
チャートだけのトレードはダメなのかしら?




板情報と歩み値(あゆみね)もセットするべきだモン。
チャートだけを見てトレードしていませんか?
トレードは、大口投資家の動きがキーポイントです(とくに短期)。
しかしチャートだけを見ていても、「予約注文がどこにどれだけ入っているか」「どこでどれだけ売買されたか」などの情報がまったく見えません。
ましてや大口投資家の動きなど、さっぱりわからないです。
- トレード=価格にお金を投じる
- 投資=価値にお金を投じる
そこで「板情報」と「歩み値」の登場です。
チャートに板情報と歩み値をセットすることで、取引参加者の動きが手に取るように見えてきます。
我々個人投資家が、トレードで利益をだす方法はひとつしかありません。
大きな動きに付いていく。
ただそれだけです。
本記事では、板情報と歩み値についてわかりやすく解説しています。
板情報と歩み値へようこそ💘
- 九州を拠点に自動車販売店を経営
- 2015年より金融系ブログ作成
- ほったらかし投資が座右の銘
板情報



板情報とは気配や気配値(けはいね)とも呼ばれ、証券取引所に出された売買注文の価格と数量を表すものです。左側には売りの数量、右側には買いの数量、中央には気配値(注文価格)が表示され、その時点でいくらなら買えるのか、売れるのかがわかります。
みずほ証券
板
板情報とは、投資対象(本記事では日経225ミニ)の注文数が値段ごとに記入されている一覧表で、気配値(けはいね)ともいいます。
日経225ミニについては、先物取引はお小遣い程度で(´艸`)|わかりやすく解説します!をご参考ください。
昔は、黒板にチョークで売買注文を書いていたことが「板」の由来だそうです。
板(日経225ミニ)



- 中央の数字=日経225ミニの値段
- 左側の数字=売りの注文数
- 右側の数字=買いの注文数
上図では、27,535円に指値(さしね)売りの注文数が20個入っていて、27,520円には指値買いの注文数が12個入っている状態です(指値注文とは?)。
売りの注文数は上から中央(現在の価格)へ、買いの注文数は下から中央へと近づこうとします。
そして、売り注文と買い注文が中央でせめぎ合って、現在の価格が決まるのです。
注文数が多く出されていることを「板が厚い」といい、売りの板が厚ければ価格は下がり、買いの板が厚ければ価格は上がります(一般的に)。
価格決定(板寄せ)
市場がはじまる前に、注文をまとめて価格を決める方法を「板寄せ(いたよせ)」といいます。
板寄せには、「成行(なりゆき)注文優先の原則」「価格優先の原則」「時間優先の原則」という3つの原則があります。
- 成行優先:成行注文は指値注文より先に約定する(成行注文とは?)。
- 価格優先:買い注文は高い価格から、売り注文は安い価格から約定(やくじょう)する(約定とは?)。
- 時間優先:同じ価格の注文は、先に注文したものから約定する。
投資の注文方法については、投資の注文方法|6種類の注文方法を図柄を使いわかりやすく説明!をご参考ください。
したがって始値(はじめね)は、まずは成行注文を相殺させて、次に高い買い注文と安い売り注文を順番に相殺させていくことで決まります(始値とは?)。
(例)市場がはじまる前の板情報
売り注文 | 価格 | 買い注文 |
成行 | 1,000 | |
200 | 70円 | |
300 | 60円 | 300 |
300 | 50円 | 500 |
200 | 40円 | 400 |
500 | 30円 | 500 |
20円 | 600 | |
500 | 成行 |
1,000(成行買い注文)-500(成行売り注文)=「成行買い注文500」が残る
売り注文 | 価格 | 買い注文 |
成行 | 1,000 | |
200 | 70円 | |
300 | 60円 | 300 |
300 | 50円 | 500 |
200 | 40円 | 400 |
500 | 30円 | 500 |
20円 | 600 | |
500(成行買い注文)-500(30円売り注文)=「成行買い注文500」「30円売り注文500」が消える
売り注文 | 価格 | 買い注文 |
200 | 70円 | |
300 | 60円 | 300 |
300 | 50円 | 500 |
200 | 40円 | 400 |
500 | ||
20円 | 600 | |
成行 |
300(60円買い注文)-200(40円売り注文)=「40円売り注文200」が消えて「60円買い注文100」が残る
売り注文 | 価格 | 買い注文 |
成行 | ||
200 | 70円 | |
300 | 60円 | 300 |
300 | 50円 | 500 |
400 | ||
30円 | 500 | |
20円 | 600 | |
成行 |
300(50円売り注文)-100(60円買い注文)=「60円買い注文100」が消えて「50円売り注文200」が残る
売り注文 | 価格 | 買い注文 |
成行 | ||
200 | 70円 | |
300 | ||
300 | 50円 | 500 |
40円 | 400 | |
30円 | 500 | |
20円 | 600 | |
成行 |
500(50円買い注文)-200(50円売り注文)=「50円売り注文200」が消えて「50円買い注文300」が残る
売り注文 | 価格 | 買い注文 |
成行 | ||
200 | 70円 | |
300 | 60円 | |
50円 | 500→300 | |
40円 | 400 | |
30円 | 500 | |
20円 | 600 | |
成行 |
最終的には、50円の価格に300の注文が残りました。
始値は50円となり、これまで相殺してきたすべての注文は、50円で約定となります。
約定ルール
約定にも板寄せと同じように、「成行優先」「価格優先」「時間優先」の原則が適用されます。
成行注文はともかくとして(後述)、指値注文は注文した順に売買が成立していきます。
したがって、注文したらどれくらいの待ち(順番)なのかが瞬時にわかるのです。
板情報を読めることは、デイトレードやスキャルピングでは必須です。
板情報はチャートとともに、トレードの世界で成功するカギだと思います。




