今回は、代理を学習するわ!
法律行為(契約)を、他人に代わってもらう行為だモン!
本ブログでは、行政書士の試験科目「総論・代理」について要約しています。
行政書士を目指している方に向けて、下記の書籍を参考にして作成しました。
ほんのわずかでも、行政書士試験を受験される方の手助けになれたら幸いです。
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代理とは何か
代理とは何か
契約は、本人が自ら相手方との間で結ぶのが原則ですが、本人が自ら契約を結ぶことが難しい場合もあります。
そこで、他人に代わりに契約を結んでもらい、その効果を本人に帰属させる制度があります(代理)。
代理の種類
代理には、任意代理と法定代理があります。
任意代理は、他人を利用することで自分の活動範囲を広げるための制度で、法定代理は、未成年者など能力の不十分な人でも活動できるよう代理人にサポートさせるための制度です。
代理
任意代理 | 本人が他人に代理を授与することで始まる |
法定代理 | 本人の意思によらずに法律上の代理権が与えられる |
代理の成立要件
代理人の成立要件は、「代理権」「顕名」「有効な代理行為」です。
代理権
範囲
任意代理の場合、代理権の範囲は、代理権を与える契約によって定められます。
一方の法定代理の場合、代理権の範囲は、法律によって決まっています。
なお、権限の定めのない代理人は、「保存行為」「代理の目的である物または権利の性質を変えない範囲において、その利用または改良を目的とする行為をする権限」を有します。
自己契約・双方代理
自己契約
- 本人が代理人に土地の購入をお願いしたところ、代理人は自分の土地を本人に売却した。
双方代理
- 土地を買いたい本人Aと、土地を売りたい本人Bの両方の代理人になった。
自己契約と双方代理は、本人の利益を損なう恐れがあるので、無権代理となります。
代理権の濫用
代理権の濫用とは、代理権の範囲内で代理人が代理行為を行ったが、実は自己または第三者の利益を図るための行為であり、本人が損害を被る場合のことです。
代理権の濫用の場合、代理権の範囲内の行為なので、代理行為は原則として有効です。
しかし、相手方が悪意有過失の場合は、無権代理行為とみなされます。
代理権の消滅
代理権の消滅
死亡 | 破産 | 後見開始 | 解約告知 | ||
任意代理 | 本人 | 〇 | 〇 | × | 〇 |
代理人 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
法定代理 | 本人 | 〇 | × | × | × |
代理人 | 〇 | 〇 | 〇 | × |
顕名
顕名とは、代理人が代理行為をする旨を示すことです。
顕名がある場合、本人に対して直接に代理行為の効果が帰属します。
なお、顕名がない場合、本人に効果が帰属せず、代理人自身のための契約をしたものとみなされます。
ただし、相手方が知っていたり、知ることができたときは、本人に効果が帰属します。
代理行為
代理が成功するためには、有効な代理行為が必要です。
したがって、代理行為が無効となる場合、代理行為の効果は本人に帰属しません。
代理行為の瑕疵
意思表示の瑕疵・不存在または表意者の悪意有過失によって意思表示の効力が影響を受ける場合、その有無は代理人を基準として判断します。
なぜなら、代理における行為者はあくまでも代理人だからです。
もっとも、特定の法律行為をすることを委任された場合、代理人がその行為をしたときに、本人は、自ら知っていた事情や過失によって知らなかった事情について代理人は知らなかったと主張できません。
本人が代理人の意思決定に影響を及ぼしていた場合には、本人が代理人の善意を主張できるとすることは公平に反するからです。
代理人の能力
制限行為能力者が代理人として行為しても、その効果は本人に帰属し制限行為能力者には不利益は生じないので、代理行為を行為能力の制限によって取り消すことはできません。
ただし、制限行為能力者が制限行為能力者の法定代理人としてした行為については、他の制限行為能力者の保護を図る必要があるので、取り消せます。
