今回は、担保物件を学習するわ!
4つの担保物件を学習するモン!
本ブログでは、行政書士の試験科目「物権:担保物権」について要約しています。
行政書士を目指している方に向けて、下記の書籍を参考にして作成しました。
ほんのわずかでも、行政書士試験を受験される方の手助けになれたら幸いです。
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担保物件とは何か
担保物件の分類
担保物件とは、他人の持っている物を、自分の債権の満足を確保するために処分する権利です。
担保物件は、法律が規定する一定の要件を満たすと当然に成立する法定担保物件と、契約によって成立する約定担保物件に分類されます。
担保物件の種類
担保物件の効力
担保物件の効力には、以下の3つがあります。
担保物件の効力
優先弁済的効力 | 債務の弁済が得られないときに、担保の目的物の有する価値から他の債権者に優先して弁済を受けられる効力 |
留置的効力 | 債務が完済されるまで担保権者が目的物を留置できる効力 |
収益的効力 | 担保権者が担保の目的物を収益し債務の弁済に充当できる効力 |
担保物件の通有性
担保物件の通有性には、以下の4つがあります。
担保物件の通有性
付従性 | 債権が発生しなければ担保物件も発生せず、債権が消滅すれば担保物件も消滅する |
随伴性 | 被担保債権が第三者に移転すると、担保物件も第三者に移転する |
不可分性 | 被担保債権の全額の弁済を受けるまで、目的物のすべてについて権利を行使できる |
物上代位性 | 目的物の売却・賃貸・滅失・損傷によって、債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても優先弁済的効力を行使できる |
担保物件のまとめ
留置権 | 先取特権 | 質権 | 抵当権 | |
優先弁済的効力 | × | 〇 | 〇 | 〇 |
留置的効力 | 〇 | × | 〇 | × |
収益的効力 | × | × | 〇(不動産) | × |
付従性 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
随伴性 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
不可分性 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
物上代位性 | × | 〇 | 〇 | 〇 |
留置権
留置権とは何か
AはBに対して、自分の所有する時計の修理を依頼して引き渡した。Bは時計の修理を完了し、修理代金の請求をしたが、Aは修理代を払ってくれない、その後、AはBに対して時計の返還を請求した。
Aの時計の修理をしてあげたBは、修理代金債権を有するので、債権の弁済を受けるまで時計を留置することが認められています(留置権)。
要件
他人の物を占有していること
留置権の目的物は、債権者の占有する他人の物であればよく、必ずしも債務者の所有物である必要はありません。
その物に関して生じた債権を有していること
他人の物の占有者がその物に関して生じた債権を有していることが必要とされています(債権物との牽連性)。
債権と物との牽連性が認められるか否かについては、以下の表のようになります。
債権と物との牽連性
認められる | 認められない |
・借地人の建物買取請求権の行使によって発生した建物代金債権と土地 ・不動産の買主が売買代金を未払いのまま 目的物を第三者に譲渡した場合における、売主の買主に対する代金支払請求権と目的物 | ・借家人の造作買取請求権の行使によって発生した 造作代金債権と建物 ・不動産の二重売買で一方の買主のため所有権移転登記がされた場合 における、他方の買主の売主に対する損害賠償請求権と不動産 ・不動産の賃貸借が終了した場合における、賃借人の賃借人に対する敷金返還請求権と不動産 ・他人物売買の売主が真の所有者から所有権を取得して移転できなかった場合における、買主の売主に対する損害賠償請求権と目的物 |
債権が弁済期にあること
期限前には履行を強制し得ないことから、債権が弁済期にあることが必要です。
占有が不法行為によって始まったものではないこと
占有が不法行為によって始まったものであるときは、留置権は成立しません。
効力
引換給付判決
物の引渡しを求める訴訟において、被告が留置権を主張した場合、原告の請求を全面的に棄却することなく、その物に関して生じた債権の弁済と引き換えに、物の引渡しを命ずる引換給付判決をすべきものとされています。
不可分性
留置権者は、債権のすべての弁済を受けるまでは、留置物のすべてについてその権利を行使できます。
