オプション取引｜アイアン・コンドルスプレッドをわかりやすく解説

相場が上がるか下がるかだけの投資に疲れていませんか？

相場の上下を当てるだけならば、なんとなく50％の確率で損益が決まると思いますよね。

しかし投資の世界は、それほど甘くはありません。

投資家の欲望が、勝率50％の確率を下げてしまうのです。

「勝率が半分以下なら、投資はやらないほうがいいのでは？」と、ほとんどの方が思うかもしれません．．．。

そこで、最大損失を限定させながらも、利益になる確率の高いオプション戦略「アイアン・コンドルスプレッド」を紹介します。

アイアン・コンドルスプレッドは、「ほったらかし」にしていても損失が限定されているので、こころとからだにやさしい「ほったらかし投資」です。

相場が上がっても下がっても、ましてや相場が動かなくても利益を運んでくれるアイアン・コンドルスプレッド。

オプション取引の強い味方「アイアン・コンドルスプレッド」をしっかりと理解して、投資の引き出しを一つ増やしてみませんか？

本記事は、アイアン・コンドルスプレッドについてわかりやすく解説しています。

アイアン・コンドルスプレッドへようこそ💘

アイアン・コンドルスプレッド

本記事のオプション取引は、「日経平均株価」を対象にしている「日経225オプション取引」です（日経平均株価とは？）。

日経225オプション取引については、日経225オプションとは？｜コール、プットなどの用語を解説！をご参考ください。

それでは、アイアン・コンドルスプレッドについてわかりやすく説明します。

レンジ相場

日経平均株価は、レンジ相場が多いといわれています。

レンジ相場とは、同じ範囲内で上下する相場のこと。

レンジ相場

レンジ相場では、上図のように線を引いて、相場が線の枠内にあれば利益になるような戦略をとればいいです。

アイアン・コンドルスプレッドの損益

利益限定

日経平均株価が20,000円～22,000円のレンジ相場であれば、日経平均株価が20,000円～22,000円で利益になるように、コールとプットそれぞれを売ります。

コール22,000円とプット20,000円を両方売ることで、日経平均株価が20,000円～22,000円の範囲内であれば利益です。

逆に、日経平均株価が22,000円を超えるとコール売り分が損失無限になり、日経平均株価が20,000円未満になるとプット売り分が損失無限になります。

なぜならば、オプション買いの利益とオプション売りの損失は無限大で、逆にオプション買いの損失とオプション売りの利益は限定だからです。

• オプションの買い手の損失は、取引時に売り手に支払うオプション料のみ。
• オプションの売り手の利益は、取引時に買い手から受け取るオプション料のみ。

＊オプション料とは、それぞれのオプションに付いている価格（値段）のこと

オプションの買い手は、自分に不利な取引をキャンセルできるので、支払ったオプション料のみが損失

詳しくは、買い手は権利を放棄できるをご参考ください。

利益限定と損失無限

損失限定

そこで、日経平均株価が22,000円を超えたり、日経平均株価が20,000円未満になったら損失が限定になるように、コールとプットそれぞれに買いを入れます。

コール22,000円より高いコールオプションと、プット20,000円より安いプットオプションを買うことで、日経平均株価が22,000円を超えても、逆に20,000円未満になっても損失が限定されます。

オプションの買いが、オプショ売りの損失を打ち消してくれるからです（相殺）。

損失打ち消し

組み合わせ

アイアン・コンドルスプレッドは、「コール・クレジットスプレッド」と「プット・クレジットスプレッド」という2つのオプション戦略を組みあわせるので、最大損失が小さくなり利益が増えます。

「クレジットスプレッド」については、オプション取引｜クレジットスプレッドとは？わかりやすく解説をご参考ください。

すなわち、先述した【利益限定】と【損失限定】を組みあわせるのです。

アイアン・コンドルスプレッド＝「コール・クレジットスプレッド」＋「プット・クレジットスプレッド」

• コール・クレジットスプレッド＝近いコールオプションを売って、遠いコールオプションを買う。
• プット・クレジットスプレッド＝近いプットオプションを売って、遠いプットオプション買う。

