今回は、役務提供型契約を学習するわ!
労働力の提供を目的とする契約だモン!
本ブログでは、行政書士の試験科目「債権:役務提供型契約」について要約しています。
行政書士を目指している方に向けて、下記の書籍を参考にして作成しました。
ほんのわずかでも、行政書士試験を受験される方の手助けになれたら幸いです。
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雇用契約
雇用契約とは、被用者が使用者に対して労働に従事することを約束し、相手方がこれに対して報酬を与えることを約束することによって成立する契約です。
雇用契約においては、被用者が使用者に従属する点が特徴です。
そして、労働者は、約束した労働を終わった後でなければ、報酬を請求できないとされており、雇用契約においては、報酬の後払いが原則とされています。
請負契約
請負契約とは何か
請負契約とは、請負人が仕事を完成することを約束し、注文者が仕事の結果に対して報酬を与える約束をすることによって成立する契約です。
請負契約は、雇用契約とは異なり、請負人は注文者から独立しています。
請負契約の報酬は、目的物の引渡しと同時に支払わなければならないとされており、請負契約においては、目的物の引渡しと報酬の支払いの同時履行が原則です。
下請負
下請負とは、請負人が請け負った仕事の全部または一部をさらに第三者に請け負わせることです。
下請負は、請負人本人の能力に着目された特別な請負を除き、原則として可能です。
下請負がなされた場合、下請負人は元請負人の履行補助者となるので、下請負人の故意・過失につき元請負人が責任を負います。
目的物の所有権の帰属
請負契約の目的物の所有権は、以下のように属します。
目的物の所有権は、原始的に注文者に帰属する
- 原則:請負人が所有権を取得し、引渡によって注文者に移転する
- 例外:特約がある場合には、目的物の所有権は注文者に属する
:注文者が代金の全部または大部分を支払っている場合には、
特約の存在が推認され、目的物の所有権は原始的に注文者に属する
請負人の担保責任
売主の担保責任の規定は、請負契約にも適用されるので、請負人は売主と同様の担保責任を負います。
請負契約の終了
仕事未完成の間の注文者の解除権
請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を補償して契約を解除できます。
なぜなら、無用になった仕事を続けさせて注文者のコストを大きくする必要はないからです。
注文者の破産手続き開始決定による解除権
注文者が破産手続き開始の決定を受けたときは、請負人または破産管理人は、契約を解除できます。
ただし請負人は、仕事を完成した後は契約を解除できません。
委任契約
委任契約とは何か
委任契約とは、委任者が法律行為をすることを受任者に委託し、相手方がこれを承認することによって成立する契約です。
委任契約も、請負契約と同様、受任者は委任者から独立しています。
委任契約は、雇用契約や請負契約とは異なり、特約がなければ報酬を請求できません。
そして、報酬がある場合でも、委任事務を履行した後でなければ、報酬を請求できません。
受任者の義務
受任者は、報酬についての特約があるかどうかにかかわらず、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負います。
注意義務
善管注意義務を負う者 | 注意義務を負わない者 |
・留置権者 ・質権者 ・特定物引渡債権の債務者 ・受任者 ・事務管理者 | ・無報酬の受寄者 |
付随的義務
受任者がなすべき事柄の内容は契約ごとに多様ですが、民法では、委任事務の処理に際して通常なすことを要する事柄についての規定があります(付随的義務)。
受任者は、委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理の状況を報告し、委任が終了した後は、遅滞なくその経過および結果を報告しなければならない
受任者は、委任事務を処理するにあたって受け取った金銭その他の物を委任者に引き渡さなければならない
受任者は、委任者のために自己の名で取得した権利を委任者に移転しなければならない
受任者は、委任者に引き渡すべき金額またはその利益のために用いるべき金額を自己のために消費したときは、その消費した日以後の利息を支払わなければならず、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う
複委任の可否
複委任とは、第三者に自己の代わりに事務を処理させることです。
委任は信頼関係を基礎としているので、受任者は、委任者の許諾を得たときまたはやむを得ない事由があるときでなければ、複委任者を選任できません。
委任者の義務
委任者は、受任者に損失を与えないために、以下の義務を負っています。
委任事務を処理するについて費用を要するときは、委任者は、受任者の請求により、その前払をしなければならない
受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、委任者に対し、その費用および支出の日以後におけるその利息の償還を請求できる
受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる債務を負担したときは、委任者に対し、自己に代わってその弁済をすることを請求できる
その債務が弁済期にないときは、委任者に対し、相当の担保を供させることができる
受任者は、委任事務を処理するため事故に過失なく損害を受けたときは、委任者に対し、その賠償を請求できる
委任の終了
委任解除権
委任は、各当事者がいつでもその解除をできます。
もっとも、当事者の一方が相手方に不利な時期に委任の解除をしたときや、委任者が受任者の利益をも目的とする委任を解除したときは、当事者の一方は、やむを得ない事由があったときを除き、相手方の損害を賠償しなければなりません。
死亡・破産・後見開始
死亡 | 破産 | 後見開始 | |
委任者 | 終了する | 終了する | 終了しない |
受任者 | 終了する | 終了する | 終了する |
寄託契約
寄託契約とは何か
寄託契約とは、寄託者がある物を保管することを受寄者に委託し、受寄者が承諾することで成立する契約です。
寄託契約の場合、委任契約の場合と同じく、特約がなければ報酬を請求できません。
受寄者の注意義務
無報酬の受寄者は、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、寄託物を保管すれば足りますが、報酬についての特約がある場合には、全菅注意義務をもって寄託物を保管する義務を負います。
委任の規定の準用
寄託については、委任の規定が準用されます。
委任の規定の準用
受寄者の義務 | 寄託者の義務 |
・受領物・果実の引渡義務 ・取得権利の移転義務 ・金銭消費の責任 | ・特約ある場合の報酬支払義務 ・費用前払義務 ・費用償還義務 ・債務の代弁済 ・担保提供義務 |
寄託物の返還時期
寄託物の返還時期
返還時期を定めた場合 | 返還時期を定めなかった場合 | |
寄託者 | いつでも返還請求できる | いつでも返還請求できる |
受寄者 | やむを得ない事由がある場合を除き、返還時期に返還する | いつでも返還できる |
それではまた次回。
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