国会では、条文からの出題がほとんどだわ!
条文をくり返し読むんだモン。
本ブログでは、行政書士の試験科目「統治・国会」について要約しています。
行政書士を目指している方に向けて、下記の書籍を参考にして作成しました。
ほんのわずかでも、行政書士試験を受験される方の手助けになれたら幸いです。
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権力分立
権力分立とは、国家権力をその性質に応じて「立法権」「行政権」「司法権」の3つに区別し、それぞれ異なる機関に担当させ、相互に抑制しあうことでバランスを保たせようとする仕組みのことです。
国家権力を1つの期間に集中させると、その機関が自分勝手に権力を使って、国民の権利を侵害する恐れがあることから認められた仕組みです。
憲法では、それぞれを「国会」「内閣」「裁判所」が担当するものとしています。
国会の地位
憲法は国会に対して、「国民の代表機関」「国権の最高機関」「唯一の立法機関」という3つの地位を付与しています。
国民の代表機関
国会は、全国民を代表する選挙された議員で組織されるので、国民の代表機関といえます。
「全国民を代表」とは、国民は国会議員を通じて行動し、国会議員が行った行為は、国会議員を選挙で選んだ国民の意思を反映しているものと考えられます(政治的意味の代表)。
決して、法的に、国民と国会議員の政治的意思の一致が、要求されているわけではありません。
国会議員は、自己の信念に基づいてのみ発言・表決し、選挙母体である選挙区などの訓令には拘束されないという自由委任の原則が採用されます。
国権の最高機関
国会は、国権の最高機関とされています(41条)。
「最高機関」とは、国会が他の機関に優先する権力をもつという意味ではなく、国会議員が主権者である国民により直接選挙されるので、国会が政治の中心的地位を占める機関であることを強調したにすぎないとされています(政治的美称説)。
唯一の立法機関
国会は国の唯一の立法機関であるとされ、国会が立法権を独占しています(41条)。
立法の意味
立法には、国法の一形式である法律の定立という形式的意味の立法と、「法規」という特定の内容の法規範の定立という実質的意味の立法の2つがあります。
41条の立法は、実質的意味の立法を意味します。
「法規」の内容については、民主主義の憲法体制では、不特定多数の人に対し、不特定の場合・事件に適用される法規範とされます(一般的・抽象的な法規範)。
唯一の意味
国会が唯一の立法機関であるとは、「国会中心立法の原則」「国会単独立法の原則」の2つを意味します。
唯一の立法機関
国会中心立法の原則 | 意味=国の立法はすべて国会によって行われる 例外=議員規則(58条2項)・最高裁判所規則(77条1項) |
国会単独立法の原則 | 意味=国会の立法が他の機関の関与を必要としない 例外=地方特別法の制定に住民投票が必要(95条) |
二院制
二院制とは何か
国会は、衆議院と参議院の2つの院で構成されています(二院制)。
二院制が採用された理由
- 衆議院の誤りや軽率な行為を参議院にチェックさせる
- 選挙区や任期の違う2つの院を設けることで、その場所・その時における国民の意思を忠実に反映する
衆議院と参議院
任期
任期とは、国会議員が議員として在任できる一定の機関です。
衆議院の任期は4年で、解散があります。
衆議院の任期は6年で、3年ごとに議員の半数が改選されますが、解散はありません。
兼職の禁止
憲法が二院制を採用している趣旨を害しないように、同時に両議院の議員になることはできません。
衆議院の優越
国会の議決は両議院で可決したときに成立しますが、両議院の力関係を対等にすると、意見が対立した場合に何も決めることができなくなってしまいます。
そこで憲法は、衆議院が参議院に対して優越することとしています(衆議院の優越)。
衆議院の方が任期が短く解散もあるため、頻繁に選挙がなされることになり、その時々の国民の意思を強く反映しているといえるからです。
- 予算の先議権(60条1項)
- 内閣不信任決議権(69条)
- 法律案の議決(59条2項~4項)
- 予算の議決(60条2項)
- 条約の承認(61条)
- 内閣総理大臣の指名(67条2項)
法律案の議決
法律案の議決については、以下の流れになります。
法律案の議決
予算の議決
予算の議決については、以下の流れになります。
予算の議決
条約の承認
条約の承認については、予算の議決と同じ措置が取られています
内閣総理大臣の指名
内閣総理大臣の指名については、以下の流れになります。
内閣総理大臣の指名
衆議院の優越のまとめ
法律案の議決 | 予算の議決 | 条約の承認 | 内閣総理大臣の指名 | |
衆議院の先議権 | なし | あり | なし | なし |