チャート&板だわ💘




板にも欠点があるんだモン。
しかし板情報には、見えない情報もあるので注意が必要です。
見えない情報については、つぎで解説します。
成行注文



「100円」「500円」などの区切りのいい価格は、売りも買いも注文が多くなって板が厚くなるケースが多いです。
そのため、どうしても「指値で売りたい」「指値で買いたい」場合は、「99円」「501円」とはずした指値注文をだせば、約定する確率が高くなります。
一方成行注文は、指値注文よりも先に約定するので、確実に今すぐ売買したい場合は成行注文をだせばいいです。
そのような頼りになる成行注文ですが、板の注文数が少ないときは、大変危険な注文方法となります。
注文数が少ない(板が薄い)状態で成行注文をだすと、価格が一気に大きく動いて、思いがけない価格で約定する可能性があるからです。
必ず成行注文は、売りも買いも板が厚いときにだすように心がけてください。
逆に言い換えれば、板が薄いときには指値注文をだすように心がけてください。




成行注文は板が厚いときだわ。




指値注文は板が薄いときだモン
板情報には、指値注文だけが表示されて成行注文は表示されません。
そのため、一回の注文数が桁違いに多い大口投資家(機関投資家など)は、自分の注文がバレないように成行注文をだすことが多いです。
したがって、板情報の注文数は100%ではありません。
板情報だけでは限界があります。
あくまでも板情報は売買する判断材料の一つにして、後述する「歩み値」をセットにしてください。
成行注文がよくでる価格
- 最近の安値や高値
- 区切りのいい価格
- トレンドラインなどの価格
歩み値



取引時間中、株価は時々刻々と変動しますが、その株価の推移を時系列で表したものを歩み値といいます。
日本取引所グループ
板と歩み値は夫婦のようなものです( ´艸`)
板は注文状況(相場の雰囲気)を教えてくれて、歩み値は「どれが」「いつ」「どのくらい」約定したという結果を教えてくれます。
歩み値



