や地方公共団体が行政活動をするにあたり、国民を合理的な理由なく差別することは禁止する |
説明責任の原則 | 国や地方公共団体は、自らの活動を各種の手段を通じて国民に説明する責任がある |
最重要判例
行政法上の法律関係
行政法上の法律関係とは、国や地方公共団体と国民の間の権利義務関係です。
公法と私法
行政上の法律関係については、国や地方公共団体と国民の間の関係を定めた公法が適用されるのが原則です。
もっとも、国民と国民の間の法律関係を定めた私法が適用される場合もあります。
不動産と登記
民法177条は、不動産に関する物権変動は、登記をしなければ第三者に対抗できないとしています。
これは、物権変動があったことを登記により表示させることで、不動産取引を安全に行えるようにしたものです。
行政上の法律関係に基づく物権変動について民法177条が適用されるかどうかは、結論が分かれています。
適用される | 適用されない |
租税滞納処分に基づく差押え | 旧自作農創設特別措置法に基づく農地買収処分 |
消滅時効
民法167条は、人の生命・身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効期間を20年としているのに対し、会計法30条は、国に対する金銭債権の消滅時効期間を5年としているため、どちらの規定が適用されるかが問題となります。
最重要判例
境界線付近における建築物の建築
民法234条1項は、建物を築造するには境界線から50cm以上の距離を保たなければならないとしているのに対し、建築基準法63条は、防火地域・準防火地域内にある外壁が耐火構造の建築物については、その外壁を隣地境界線に接して設けることができるとしているため、どちらの規定が適用されるかが問題となります(最判平1.9.19)。
公営住宅の使用関係
公営住宅の使用関係については、公営住宅法という公法の一種が適用されるので、民法および借家法という私法の適用もあるのかどうかが問題となります。
最高裁の判例は、公営住宅の使用関係については、公営住宅法およびこれに基づく条例が優先して適用されるとしつつも、公営住宅法およびこれに基づく条例に特別の定めがない限り、民法および借家法(借地借家法)が適用され、その契約関係を規律するについては、信頼関係の法理の適用があるとしています。
行政上の権利
行政上の権利とは、国民が行政主体に対して有している権利です。
行政上の権利については、譲渡や相続が否定されることがあります。
公営住宅の入居者が死亡した場合には、その相続人が当該公営住宅を使用する権利を当然に承継すると解する余地はない
年金給付の受給権者が死亡した場合に、国民年金法の規定に基づいて一定の遺族が自己の名で未支給の年金の支給を請求できる権利は、相続の対象とならない
生活保護法の規定に基づいて生活保護を受けることは、単なる反射的利益ではなく、保護受給権とも称すべき法的権利であるが、一身専属の権利であって相続の対象となり得ない
原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律に基づく認定の申請がされた健康管理手当の受給権は、国家補償的性質を有するものであり、当該申請をした者の一身に専属する権利ということはできず、相続の対象となる
強行法規と取締法規
行政法のうち、強行法規に違反する契約は当然に無効とされますが、取締法規に違反する契約は当然に無効とされるわけではありません。
それではまた次回。
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