今回は、権利移転型契約を学習するわ!
「贈与契約」「売買契約」「交換契約」だモン!
本ブログでは、行政書士の試験科目「債権:権利移転型契約」について要約しています。
行政書士を目指している方に向けて、下記の書籍を参考にして作成しました。
ほんのわずかでも、行政書士試験を受験される方の手助けになれたら幸いです。
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- ほったらかし投資が座右の銘
贈与契約
贈与契約とは何か
贈与契約とは、当事者の一方(贈与者)がある財産を無償で相手方(受贈者)に与える契約です。
要するに、プレゼントをする契約ですね。
書面によらない贈与
贈与契約が書面によらないでなされた場合(書面によらない贈与)、各当事者は、贈与契約を解除できます。
贈与者が軽率に贈与することを予防し、かつ、贈与の意思を明確にする点に趣旨があります。
もっとも、すでに受けとった物を返せと言われたら、受贈者も困ってしまいます。
そこで、履行の終わった部分は、解除できないとされています。
履行の終わった部分
動産 | 引渡しがあれば「履行の終わった部分」に当たる |
不動産 | 引渡しまたは登記があれば「履行の終わった部分」に当たる |
贈与者の担保責任
贈与者は、贈与の目的である物・権利を、贈与の目的として特定したときの状態で引き渡し、または移転することを約したものと推定され、原則として担保責任を負いません。
一方、負担付贈与については、贈与者は、負担の限度において売主と同じく担保の責任を負います。
特殊の贈与
定期贈与
定期の給付を目的とする定期贈与は、贈与者または受贈者の死亡によって効力を失います。
負担付贈与
負担付贈与とは、贈与に際して受贈者もなんらかの給付義務を負うものです。
負担付贈与については、その性質に反しない限り、双務契約に関する規定が準用されます。
したがって、同時履行の抗弁権・危険負担・解除の規定の適用があります。
死因贈与
贈与者の死亡によって効力を生ずる死因贈与は、あくまで贈与契約であって、遺言による遺贈とは異なります。
もっとも、実質的には類似した性質を有するので、死因贈与については、遺贈に関する規定が準用されます。
売買契約
売買契約とは何か
売買契約とは、当事者の一方(売主)がある物(財産権)を相手方(買主)に移転し、相手方がこれに対して代金を支払う契約です。
売買契約に関する費用は、公平の観点から、当事者双方が等しい割合で負担します。
手付
手付とは何か
手付とは、売買契約の締結の際に当事者の一方から他方に交付される金銭などのことです。
約定解除権の合意という機能を有する手付
契約成立の証拠としての手付
手付の没収だけで済ませ別途損害賠償を請求できない
手付の没収以外に現実に被った損害の賠償請求が可能
解約手付による解除
買主が売主に手付を交付したときは、相手方が契約の履行に着手するまでは、買主は手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解除をできます。
なお、解約手付による解除権を行使しても、債務不履行による解除とは異なり、損害賠償を請求できません。
売主の担保責任
売主の担保責任とは何か
売主の担保責任とは、売買契約の目的物が契約の内容に適合せず、このため買主が契約締結のときに予期した結果に反する場合に、売主が負うべき責任のことです。
売主の担保責任が認められているのは、売買契約の目的物が契約の内容に適合せず代金と釣り合っていない場合、売主が得をして買主が損をするため不公平となるからです。
他人物売買の効力
他人物売買は、権利者に売買成立当時から他に権利を譲渡する意思がなく、売主がこれを取得して買主に移転できないような場合でも有効に成立します。
要件
買主が売主の担保責任を追及できるのは、引き渡された目的物が種類・品質・数量に関して、契約の内容に適合しない場合(契約内容不適合)です。
買主の善意無過失は要求されませんが、買主に帰責事由がある場合、売主の担保責任を追及できません。
効果
買主は売主に対し、以下の履行の追完を請求できます。
- 目的物の修補
- 代替物の引渡し
- 不足分の引渡し
また、不適合の程度に応じて代金の減額を請求できます。
代金減額請求の要件
原則 | 相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは代金減額請求ができる |
例外 | 以下の場合、無催告で代金減額請求ができる ・履行の追完が不能の場合 ・売主が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示した場合 ・特定の日時または一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達成できない場合において、 売主が履行の追完をしないでその時期を経過したとき ・買主が催告しても履行の追完を受ける見込みがないことが明らかな場合 |
期間制限
売主の担保責任を主張できる期間は、以下の通りです。
売主の担保責任の期間制限
目的物の種類・品質 に関する不適合 | 買主が不適合を知ったときから1年以内にその旨を売主に通知する必要がある *売主が目的物の引渡し時に不適合を知り、または重大な過失によって知らなかったときは、 通知は不要であり、消滅時効の一般原則に戻る |
目的物の数量や 権利移転義務の不適合 | 買主が不適合を知ったときから5年または目的物の引渡し時から10年(消滅時効の一般原則) |
売買契約の効力
契約当事者の義務
売主は、売買契約の目的物(財産権)を買主に移転する義務を負い、買主は、売主に対して代金を支払う義務を負います。
果実・代金の利息
目的物の引渡し前 (代金未払) | 果実は売主に帰属する |
目的物の引渡し前 (代金支払済) | 果実は買主に帰属する |
目的物の引渡後 | 果実は買主に帰属するが、代金支払期限が到来している場合、引渡日から利息支払い義務を負う |
代金支払拒絶権
売買の目的について権利を主張する者があることその他の事由により、買主が買い受けた権利の全部もしくは一部を取得できず、または失うおそれがあるときは、買主は、売主が相当の担保を供した場合を除き、その危険の程度に応じて、代金の全部または一部の支払いを拒むことができます。
また、買い受けた不動産について契約内容に適合しない先取特権・質権・抵当権の登記があるときは、買主は、抵当権消滅請求等の担保物件を消滅させる手続が終わるまで、代金の支払いを拒むことができます。
買戻し
買戻しとは、売買契約の際の特約によって、売主が代金および契約の費用を買主に返還することによって売買契約を解約し、目的物を取り戻すことです。
買戻しは、借金をする際に債務を弁済すれば買い戻せるという特約付で、債務者が所有する物を債務者に譲渡するといった形で、担保目的の利用がなされています。
交換契約
交換契約とは、当事者が互いに金銭の所有権以外の財産権を移転する契約です。
売買契約が物とお金を交換する契約であるのに対し、交換契約は、物と物を交換する契約といえます。
それではまた次回。
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