善管注意義務
留置権者は、善良な管理者の注意をもって、留置物を占有しなければなりません。
また留置権者は、留置物の保存に必要な使用をする場合を除き、債務者の承諾を得なければ、留置物の使用・賃貸・担保提供ができません。
上記の規定に違反したときは、債務者は留置権の消滅を請求できます。
果実からの債権回収
留置権者は、留置物から生ずる果実を取得し、他の債権者に先立って、自己の債権の弁済に充当できます。
ただし、留置権には収益的効力はないので、留置物を賃貸するには債務者の承諾が必要となります。
費用償還請求権
留置権者は、留置物について有益費を支出したときは、価格の増加が現存する限り、所有者の選択に従い支出した金額または増加額を償還させることができます。
留置権の消滅
債権の消滅時効
留置権の行使は、債権の消滅時効の進行を妨げません(請求が必要)。
代担保の請求
債務者は、相当の担保を供して、留置権の消滅を請求できます。
被担保債権額に比べて、過大な価値の物が留置されている場合に実益があります。
占有の喪失
留置権は、留置権者が留置物の占有を失うことで消滅しますが、債務者の承諾を得て留置物を賃貸し、または質権の目的としたときは消滅しません。
先取特権
先取特権とは何か
Aは、Bをパートで雇い製造業を営んでいたが、経営に行き詰ったため、Bの今月分の給料10万円を支払っていなかった。またAは、銀行からも90万円を借りており、こちらも返済していなかった。なお、Aは現在手持ちの資金が10万円しかなかった。
給料債権のように、特に保護すべき債権を有する者は、債務者の財産から他の債権者に優先して、債権の弁済を受けることができます(先物特権)。
したがって、上の事例では、Bは銀行に優先して10万円全額の分配を受けることができます。
先物特権の種類
先物特権は、総財産を目的とする「一般先物特権」、特定の動産を目的とする「動産先物特権」、特定の不動産を目的とする「不動産先取特権」の3種類に分類されます。
一般先取特権
一般先取特権の被担保債権には、共益の費用、雇用関係、葬式の費用、日用品の供給の4種類があります。
動産先取特権
不動産の賃貸借、旅館の宿泊・旅客または荷物の運輸、動産の保存、動産の売買、種苗または肥料の供給、農業の労務、工業の労務によって生じた債権を有する者は、債務者の特定の動産について先取特権を有します。
不動産先先取特権
不動産の保存・工事・売買によって生じた債権を有する者は、債務者の特定の不動産について先取特権を有します。
効力
優先弁済権
先取特権の中心的な効力は、優先弁済権です。
物上代位
先取特権は、目的物の売却・賃貸・滅失または損傷によって、債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても行使できます(物上代位)。
ただし、物上代位をするためには、払渡しまたは引渡しの前に差押えをしなければなりません。
質権
質権とは何か
Aは、Bからお金を借りる際に、貸金債権を担保するため、自分の所有する時計に質権を設定する契約をした上で、時計をBに引き渡した。
質権とは、債権の担保として債務者または第三者から受けとった物(時計)を占有し、かつ、物について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利です。
質権者は、債権が弁済されなかった場合には、債務者から受けとった物を競売にかけて、その代金から優先的に弁済を得られます。
質権には、以下の3種類があります。
質権の種類
動産質 | 不動産質 | 権利質 | |
対抗要件 | 占有の継続 | 登記 | 設定者からの通知または第三債務者の承諾 |
存続期間 | なし | 10年 | なし |
使用収益権 | なし | あり | なし |
果実収取権 | 収取して他の債権者に優先して債務に充当可 | 当然に可 | ー |
質権の設定
質権の設定は、債権者に目的物を引き渡すことによって、その効力を生じます。
もっとも質権者は、質権設定者に、自己に代わって質物の占有をさせることはできませんので、占有改定はここにいう引渡しには当たりません。
質権の効力
被担保債権の範囲
質権は、設定行為に別段の定めがある場合を除き、元本・利息・違約金・質権の実行の費用・質物の保存の費用および債務の不履行または質物の隠れた瑕疵によって生じた損害の賠償を担保します。
抵当権の被担保債権の範囲が制限されているのに対し、質権の被担保債権の範囲に制限がないのは、後順位者が現れる可能性が少なく、後順位者の期待を考慮する必要がないからです。
留置的効力
質権者は、被担保債権の弁済を受けるまでは、質物を留置できます。
