今回は、契約総論を学習するわ!
各種契約を学習する前提になるモン!
本ブログでは、行政書士の試験科目「債権:契約総論」について要約しています。
行政書士を目指している方に向けて、下記の書籍を参考にして作成しました。
ほんのわずかでも、行政書士試験を受験される方の手助けになれたら幸いです。
- 九州を拠点に自動車販売店を経営
- 2015年より金融系ブログ作成
- ほったらかし投資が座右の銘
契約の分類
双務契約と片務契約
- 契約当事者が互いに対価的債務を負担する契約
- 売買・賃貸借・請負・有償委任・有償寄託
- 契約当事者が互いに対価的債務を負担しない契約
- 贈与、消費貸借、使用貸借、無償委任、無償寄託
双務契約には、同時履行の抗弁権・危険負担の規定の適用がありますが、片務契約にはありません。
有償契約と無償契約
- 契約当事者が互いに対価的出費をする契約
- 売買、賃貸借、請負、有償委任、有償寄託、利息付消費貸借
- 契約当事者が互いに対価的出費をしない契約
- 贈与、使用貸借、無償委任、無償寄託、無利息消費貸借
有償契約には、担保責任などの売買の規定がありますが、無償契約にはありません。
諾成契約と要物契約
- 契約当事者の合意のみで成立する契約
- 贈与、売買、書面でする消費貸借、使用貸借、賃貸借、請負、委任、寄託
- 合意のほか、目的物の引渡しが成立要件である契約
- 書面によらない消費貸借
契約の成立
申込みと承諾
契約は、申込みと承諾が合致することで成立します。
承諾者が、申込みに条件を付し変更を加えて承諾したときは、申込みの拒絶とともに新たな申込みをしたものとみなされます。
隔地者間の契約
隔地者間の契約とは、対話者間のように申込みと承諾がその場でなされない場合の契約です。
申込みの撤回
意思表示は、通知が相手方に到達したときから効力を生ずるので、申込みが到達する前なら撤回可能
撤回不可(撤回権を留保した場合を除き)
承諾通知を受けるのに相当な期間撤回不可(撤回権を留保した場合を除き)
申込者が申込みに対して承諾期間内に承諾の通知を受けなかったときは、その申込みは効力を失います。
意思能力喪失・行為能力制限
意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、意思能力を喪失し、または行為能力の制限を受けたときであっても、そのために効力を妨げられません。
申込みの場合には例外として、申込者がその事実が生じたとすればその申込みは効力を有しない旨の意思を表示した場合、または、相手方が承諾の通知を発する前に申込者の死亡・意思能力の喪失・行為能力の制限の事実を知っていた場合には、効力を失います。
同時履行の抗弁権
同時履行の抗弁権とは何か
双務契約の当事者の一方は、相手方が債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができます(同時履行の抗弁権)。
趣旨は、双務契約の当事者間の公平を図ることです。
要件
1個の双務契約から生じた相対立する債務が存在すること
1個の双務契約から生じた相対立する債務として、同時履行の関係が認められるかどうかは、以下の通りです。
同時履行の関係にある | 同時履行の関係ではない |
・建物買取請求権が行使された場合の 土地明渡義務と買取代金支払義務 ・債務の弁済と受領証書 ・詐欺により買主が契約を取り消した場合の 当事者双方の原状回復義務 ・解除に基づく当事者双方の原状回復義務 | ・造作買取請求権が行使された場合の 建物明渡義務と買取支払義務 ・賃貸借終了時における敷金返還義務と建物明渡義務 ・債務の弁済と債務の担保のために経由された 抵当権設定登記の抹消義務 |
相手方の債務が弁済期にあること
相手方の債務が弁済期にないときは、同時履行の抗弁権を行使できません。
相手方が自己の債務の履行またはその提供をしないで履行を請求すること
双務契約の当事者の一方は、相手方から履行の提供を受けても、その提供が継続されない限り、同時履行の抗弁権を失いません。
効果
当事者の一方が相手方に対して、訴訟上、債務の履行を請求した場合、同時履行の抗弁権を主張すれば、引換給付判決がなされます。
留置権と同時履行の抗弁権
留置権 | 同時履行の抗弁権 | |
性質 | 法定担保物件 | 債務契約の効力として認められる抗弁権 |
相手方 | すべての者 | 契約当事者たる相手方 |
目的物の占有を失った場合 | 行使できない | 行使できる |
拒絶できる給付 | 物の引渡し | 物の引渡しに限られない |
拒絶できる自己の債務 | 債務の全額 | 相手方の不履行に応じて割合的 |
代担保による消滅請求 | 可能 | 不可 |
訴訟上の効果 | 引換給付判決 | 引換給付判決 |
危険負担
危険負担とは、双務契約上の債務の一方が、債務者の責めに帰することができない事由によって履行できなくなった場合に、他方の債務の履行を拒絶できるか否かという問題のことです。
当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行できなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができます。
なお、債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行できなくなったときは、債権者を保護する必要はないので、債権者は、反対給付の履行を拒めません。
第三者のためにする契約
AはBに対して自己所有の絵画を100万円で売ったが、AはCに対して100万円の借金があったため、この契約において、代金100万円はBがCに対して直接支払うこととされた。
第三者のためにする契約とは、契約当事者ではない第三者が利益を受けるような内容の契約です。
上図において、契約当事者は要約者Aと諾約者Bですが、契約当事者ではない受益者Cが代金100万円という利益を受ける内容になっていますから、第三者(受益者)のためにする契約といえます。
第三者のためにする契約においては、第三者の権利は、第三者(受益者)が諾約者に対して契約の利益を享受する意思を表示したときに発生(支払請求権)します。
契約の解除
契約の解除とは何か
契約の解除とは、契約成立後に生じた一定の事由を理由として、契約の効力を一方的に消滅させる意思表示です。
契約の解除は、契約の拘束力を受けることによって生ずる不利益を回避するための救済手段です。
要件
解除の要件は、相当の期間を定めた催告とそうでない場合があります。
債務不履行による解除の要件
- 相当の期間を定めた催告による解除
*相当の期間を経過したときにおける債務の不履行が、その契約および取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、解除できない
- 債務が不履行の場合
- 債務者が債務の履行を拒絶する意思を明確にした場合
- 債務の一部が履行不能または債務者が債務の一部の履行を拒絶した場合において、残存部分のみでは契約をした目的を達成できないとき
- 特定の日時または一定の期間内において履行をしなければ、契約をした目的を達成できないとき
- 債務者が債務の履行をせず、債権者が催告をしても見込みがないことが明らかな場合
手続
契約の解除は、相手方に対する意思表示によってなされます。
契約の解除の意思表示は、撤回できません。
また、当事者の一方が数人ある場合には、契約の解除は、全員からまたは全員に対してのみできます。
したがって、解除権が当事者のうちの1人について消滅したときは、他の者についても消滅することになります(解除権の不可分性)。
効果
当事者の一方が解除権を行使したときは、各当事者は、相手方を原状に復させる義務(原状回復義務)を負います。
もっとも、原状回復義務を理由として第三者の権利を害することはできません。
それではまた次回。
コメント