複代理
民法は、代理人がさらに代理人(復代理人)を選任する復代理の制度を設けています。
選任と責任
復代理人の選任の要件と、復代理人を選任した場合の代理人の責任は、任意代理と法定代理では異なります。
復代理人の選任と責任
任意代理 | 法定代理 | |
復代理人の選任 | 本人の許諾を得たとき、またはやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任できない | 自由に復代理人を選任できる |
代理人の責任 | 選任・監督以外にも責任を負う | 【原則】選任・監督以外にも責任を負う 【例外】やむを得ない事由で選任した場合、選任・監督のみ責任を負う |
復代理人と本人との関係
復代理人は、権限内の行為について、本人を代表します。
復代理人は、代理人の代理人ではなく、本人の代理人なのです。
また、復代理人は、本人および第三者に対して、権限の範囲内において、代理人と同一の権利を有し、義務を負います。
復代理人の代理権の範囲は、代理人の代理権の範囲を超えることはできません。
無権代理
無権代理とは何か
代理権のない人が本人の代理人として契約する場合を無権代理といい、代理権のない代理人を無権代理人といいます。
無権代理の場合、原則、効果は本人に帰属しません。
もっとも、本人にとって有益な場合もあるので、本人は、事後的に効果帰属を認めることができます(追認)。
追認がなされると、無権代理の効果は契約の時にさかのぼって本人に帰属します。
逆に本人が追認拒絶をした場合は、無権代理行為の効果は無効となります。
相手方がとりうる手段
催告権
相手方は、本人に対して相当の期間を定めて、追認するかどうかの催告をすることができます。
そして、本人が期間内に回答しないときは、追認を拒絶した者とみなされます。
催告権の趣旨は、無権代理人の相手方は帰属効果の有無が確定されるまでは不安定な状態なので、相手方の主導で効果を確定できるようにする点にあります。
取消権
無権代理人がした契約は、本人が追認しない間は、相手方が取り消すことができます。
もっとも、契約の時に代理権を有していないことを知っていたときは、取り消しできません。
無権代理人の責任
無権代理人は、自己の代理権を証明したとき、または本人の追認を得たときを除いて、相手方に対して履行または損害賠償の責任を負います。
もっとも、無権代理人が代理権を有しなかったことについて相手方が悪意または有過失であったとき、または、無権代理人が行為能力の制限を受けていたときは、無権代理人の責任を追及できません。
無権代理と相続
【単独相続】
- 無権代理人が本人の地位を相続した場合は、無権代理行為は有効になる。
- 本人が追認を拒絶した後に死亡した場合は、無権代理行為は有効にならない。
【共同相続】
- 無権代理人が本人の地位を共同相続した場合、共同相続人全員が共同して無権代理行為を追認しない限り、無権代理人の相続分に相当する部分においても、無権代理行為が当然に有効となるものではない。
- 本人は、無権代理行為を拒絶できる。
- 本人は、117条に基づく無権代理人の責任を承継する。
- 無権代理人の地位を相続した後に、本人の地位をも相続した第三者は、無権代理行為の追認を拒絶できない。
- 「無権代理人が本人を相続」と同じになる。
表見代理
無権代理について、本人にも責められる点があり、相手方が有効な代理行為と信じるのも無理がない場合に、代理行為の効果を本人に帰属させる制度を表見代理といいます。
表見代理
表見代理には、以下の3種類があります。
代理権授与の表示があり、表示された代理権の範囲内で代理行為がなされ、相手方が代理権の不存在につき過失なく知らなかった。
代理人が権限外の行為をし、相手方が代理人に権限があると信ずるべき正当な理由がある場合。
代理権が消滅した後に、消滅した代理権の範囲内で代理行為がなされ、相手方が代理権の消滅につき過失なく知らなかった場合。
なお、表見代理の重畳適用(ちょうじょうてきよう)もあります。
それではまた次回。
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