今回は、債務不履行を学習するわ!
債務不履行の3つの類型は、しっかりと覚えるモン!
本ブログでは、行政書士の試験科目「債権:債務不履行」について要約しています。
行政書士を目指している方に向けて、下記の書籍を参考にして作成しました。
ほんのわずかでも、行政書士試験を受験される方の手助けになれたら幸いです。
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債務不履行とは何か
債務不履行とは、債務者が債務の本旨に従った履行をしないことです。
この債務不履行には、期限を過ぎる「履行遅滞」、履行が不可能となる「履行不能」、形の上では履行がなされたが、それが債務の本旨に従った完全な履行ではない「不完全履行」の3種類があります。
債務不履行の要件
債務不履行の事実
履行遅滞
履行遅滞といえるためには、以下の3つの要件を満たす必要があります。
履行遅滞の要件
- 履行が可能である
- 履行期を徒過した
- 履行遅滞が違法である(同時履行の抗弁権・遺留権が存在しないこと)
履行遅滞の起算点
確定期限のある債権 | 期限到来時 |
不確定期限のある債権 | 債務者が期限到来後請求を受けたとき または期限の到来を知ったときのいずれか早いとき |
期限の定めのない債権 | 請求を受けたとき |
返還時期の定めのない貸借 | 貸主が返還の催告をしてから相当期間の経過後 |
債務不履行による損害賠償請求権 | 請求を受けたとき |
不法行為による損害賠償請求権 | 不法行為時 |
履行不能
履行が不能かどうかは、契約その他の債務の発生原因および取引上の社会通念に照らして判断されます。
たとえば、引き渡すべき目的物が滅失した場合のみならず、不動産が第三者に二重に譲渡されて登記が経由された場合なども履行不能に当たります。
不完全履行
不完全履行は、損害のあり方という観点から大きく2つに分類できます。
不完全履行の分類
瑕疵型 | 給付の目的物に瑕疵がある場合 |
拡大損害型 | 目的物の瑕疵が原因で、給付した目的物以外に損害が発生する場合 |
損害の発生・因果関係
債務不履行による損害賠償責任が発生するためには、損害の発生およびその損害と債務不履行の事実との間に因果関係があることが必要です。
金銭債務の特則
金銭の給付を目的とする債務の不履行による損害賠償については、債務者は、不可抗力をもって対抗することができませんので、帰責事由の有無を問わず損害賠償責任を負います。
なぜなら、金銭は相当の利息を支払えば容易に入手できるものであり、履行不能が考えられないからです。
また債権者は、損害の証明をすることを要しません。
したがって債権者は、債務不履行の事実だけを証明すればよいです。
債務不履行の効果
債務不履行があった場合、債権者は、「履行の強制」「損害賠償請求」といった2つの措置をとることができます。
履行の強制
債務者が任意に債務の履行をしないときは、債権者は、履行の強制を裁判所に請求できます。
このように、債務不履行の場合、債権者に履行請求権が認められ、債権を強制的に実現することができます。
もっとも、具体的にどのような方法で債権が実現されるのかは、債務の種類ごとに異なっています。
債務者の財産に対して実力行使をし、債務者の意思を無視して債権の内容を実現する方法
債務者に代わって第三者に債務の内容を実現させ、それに要する費用を債務者から強制的に撤収する方法
債務を履行しないことに対し一定額の金銭の支払いを命じることにより、債務者の履行を経済的に強制する方法
損害賠償請求
要件
債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときまたは債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求できます。
ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因および取引上の社会通念に照らして、債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、損害の賠償を請求できません。
履行補助者を用いた場合の責任
履行補助者とは、債務者が債務を履行するにあたって使用する者のことです。
履行補助者の行為は、債務不履行があったといえるかどうか、「債務者の責めに帰することができない事由」があったといえるかどうかを判断する際に、考慮されることがあります。
損害賠償の方法
損害賠償は、別段の意思表示がないときは、金銭をもってその額を定めるものとされています。
このように、損害賠償の方法は、金銭を支払うことによって損害が発生しなかった状態を回復する金銭賠償が、原則とされています。
損害賠償の範囲
債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることを目的とします。
この趣旨は、債務不履行と関係のある損害をすべて損害賠償の範囲とすると、賠償しなければならない損害が無限に拡大するおそれがあることから、損害賠償の範囲を合理的に制限する点にあります。
ただし、特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見すべきであったときは、債権者は、その賠償を請求できます。
損害額の調整ー過失相殺
債務の不履行またはこれによる損害の発生・拡大に関して債権者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の責任および額を定めるものとされています(過失相殺)。
過失相殺は、損害の発生・拡大が債務者の過失だけでなく、債権者の過失も原因となっていた場合に、損害のすべてについて債務者に負担させることは公平に反するからです。
損害賠償額の予定
当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができます。
この趣旨は、債務不履行による損害賠償をめぐって損害の有無・損害賠償の範囲などについて紛争が生じることが多いため、このような紛争を避ける点にあります。
それではまた次回。
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