両院協議会 | 任意 | 必要 | 必要 | 必要 |
参議院が議決しない期間 | 60日 | 30日 | 30日 | 10日 |
衆議院の再議決 | あり | なし | なし | なし |
国会の活動
会期
国会の活動は、一定の期間に限られています(会期)。
会期中に議決されなかった案件は、後会に継続しないのが原則です(会期不継続の原則)。
会期には、「常会」「臨時会」「特別会」の3種類があります。
常会
常会とは、一般に通常国会と呼ばれ、予算の議決などのために毎年1回招集される国会です。
臨時会
臨時会とは、臨時の必要に応じて招集される国会です。
内閣は、国会の臨時会の招集を決定できますが、どちらかの議員の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は招集を決定しなければなりません。
特別会
特別会とは、衆議院の解散後に行われる解散総選挙の後に招集される国会です。
衆議院が解散されたときは、解散の日から40日以内に総選挙を行い、選挙の日から30日以内に特別会を招集しなければなりません。
参議院の緊急集会
衆議院が解散されたときは、参議院は同時に閉会となりますが、内閣は、緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができます。
参議院の緊急集会とは、参議院が国会の機能を代行する制度で、自衛隊の防衛出勤や災害緊急措置などです。
会議の原則
定足数(ていそくすう)
定足数とは、議事・議決を行うために最低限必要な出席者数です(総議員の3分の1以上)。
表決数
表決数とは、意思決定を行うのに必要な賛成表決の数です。
憲法は、特別の定めのある場合を除いて出席議員の過半数としていて、可否同数のときは、議長が決定権をもっています。
特別の定めのある場合
出席議員の3分の2以上 | ・議員の資格を失わせる ・秘密会を開く ・議員を除名 ・衆議院で法律案を再可決 |
総議員の3分の2以上 | ・憲法改正の発議 |
会議の公開
両議院の会議は、公開するのが原則です。
ただし、出席議員の3分の2以上で議決したときは、秘密会を開くことができます。
なお、出席議員の5分の1以上の要求があれば、各議員の表決を会議録に記載しなければいけません。
国会議員の特権
歳費受領権
憲法は国会議員に対して、「歳費受領権」「不逮捕特権」「免責特権」の3つの特権を付与しています。
歳費受領権
国会議員には、相当額の歳費受領権が認められています。
不逮捕特権
両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中は逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、議院の要求があれば、会期中に釈放しなければなりません(不逮捕特権)。
免責特権
両議院の議員は、議院で行った演説・討論・は表決について、院外で責任は問われません(免責特権)。
<事案>
国会議員の質疑等によって名誉を毀損された病院長が自殺したため、その妻が損害賠償を求めて争った。
<結論>
損害賠償請求は認められない。
<判旨>
国会議員が国会で行った質疑等において、個別の国民の名誉や信用を低下させる発言があったとしても、これによって当然に国家賠償法1条1項の規定にいう違法な行為があったものとして国の損害賠償責任が生ずるものではなく、この責任が肯定されるためには、当該国会議員が、その職務とはかかわりなく違法または不当な目的をもって事実を摘示し、あるいは、虚偽であることを知りながらあえてその事実を摘示するなど、国会議員がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認め得るような特別の事情があることを必要とする。
国会と議員の権能
国会の権能は、両議院の意見が一致しないと行使できませんが、議院の権能は、両議院のどちらか一方だけで行使できます。
国会の権能
法律の制定
法律の制定は国会の機能です。
条約の承認
条約の締結は国民の権利義務に重大な影響を及ぼすので、国民の代表機関である国会の承認が必要とされています。
弾劾裁判所の設置
内閣総理大臣の指名
憲法改正の発議
議院の権能
議員の資格争訟の裁判権
裁判は、裁判所ではなく議院が行います。
役員の選任権
議員規則制定権・議員懲罰権
懲罰は議員懲罰権といい、国政調査権以外の3つを議院の自律権といいます。
国政調査権
国政調査権は、各議員に与えられた権能を実行的に行使するための認められた補助的な権能であると考えられています。
それではまた次回。
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