ただし、この留置的能力は、自己に対して優先権(先取特権など)を有する債権者に対抗できません。
優先弁済的効力
競売により目的物を換価することで優先弁済を得られるだけでなく、果実から優先弁済を受けることも可能です。
転質
転質とは、質権者が質物をさらに質入することです。
質権者は、その権利の存続期間内において、自己の責任で質物を転質できます。
この場合、転質をしたことによって生じた損失については、不可抗力によるものであっても、責任を負わなければなりません。
流質契約
質権設定者は、設定行為または債務の弁済期前の契約において、質権者に弁済として質物の所有権を取得させ、その他法律に定める方法によらないで質物を処分させることを約すること(流質契約)はできません。
対して、債務の弁済期後の契約においては流質契約は可能です。
抵当権
抵当権とは何か
Aは、Bからお金を借りる際に、貸金債権を担保するため、自分の所有する建物に抵当権を設定する契約をした上で、引き続きこの建物に住んでいる。
抵当権とは、債務者または第三者が占有を移転しないで債務に提供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利です。
抵当権者は、債権が弁済されなかった場合には、抵当権を実行して(競売)代金から優先的に弁済を得ることができます。
抵当権と質権
- 抵当権の目的物は不動産に限られている
- 質権の目的物は不動産に限られていない
- 抵当権は目的物の占有を債権者に移転しない
- 質権は目的物の占有を債権者に移転する
抵当権の設定
目的
民法上、抵当権の目的となるのは不動産とされており、動産に抵当権を設定できません。
なお、地上権・永小作権にも抵当権を設定できます。
被担保債権の範囲
抵当権は、付従性を有するので、被担保債権なしには成立しません。
もっとも、被担保債権は抵当権設定の時点で存在している必要はなく、将来の債権や条件付債権も被担保債権となり得ます(付従性の緩和)。
抵当権者は、利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、満期となった最後の2年分についてのみ、抵当権を行使できます。
無制限に利息や遅延損害金が担保されると、後順位抵当権者が目的物の担保価値を評価できなくなるからです。
抵当権の順位
同一の不動産に数個の抵当権が設定されたときは、抵当権の順位は登記の前後によります。
抵当権の順位は、各抵当権者の合意によって変更できますが、利害関係を有する者があるときは、その承諾を得なければなりません。
また、順位の変更は、登記をしなければ効力を生じません。
抵当権の効力
付加一体物
抵当権は、抵当権の上に存する建物を除き、その目的である不動産に付加して一体となっている物に及びます。
もっとも、設定行為に別段の定めがある場合および債務者の行為について詐害行為取消請求をできる場合は、付加して一体となっている物であっても抵当権の効力が及びません。
借地権
土地賃借人が土地上に有する建物について抵当権を設定した場合には、原則として、抵当権の効力は土地の賃借人に及びます。
なぜなら、借地権は建物の従たる権利だからです。
果実
抵当権は、担保する債権について不履行があったときは、その後に生じた抵当不動産の果実に及びます。
物上代位
AはBに対して3000万円の貸金債権を有しており、この債権を被担保債権としてB所有の建物に抵当権の設定を受けた。ところが、この建物は、抵当権設定後Cの放火により焼失してしまった。
抵当権は、目的物の売却・賃貸・滅失または損傷によって、債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても行使できます(物上代位)。
物上代位の目的物
物上代位できる | 物上代位できない |
・不法行為に基づく損害賠償請求権 ・火災保険金請求権 ・賃料債権 ・買戻代金債権 | ・転貸賃料債権 *抵当不動産の賃借人を所有者と 同視することを相当とする場合は物上代位できる |
抵当権者は、物上代位をするためには、払渡しまたは引渡しの前に差押えをしなければなりません。
差押えを要求される趣旨は、抵当権の効力が及ぶことを知らない第三者が弁済先を誤らないようにする点にあります。
抵当権侵害
妨害排除請求
第三者が抵当不動産を不法占拠することにより、抵当不動産の交換価値の実現が妨げられ、抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるような状態にあるときは、抵当権に基づく妨害排除請求をできます。
