今回は、所有権を学習するわ!
共有を中心に学ぶんだモン!
本ブログでは、行政書士の試験科目「物権:所有権」について要約しています。
行政書士を目指している方に向けて、下記の書籍を参考にして作成しました。
ほんのわずかでも、行政書士試験を受験される方の手助けになれたら幸いです。
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相隣関係
土地は通常、他の土地と隣接しているので、土地の利用は不可避的に近隣の他の土地の利用になんらかの影響を及ぼすことになります。
そこで民法では、隣接する土地相互間の利用を調整するために、相隣関係に関する規定を設けています。
隣地使用・立入権
土地の所有者は、以下の場合に隣地を使用できます。
- 境界またはその付近における障壁・建物その他の工作物の築造・収去・修繕
- 境界標の調査または境界に関する測量
- 境界線を越えた枝の区切りのため必要な範囲内
もっとも、住処については、居住者の承諾がなければ、立ち入ることはできません。
隣地通行権
通常の場合
他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、土地を囲んでいる他の土地を通行できます(隣地通行権)。
この趣旨は、土地の有効な利用を図る点にあります。
なお、隣地通行権を有する者は、通行する他の土地の損害に対して償金を支払わなければなりません。
分割・一部譲渡による場合
分割によって公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は、他の分割者の所有地のみを通行できます。
したがって、Aの所有者は、Bのみを通行できます。
この場合においては、償金を支払う必要はありません。
継続的給付を受けるための設備の設置権等
土地の所有者は、他の土地に設備を設置し、または他人が所有する設備を使用しなければ、電気・ガス・水道水の供給その他これらに類する継続的給付を受けられないときは、継続的給付を受けるために必要な範囲内で、他の土地に設備を設置し、または他人が所有する設備を使用できます。
雨水を隣地にそそぐ工作物の設置禁止
土地の所有者は、直接に雨水を隣地にそそぐ構造の屋根その他の工作物を設けてはなりません。
境界線上の境界標等の共有推定
境界線上に設けた境界線・障壁・溝・堀は、相隣者の共有に属するものと推定されます。
竹木の切除
枝について
土地の所有者は、隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、竹木の所有者に枝を切除させることができます。
以下の場合は、自ら枝を切り取ることができます。
- 竹木の所有者に枝を切除するように催告したにもかかわらず、相当の期間内に切除しないとき
- 竹木の所有者を知ることができず、または所在を知ることができないとき
- 急迫の事情があるとき
根について
隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、自ら根を切り取ることができます。
境界線付近の建築制限
境界線から1メートル未満の距離において、他人の宅地を見通すことのできる窓を設ける者は、目隠しを付けなければなりません。
所有権の取得
無主物先占
所有者のない動産については、所有の意思をもって占有することで、所有権を取得できます。
これに対して、所有権のない不動産は、国庫に帰属します。
遺失物取得
遺失物は、遺失物法の定めるところに従い公告をした後3か月以内に所有者が判明しないときは、拾得者が所有権を取得します。
埋蔵物発見
埋蔵物は、遺失物法の定めるところに従い公告をした後6か月以内に所有者が判明しないときは、発見者が所有権を取得します。
ただし、他人の所有する物の中から発見された埋蔵物は、発見者およびその他人が等しい割合で所有権を取得します。
添付
添付とは、数人の所有に属する数個物の結合や加工により生じた物について、社会経済的要求から所有権の取得を認めるものです。
付合
付合とは、数個の物が結合し一体化するか、または分離することができても、分離により社会経済的にみて著しく不利益になる状態を生ずることです。
不動産の所有者は、不動産に従として付合した物の所有権を取得します。
もっとも、権原によって物を附属させた他人の権利は妨げられません。
次に、所有者を異にする数個の動産が、付合により損傷しなければ分離することができなくなったとき、または分離するのに過分の費用を要するときは、合成物の所有権は、主たる動産の所有者に帰属します。
また、付合した動産について主従の区別ができないときは、各動産の所有者は、付合のときにおける価格の割合に応じて合成物を共有します。
混和
混和とは、各別の所有者に属する物が識別できなくなることです。
動産の付合が準用されます。
加工
加工とは、他人の動産に工作を加え、新たな物を製作することです。
加工者がいるときは、加工物の所有権は、材料の所有者に帰属するのが原則です。
もっとも、工作によって生じた価格が材料の価格を著しく超えるときは、加工者が所有権を取得します。
また、加工者が材料の一部を供した場合、材料の価格に工作により生じた価格を加えたものが、他人の材料の価格を超えるときも、加工者が所有権を取得します。
共有
2人以上の人が、1個の物を共同して所有することを共有といいます。
共有持分
共有持分とは何か
共有持分とは、共有者のそれぞれが目的物に対して有している権利です。
各共有者の持分は、当事者の合意で決定されるのが通常ですが、合意がないときは相等しいものと推定されます。
各共有者は、共有持分を自由に処分できます。
放棄等
共有者の1人が持分を放棄したとき、または死亡して相続人がないときは、その持分は他の共有者に帰属します。
共有物の利用
共有物の使用
各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができます。
共有物の保存・管理・変更
意味 | 具体例 | 決定方法 | |
保存 | 現状維持 | ・共有目的物の修繕 ・不法占有者に対する明渡請求 | 単独 |
管理 | ・利用・改良 ・軽微な変更 | ・賃貸借契約の解除 ・使用貸借契約の解除 | 持分価格の過半数 |
変更 | 著しい変更 | ・樹木全部の伐採 ・地上権の設定 ・売却 | 全員 |
共有物の分割
可否
各共有者は、いつでも共有物の分割を請求できます。
ただし、5年を超えない期間内は分割をしない契約をできます。
方法
共有物の分割方法には、共有物自体を分割する現物分割、共有物を売却してその代金を分割する代金分割があります。
また、以下のすべてに該当すれば、共有物を共有者のうちの1人の単独所有とし、単独所有者から他の共有者に対して持分の価格を賠償させる方法(全面的価格賠償)も許されます。
- 共有物を共有者のうち特定の者に取得させるのが相当
- 共有物の価格が適正に評価されている
- 他の共有者にとって、持分の価格を取得させられても共有者間の実質的公平を害しない
参加
共有物について権利を有する者および各共有者の債権者は、自己の費用で、分割に参加できます。
所有者不明土地・建物管理命令
裁判所は、所有者を知ることができず、またはその所在を知ることができない土地・建物について、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、その請求に係る土地・建物または共有部分を対象として、所有者不明土地・建物管理人による管理を命ずる処分(所有者不明土地・建物管理命令)ができます。
管理不全土地・建物管理命令
裁判所は、所有者による土地・建物の管理が不適当であることによって他人の権利または法律上保護される利益が侵害され、または侵害させるおそれがある場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により当該土地・建物を対象として、管理不全土地・建物管理人による管理を命ずる処分(管理不全土地・建物管理命令)ができます。
それではまた次回。
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