歩み値の見方は、画面下から上へ順番に見ていきます。
したがって、画面の上部に行くほど新しい情報です。
- 画面左側=約定した時間
- 画面中央=約定した数量
- 画面右側=約定した価格
- 赤い価格=買われた価格
- 緑の価格=売られた価格
- 白い価格=下と同じ価格で売買された注文
板情報には、大口投資家がほかの投資家から売り買いを集めるために、見せ板(だまし)が入ることがあります。
すなわち、「多く買います」「多く売ります」という本音とは逆の注文をいれて、ほかの投資家から多く売り買いした後に見せ板を外すのです。
結果大口投資家は、「高くで売れた」「安くで買えた」となり、その後相場を反転させて利益を得ます。
しかし歩み値をチェックしていれば、見せ板にだまされることも少なくなるでしょう。
板には起きなかったことが表示されますが、歩み値には実際に起きたことが表示されるからです。
大口投資家が買ったのか売ったのかは、相場の動きを大きく作用します。
板情報だけでは大口投資家の動きがわかりません。
歩み値も必ずチェックしてください。
アルゴリズム注文



先述したように、大口投資家は、自分の注文数がバレないように成行注文をだすことが多いです。
しかし大量の成行注文を一気にだしてしまうと、相場が大きく動いて、ほかの投資家に自分の手の内がバレる恐れがあります。
安く大量に買いたい→大量の成行買い注文→相場急上昇→どんどん変われる→高くて買えなくなる
そこで大口投資家は、自動取引(アルゴリズム取引)を使って、自分の注文数を細かくして誤魔化すのです。
その名も「アイスバーグ注文」
アイスバーグ注文=氷山の一角注文
大量の注文数を小さくわけて、小出しにして注文を入れていきます。
たとえば下図のように、10,000の注文を10回にわけて注文するのです。
アイスバーグ注文



アイスバーグ注文は、ほかの投資家に気付かれることなく(とくにランダム注文)淡々と行われます。
相場の流れには決して逆らわず、順張りで素直についていきましょう(順張りとは?)。
ライン



前述したように、「100円」や「500円」といった、キリのいい価格がひとつの節目になるケースが多いです。
キリのいい価格を抜けると、一気に突き抜ける(ブレイク)可能性が高くなります。
よって損切りラインの設定は、キリのいい価格の少し手前に置くようにするとよいでしょう(損切りとは?)。
またチャート上で、キリのいい価格での「せめぎ合い」がはじまったら、板情報をチェックする習慣を身につけてください。
大口投資家による、厚い「見せ板」が仕掛けられることがよくあります。




見せ板=偽情報だわ。




見せ板を見つけられるようになりたいモン。
厚い見せ板を感じたら、歩み値に目を向けてみて、厚い板の反対売買が増えてくるようなら逆張りのチャンスです(逆張りとは?)。
チャートだけではなく、板と歩み値もチェックしていれば、大口投資家のワナにはまることなく、しっかりと利益を取れると思います。
まとめ



デイトレードやスキャルピングでは、キリのいい価格からの突き抜け(ブレイク)で利益をだすことが重要です。
キリのいい価格を抜けるときは、大口投資家の大きな成行注文などで、相場は一気に突き進みます。
大口投資家が売買したかどうかは、歩み値をチェックしているとわかります。
約定数量が桁違いに大きいので...。
大口投資家が参入してキリのいい価格を突き抜けると、今度は損切りの反対売買が加わります。
大口投資家+損切り
相場が一方的に突き進むはずですね。
我々個人投資家は、大口投資家の後をどこまでも付いていきましょう。
- 「ほったらかし投資」とは読んで字のごとく、商品を買ったあとは ”ほったらかし” ているだけの投資方法。
- 「ほったらかし投資」の中身はさまざまだが、投資のプロやAIに売買をまかせるというのが基本。
- 「ほったらかし投資」は、<初心者も始めやすい><少額から始められる><長期投資に有効な>投資方法。
それではまた。



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