また、占有権原の設定を受けて抵当不動産を占有する者についても、抵当権の実行としての競売手続を妨害する目的が認められ、その占有により抵当不動産の交換価値の実現が妨げられ、抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるような状態にあるときは、抵当権に基づく妨害排除請求をできます。
損害賠償請求
抵当権が侵害され、抵当不動産の交換価値の減少により被担保債権の弁済を受けられなくなった場合、抵当権者は、侵害者に対して損害賠償請求をできます。
抵当権と抵当不動産利用権の調整
法定地上権
Aは、Bから1000万円を借り入れ、これを担保するため、自己の所有する土地建物のうち建物のみに抵当権を設定した。その後、抵当権が実行されてCはこの建物を買い受けた。
買受人Cは、建物の所有権を取得しても土地の利用権を有しないという不都合が生じます。
そこで、買受人のために法律上当然に地上権が発生します(法定地上権)。
法定地上権の要件は、以下の4つです。
法定地上権の要件
- 抵当権設定時、土地の上に建物がある
- 抵当権設定時、土地と建物の所有者が同一である
- 土地または建物の一方または双方に抵当権が設定された
- 土地または建物の所有者が競売により異なった
一括競売
更地に抵当権を設定した後に築造された建物のためには法定地上権が成立せず、このような縦建物が存在すると土地のみの競売が困難になります。
そこで、抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは、抵当権者は、土地とともに建物を競売できます。
もっとも、優先権は、土地の代価についてのみ行使できます。
抵当不動産の賃借人の保護
抵当権設定登記後に抵当建物について賃借権が設定された場合、賃借権は抵当権に対抗できず、賃借人は出ていかなければならないはずです。
そこで、以下のような賃借人の保護のための制度が設けられています。
登記をした賃貸借は、その登記前に登記をした抵当権を有するすべての者が同意をし、かつ、同意の登記があるときは、同意をした抵当権者に対抗できる
抵当建物使用者は、その建物の競売における買受人の買受けのときから6か月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡すことを要しないが、建物を使用したことの対価を支払う必要がある
抵当権の消滅
代価弁済・抵当権消滅請求
AはBから1000万円を借り入れ、これを担保するため、自己の所有する土地に抵当権を設定した。その後Aは、この土地をCに譲渡した。
上の事例のCのような、抵当不動産の所有権を取得した者を、第三取得者といいます。
第三取得者は、いつ抵当権が実行されるか分からないので、抵当権を消滅させて第三取得者の所有権を安定させる必要があります。
そこで、抵当権者が請求する代価弁済、第三取得者が請求する抵当権消滅請求が認められています。
代価弁済と抵当権消滅請求
代価弁済 | 抵当権消滅請求 |
抵当権者からの請求 | 第三取得者から請求 |
所有権または地上権を買い受けた第三者が対象 | 所有権を取得した第三者が対象 |
取得方法=有償 | 取得方法=無償でもいい |
抵当権の消滅時効
抵当権は、債務者および抵当権設定者に対しては、担保する債権と同時でなければ、時効によって消滅しません。
債務者および抵当権設定者との関係では、被担保債権が消滅しないのに抵当権だけが時効によって消滅することはありません。
目的物の取得時効による消滅
債務者または抵当権設定者でない者が、抵当不動産について取得時効に必要な要件を具備する占有をしたときは、抵当権は消滅します。
目的たる用益権の放棄
地上権または永小作権を抵当権の目的とした地上権者または永小作人は、その権利を放棄しても抵当権者には対抗できません。
なぜなら、抵当権の目的物として拘束を受けている以上、その権利の主体であっても、自由に消滅させられるものではないからです。
根抵当権
根抵当権とは何か
小売店を営むAは、問屋を営むBから継続的に供給を受ける商品の代金債務を100万円の限度で担保するため、自己の所有する土地に抵当権を設定した。
一定の範囲に属する不特定の債権を一定の額(極度額)まで担保するために設定する抵当権を根抵当権といいます。
そして、根抵当権によって担保される債権を元本といいます。
被担保債権の範囲
根抵当権者は、確定した元本・利息その他の定期金および債務の不履行によって生じた損害の全部について、極度額を限度として、根抵当権を行使できます。
内容の変更
根抵当権は継続的な取引から生ずる債権を担保するため、1つの債権が弁済されても消滅せず、長期間にわたって存続します。
その結果、途中で根抵当権に関わるさまざまな要素が変更する可能性があります。
そこで、このような状況の変化に対応するための規定が置かれています。
