オプション取引のギリシャ指標のなかで、セータが一番わかりやすいわ。
セータの値は、毎日減りつづけるオプション料そのものだからだモン。
オプション取引のセータ(シータともいう)は、賞味期限が近づくにつれて5円、10円と下げされていく値段のようなもの。
賞味期限が近くなった食品は、はやく売れるように価格を少しずつ下げていきます。
オプション取引のオプション料も、取引の満期日が近づくにつれて、価格が下がっていきます(オプション料とは?)。
食品に賞味期限があるように、オプション料にも賞味期限があるのです。
賞味期限日=オプション取引の満期日
賞味期限をオプション取引の満期日に例えると、オプション料が満期日に0円になることが理解しやすいですね。
賞味期限がすぎて廃棄される食品=満期日に利益にならなかったオプション
どちらも価値がなくなって、0円になります。
セータは、日々安くなっていくオプション料の値下がり分なのです。
オプション取引に興味を持ちはじめたばかりのころは、カタカナ語の理解に苦しむことが多いと思います。
- デルタ
- ガンマ
- ベガ
- インプライドボラティリティ...etc
オプション取引の解説書を読んでも、難しそうな数学を勉強している気分。
微分...
積分...
オプション大好きなわたし自身も、オプション取引をはじめたばかりのころは、オプション用語をなかなか理解できなかったものです(情報量が少なかった)。
本記事では、オプション取引のギリシャ指標のひとつである「セータ」について、わかりやすく書いています(ギリシャ指標とは?)。
どうか気軽に読みすすめてください。
セータの世界へようこそ💘
- 九州を拠点に自動車販売店を経営
- 2015年より金融系ブログ作成
- ほったらかし投資が座右の銘
セータ(シータ)とは?
オプション投資の際のリスク指標のひとつで、満期日までの残存期間の変化によるプレミアム(オプション価格)の変化を示すもの。
つまり、セータの値が大きいほど、残存日数が1日減少したときのプレミアムの減少が大きくなるということです。常に負の値で示され、数値は毎日減少する実際のオプション価格を表し、満期にはゼロとなります。
大和証券
*オプション料=プレミアム=オプション価格
本記事のオプション取引は、「日経平均株価」を対象にしている「日経225オプション取引」です(日経平均株価とは?)。
日経225オプション取引については、日経225オプションとは?をご参考ください。
時間価値の減少
セータを品よく説明すれば、取引満期日までの残り日数が減ることで、オプション料がどれほど減るかを示すギリシャ指標の1つです。
逆にくだけた言い方をすると、1日に値下がりするオプション料のこと。
オプションの価格(オプション料)は、「本質的価値」「時間的価値」という2つの価値から成り立っていて、セータは時間的価値の減少を示します。
オプション料
本質的価値は、「イン・ザ・マネー」の状態で、実際に利益がでている部分(価値)のこと。
時間的価値は、「アウト・オブ・ザ・マネー」の状態で、満期日までの時間があることで多くの利益を期待できるという価値のこと。
ポジション
利益も損失もでていない状態は、「アット・ザ・マネー」といいます。
3つのポジション
コールオプション | プットオプション | |
イン・ザ・マネー | 日経平均株価>権利行使価格 | 日経平均株価<権利行使価格 |
アット・ザ・マネー | 日経平均株価=権利行使価格 | 日経平均株価=権利行使価格 |
アウト・オブ・ザ・マネー | 日経平均株価<権利行使価格 | 日経平均株価>権利行使価格 |
- コールオプション|日経平均株価が上がれば利益になり、下がれば損失。
- プットオプション|日経平均株価が下がれば利益になり、上がれば損失。
*オプションを売ると損益は逆になります。
本質的価値
時間価値
セータは、時間的価値と深いつながりがあります。
くり返しになりますが、時間的価値の減少がどれくらいかを示しているのがセータです。
セータは必ず負の値(マイナス)で、1日にオプション料がどれだけ下がるのかを教えてくれるのです。
セータの値そのものが、実際にオプション料が1日で減る金額になります。
セータ値=オプション料が減る金額なので、計算しやすいわ。
ガンマとベガは、ちょっとした計算が必要なんだモン。
- ガンマについては、初心者向け|オプション取引のガンマとは?わかりやすく解説!をご参考ください。
- ベガについては、オプション取引|ベガとは?わかりやすく解説します!をご参考ください。
セータは、コールオプションにもプットオプションにも同じようにマイナスに働きます。
したがって、オプション料が下がるとうれしいオプションの売り手の味方です。
空売り
オプションの売りは空売り
- コールオプションの買い手にとって、セータは敵。
- コールオプションの売り手にとって、セータは味方
- プットオプションの買い手にとって、セータは敵。
- プットオプションの売り手にとって、セータは味方。
日経平均株価がまったく動かなくても、オプション料は必ずセータの値だけ下がっていきます。
