今回は、不利益処分を学習するわ!
不利益処分は、申請拒否処分と比較して学ぶんだモン!
本ブログでは、行政書士の試験科目「行政手続法:不利益処分」について要約しています。
行政書士を目指している方に向けて、下記の書籍を参考にして作成しました。
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不利益処分とは何か
不利益処分とは、行政庁が法令に基づき、特定の者を名あて人として直接に義務を課し、または権利を制限する処分です。
ただし、申請により求められた許認可等を拒否する処分(申請許可処分)は、不利益処分に当たりません。
申請拒否処分は、「申請に対する処分」の規定により処理されるからです。
処分基準
処分基準とは、不利益処分をするかどうかまたはどのような不利益処分とするかについて、法令の定めに従って判断するために必要とされる基準です。
処分基準は、不利益処分がなされる違反事例が明らかになることで、反対に許される違反事例も明らかになってしまい、かえって違反行為を助長するおそれがあります。
そこで行政庁は、処分基準を定め、かつ、公にしておくよう努めなければならないとされ、処分基準の設定・公開については、審査基準の場合と異なり、努力義務にとどめられています。
なお、行政庁は、処分基準を定めるに当たっては、不利益処分の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければなりません。
設定・公開
設定 | 公開 | |
審査基準 | 法的義務 | 法的義務 |
標準処理期間 | 努力義務 | 法的義務 |
処分基準 | 努力義務 | 努力義務 |
理由の提示
行政庁は、不利益処分をする場合は、名あて人に対し、同時に、処分の理由を示さなければならないとされています。
理由を付記すべきとしているのは、処分庁の慎重・合理性を担保として恣意を抑制するとともに、不服の申立てに便宜を与えるためです。
ただし、理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合は、名あて人の所在が判明しなくなったときその他処分後において理由を示すことが困難な事情があるときを除き、処分後相当の期間内に、理由を示さなければなりません。
なお、不利益処分を書面でするときは、理由も書面により示さなければなりません。
最重要判例<<不利益処分と理由の提示の程度
意見陳述手続
行政庁は、不利益処分をしようとする場合には、不利益処分の名あて人について、意見陳述のための手続をとらなければなりません。
意見陳述のための手続は、処分が与える不利益の程度に応じて、2つに分かれています。
不利益の程度が重い不利益処分をする場合、名あて人が期日に出頭して意見を述べるという裁判のような手厚い手続(聴聞)が執られます。
不利益の程度が軽い不利益処分をする場合、名あて人が書面に言い分を書いて提出し、行政庁が目を通すというシンプルな手続(弁明の機会の付与)が執られます。
聴聞
聴聞の手続は、大まかに、
- 行政庁による通知
- 主催者の下での審理
- 聴聞調書・報告書の作成・提出
- 不利益処分
という流れで行われます。
行政庁による通知
行政庁は、聴聞を行うに当たっては、聴聞を行うべき期日までに相当な期間をおいて、不利益処分の名あて人となるべき者に対し、予定される不利益処分の内容および根拠となる法令の条項や、不利益処分の原因となる事実などを書面により通知しなければなりません。
聴聞の通知を受けた者を当事者といいます。
当事者は、代理人を選任して聴聞手続を行わせることができます。
当事者以外の者で、不利益処分の根拠となる法令に照らして、不利益処分について利害関係を有すると認められる者を関係人といいます。
関係人は、主催者の許可を得て聴聞手続に参加(参加人)できます。
主催者の下での審理
聴聞は、行政庁が指名する職員その他政令で定める者が主催します。
通知を受けた名あて人は、期日に指定された場所に出頭して、主催者の下で審理を受けます。
主催者は、裁判官のような役割を果たすことになります。
なお、聴聞を公正に行う必要があることから、聴聞の当事者または参加人やこれらの配偶者・4親等内の親族・同居の親族などは、聴聞を主催できません。
聴聞手続においては、口頭審理主義が採られており、裁判と同様に、主催者が行政庁と名あて人の意見を聞きながら、不利益処分が適法かどうかを判断します。
なお、プライバシーや企業秘密の保護、行政庁の事務負担を考慮し、聴聞の期日における審理は、行政庁が公開することを相当と認めるときを除き、公開しません。
聴聞調書・報告書の作成・提出
審理が終わると、主催者は、聴聞の審理の経過を記載した聴聞調書と、不利益処分の原因となる事実に対する当事者等の主張に理由があるかどうかについての意見を記載した報告書を作成し、行政庁に提出しなければなりません。
当事者または参加人は、聴聞調書と報告書の閲覧を求めることができます。
不利益処分の決定
行政庁は、聴聞調書や報告書に記載されたことを十分に参酌して、不利益処分をするかどうかの決定をしなければなりません。
もっとも、必ず主催者の意見を採用しなければならないというわけではありません。
審査請求の制限
聴聞手続における処分または不作為については、審査請求をすることができません。
弁明の機会の付与
行政庁による通知
弁明の機会の付与においても、聴聞の場合と同様、行政庁は、不利益処分の名あて人に対して、予定される不利益処分の内容などを書面により通知しなければなりません。
書面による心理
弁明は、行政庁が口頭ですることを認めたときを除き、弁明を記載した書面(弁明書)を提出してするものとされています。
そして行政庁は、提出された弁明書を参考にしつつ、不利益処分をするかどうかの決定をします。
聴聞と弁明
聴聞 | 弁明 | |
主催者 | あり | なし |
審理方式 | 口頭 | 書面(原則) |
文書等の閲覧 | 認められる | 認められない |
参加人の関与 | あり | なし |
通知に伴う教示 | 必要 | 不要 |
それではまた次回。
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