根抵当権の変更
被担保債権の範囲・債務者の変更 | 極度額の変更 | 元本確定期日の変更 |
元本確定前のみ | 元本確定後も可能 | 元本確定前のみ |
承諾不要 | 承諾必要 | 承諾不要 |
被担保債権の譲渡
元本確定前に根抵当権者から被担保債権を譲り受けた者は、その債権について根抵当権を行使できません。
また、元本確定前に被担保債務の債務引受があった場合は、根抵当権者は、引受人の債務について根抵当権を行使できません。
確定
確定とは、根抵当権によって担保される元本債権が特定され確定することです。
確定によってそれまでに生じた債権が被担保債権となり、その後に発生する元本債権は担保されなくなるので、根抵当権は通常の抵当権とほぼ同様になります。
したがって、債務者は確定した債務を弁済すれば根抵当権を消滅できますし、債権者は債権を根抵当権付きで譲渡できます。
極度額の減額請求
元本確定後においては、根抵当権設定者は、根抵当権の極度額を、現に存する債務の額と以後2年間に生ずべき利息その他の定期金および債務の不履行による損害賠償の額とを加えた額に減額請求できます。
元本確定時に被担保債権額が極度額に満たない場合、残存する担保価値を根抵当権設定者が利用できるようにするため、極度額の減額請求を認めたものです。
譲渡担保
譲渡担保とは何か
工場を経営するAは、Bからお金を借りる際に、資金債権を担保するため、自分の所有する機械の所有権を譲渡した上で、引き続きこの機械を使用している。
譲渡担保とは、債権の担保のため目的物の所有権などを債権者に譲渡し、一定期間内に債務を弁済した場合は所有権が再び債務者に復帰するという形式の担保です。
譲渡担保を設定した場合、Aが貸金債務を弁済すれば、機械の所有権はAに復帰しますが、弁済しなかった場合は、機械の所有権は確定的にBに帰属することになります。
譲渡担保権の及ぶ範囲
借地権
土地賃借人が土地上に所有する建物について譲渡担保権を設定した場合には、原則として、譲渡担保権の効力が土地の賃借権に及びます(抵当権と同様)。
物上代位
譲渡担保の目的物を債務者が第三者に売却した場合、譲渡担保権者は、債務者の第三者に対する売買代金債権についても、物上代位により譲渡担保権を行使できます。
譲渡担保権の実行
実行方法
債務者が債務を弁済しなかった場合の譲渡担保権の実行方法には以下の2種類があります。
譲渡担保権の実行方法
処分清算型 | 債権者が目的物を第三者に譲渡し、その売買代金を被担保債権の弁済に充て、 残額を債務者に返還する方法 |
帰属清算型 | 債務者が目的物の価値を適正に評価して、評価額と被担保債権の差額を債務者に返還し、 目的物の所有権を債務者に帰属させる方法 |
受戻権
受戻権とは、譲渡担保債権者が譲渡担保の実行を完了するまでの間、債務者が債務を弁済して目的物の所有権を回復させる権利です。
受戻権は、以下の時期に消滅します。
受戻権の消滅時期
処分清算型 | 債権者が目的物を第三者に譲渡したとき |
帰属清算型 | 債権者が債務者に対して清算金の支払いをしたとき、 または目的物の評価額が被担保債権額を上回らない旨を通知したとき |
集合動産譲渡担保
集合動産譲渡担保とは何か
集合動産譲渡担保とは、動産の集合体を対象として譲渡担保を設定した場合のことです。
構成部分の変動する集合動産であっても、その種類・所在場所・量的範囲を指定するなどの方法により目的物の範囲が特定される場合には、1個の集合物として譲渡担保の目的となり得ます。
対抗要件
集合動産譲渡担保の対抗要件は、引渡しであり、一般の動産物権変動の場合と同様に、占有改定の方法による引渡しが認められています。
設定者の処分権
集合動産の譲渡担保において、設定者がその目的物である動産につき通常の営業の範囲を超える売却をしたときは、目的物が譲渡担保の目的である集合物から離脱したと認められない限り、処分の相手方は目的物の所有権を承継取得できません。
集合債権譲渡担保
集合債権譲渡担保とは何か
集合債権譲渡担保とは、債権の集合体を対象として譲渡担保を設定した場合のことです。
集合債権の譲渡担保において、それが有効と認められるためには、契約締結時において、目的債権が他の債権から識別できる程度に特定されていれば足り、将来における目的債権の発生が確実といえることまで必要ありません。
対抗要件
集合債権譲渡担保の第三債務者に対する対抗要件は、設定者の第三債務者に対する通知または第三債務者の承諾です。
また、第三者に対する対抗要件は、通知または承諾が確定日付のある証書によってなされる必要があります。
それではまた次回。
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