セータと日経平均株価の関係
- アット・ザ・マネー(ATM)付近で、セータは最も大きくなる。
- イン・ザ・マネー(ITM)やアウト・オブ・ザ・マネー(OTM)では、ATMから離れるほどセータは小さくなる。
- オプション取引の満期日が近づくほど、ATM付近のセータは大きくなる。
セータも「ガンマ」や「ベガ」と同じように、アット・ザ・マネー(権利行使価格)付近で最大となります。
アット・ザ・マネー(ATM)付近の時間的価値が最も大きいからです。
セータ値
上図を見れば、ATM(アット・ザ・マネー)に近づくにつれて、セータが大きくなっているのがよくわかります。
セータも、一番ドキドキするとき(時間的価値がたっぷりと残っている)が最大になるのですね。
「一番ドキドキするとき」については、ガンマ|ドキドキ度をご参考ください。
セータの最大値(ATM)
またATM付近のセータの絶対値は、取引の満期日が近づく(取引できる日数が少なくなる)ほど大きくなります。
すなわち、日ごとオプション料の減りが大きくなっていくのです。
セータの絶対値(残存期間)
満期日が近づくにつれてセータの絶対値が大きくなるので、多くの投資家がオプションの売り(特にコールオプション)を好むのでしょうね。
オプションは本当によくできています( ´艸`)
セータとインプライド・ボラティリティ
セータの絶対値は、インプライド・ボラティリティ(以下IV)にも影響をうけます。
IVについて詳しくは、オプション取引|ボラティリティをわかりやすく解説!をご参考ください。
IVとセータ
上図は、IVとセータの数値を表しています。
IVが上昇するとセータの絶対値も大きくなり、逆に下落すると小さくなっています。
IVは、オプション参加者の「恐怖心を数値化」したものなので、IVの上下にあわせてセータの絶対値も上下するのです。
セータVSガンマ
オプションを買っている状態(ロング)では、オプション料はセータによって毎日確実に減っていき、利益を減らして(損失を増やして)いきます。
逆にオプションを売っている状態(ショート)では、オプション料はセータによって毎日確実に減っていき、利益を増やして(損失を減らして)いきます。
ガンマとベガは、オプションの売り手にキバをむくので、オプションの売りにとって最大の敵。
ガンマもベガも正の値(プラス)しかないので、オプションの買いにはプラスに作用しますが、オプションの売りにはマイナスに作用するからです。
ガンマとベガ
ガンマとベガがオプション売りにとって最大の敵については、ネガティブガンマをご参考ください。
時間的価値の減少は必ず発生します。
セータは、オプションの売り手にとって唯一の味方なのです。
オプション取引では、ガンマ対セータの戦いが損益に大きな影響を与えます。
まとめ
オプション取引をはじめたばかりのころ(わたし自身も含めて)は、オプション取引の本質を理解していないので、安易に「コールオプションの裸売り」をしがちです(裸売りとは?)。
オプション取引の経験を重ねるうちに、「オプション取引=確率」ということがわかってきます。
「オプション取引=確率」を深く感じるようになると、オプションの裸売りがどれほど怖いものかを理解できるようになります。
オプション取引では、コールの売りポジションでセータを味方につけることほど、簡単で勝率が高い手法はありません。
しかし前述したように、オプションの売り手にとってガンマとベガは大敵です。
日経平均株価がアット・ザ・マネー付近(損益分岐点)に近づくと、ガンマとベガの作用で、ものすごい勢いで損失が拡大していきます。
したがってオプションを売る場合には、必ずオプションの買いを入れて損失を限定(リスクヘッジ)にしてください。
利益は少なくなりますが、損失限定の「クレジットスプレッド」がオススメです。
オプションを買うことで、証拠金が安くなるというおまけも付いてきます。
クレジットスプレッドについては、オプション取引|クレジットスプレッドとは?わかりやすく解説をご参考ください。
またオプションの買いと合わせて、損切も設定できれば鬼に金棒です。
わたし自身、満期日が残り1週間ほどになると「安いコール売り」でおこづかいを稼いでいますが、損切設定だけは必ずしています。
安いコール売りについては、コールの売り戦略をわかりやすく説明!をご参考ください。
オプション取引だけでなく、金融投資を行うときは必ず損切の設定をお願いします。
オプション取引をはじめたばかりの頃に、200万円弱の損失を出してしまったわたしは反面教師です。
筆者の損失の一部
- 「ほったらかし投資」とは読んで字のごとく、商品を買ったあとは ”ほったらかし” ているだけの投資方法。
- 「ほったらかし投資」の中身はさまざまだが、投資のプロやAIに売買をまかせるというのが基本。
- 「ほったらかし投資」は、<初心者も始めやすい><少額から始められる><長期投資に有効な>投資方法。
それではまた。
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