それぞれ説明します。

コール・クレジットスプレッド

先述したように、コール・クレジットスプレッドは、日経平均株価に近いコールオプションを売って、日経平均株価から離れたコールオプションを買います。

コール・クレジットスプレッド

日経平均株価が27,000円のときに、コールオプション29,000円を1枚売って、コールオプション29,250円を1枚買いました。

コール・クレジットスプレッド＝コール29,000円売り＋コール29,250円買い

コールオプション29,000円のオプション料は56円（受取）で、コールオプション29,250円のオプション料は37円（支払）なので、56円ー37円＝19円が最大利益です。
＊日経225オプション取引の実際の金額は1,000倍なので、19円×1,000倍＝19,000円

最大損失は、それぞれの権利行使価格29,250円ー29,000円ー19円（最大利益）＝231円となります。

コールオプション29,000円を単体で売る場合、必要証拠金は「772,000円」と高いです。

必要証拠金1

しかし、コールオプション29,250円を買うことで、必要証拠金は「109,000円」に下がりました。

必要証拠金2

つぎは、プット・クレジットスプレッドの説明です。

プット・クレジットスプレッド

先述したように、プット・クレジットスプレッドは、日経平均株価に近いプットオプションを売って、日経平均株価から離れたプットオプションを買います。

プット・クレジットスプレッド

日経平均株価が27,000円のときに、プットオプション25,000円を1枚売って、プットオプション24,750円を1枚買いました。

プット・クレジットスプレッド＝プット25,000円売り＋プット24,750円買い

プットオプション25,000円のオプション料は250円（受取）で、プットオプション24,750円のオプション料は210円（支払）なので、250円ー210円＝40円が最大利益です。
＊日経225オプション取引の実際の金額は1,000倍なので、40円×1,000倍＝40,000円

最大損失は、それぞれの権利行使価格25,000円ー24,750円ー40円（最大利益）＝210円となります。

プットオプション25,000円だけを売る場合、必要証拠金は「736,000円」と高いです。

必要証拠金1

しかし、プットオプション24,750円を買うことで、必要証拠金は「92,000円」に下がりました。

必要証拠金2

最後は、まとめです。

まとめ

アイアン・コンドルスプレッドは、利益になる確率が高いにもかかわらず損失限定のすばらしいオプション戦略です。

しかも、コールとプットのクレジットスプレッドを両方組むことで、片方だけのときよりも最大損失が小さくなります。

なぜなら「コール側」「プット側」、一方の損失は必ずもう一方の利益になるからです。

アイアン・コンドルスプレッドは、一方の利益がもう一方の損失を打ち消してくれる。

アイアン・コンドルスプレッドの損益グラフ

コール・クレジットスプレッド単体の最大損失は「231,000円」、プット・クレジットスプレッド単体の最大損失は「210,000円」でしたが、アイアン・コンドルスプレッドでは最大損失「191,000円」に下がりました。

250円（権利行使価格の差）ー59円（受取手数料）＝191円（最大損失）
＊実際は×1,000倍の価格

最大損失が小さくなるのはありがたいですね。

アイアン・コンドルスプレッド

【アイアン・コンドルスプレッド】
コール29,000円買い＋コール29,250円売り＋プット25,000円売り＋プット24,750円買い

はじめのうちは、オプションを一度に4つも売買するのはとても大変だと思います。

アイアン・コンドルスプレッドに慣れるために、上昇相場ではプット・クレジットスプレッド、下落相場ではコール・クレジットスプレッドをなんどか経験してみるのもよいかもしれません。

また、「プット・クレジットスプレッド」「コール・クレジットスプレッド」「アイアン・コンドルスプレッド」のすべてに言えることですが、エントリーするときは必ず買いから入れてください。

エントリーするときに買いから入れることで、証拠金が足りないというリスクが消えます。

逆に決済するときには、必ず売りから決済してください。

売りポジションだけを残しておくと、万が一の暴騰・暴落時に大変なことになります。

アイアン・コンドルスプレッドは、日経平均株価がポジションに近づいてきたら、一旦決済してより遠くでポジションを組みなおし、逆に離れたほうは近くで組みなおすという取引もできます。

常に日経平均株価を囲い込む、すなわちポジションを常に利益の状態にしておくのです。

ポジション移動

ポジションを組みなおすたびに、利益確定ができたら最高ですね。

または、満期日まで「ほったらかし」にしていてもいいでしょう。

いずれにせよ、アイアン・コンドルスプレッドでこころとからだにやさしい「ほったらかし投資」をはじめてみませんか。

それではまた。

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