借地借家法を学習するわ!
まずは借家を学ぶんだモン。
本ブログでは、宅建士の試験科目「借地借家法・借家」について要約しています。
宅地建物取引士を目指している方に向けて、下記の書籍を参考にして作成しました。
ほんのわずかでも、宅地建物取引士を受験される方の手助けになれたら幸いです。
- 九州を拠点に自動車販売店を経営
- 2015年より金融系ブログ作成
- ほったらかし投資が座右の銘
借地借家法(借家)
借地借家法は、借主を守ります。
適用範囲
大家と借主が、対等な契約を結ぶために「借地借家法」があります。
ただし、家を借りるときに必ず借地借家法が適用されるとは限りません。
貸別荘や選挙事務所などのように、明らかな一時使用の場合には、借地借家法は適用されずに民法が適用されます。
存続期間
民法の賃貸借の存続期間は最長50年で、最短期間に定めはありません。
しかし借地借家法の存続期間は、以下になります。
- 最長=制限なし
- 最短=制限なし
(1年未満の場合は、期間の定めがないとみなされる)
賃貸借契約の終了と更新
期間の定めのある場合
期間満了の1年前から6か月前までに、更新をしない旨の通知をしなかった場合は、契約を更新したものとみなされます(法定更新)。
ただし、賃貸人が更新をしない旨の通知をするには、正当事由が必要です。
更新をしない旨の通知をしても、期間満了後に賃借人が住み続けていて、賃貸人が賃借人が住み続けていることを知りながら、遅滞なく異議を述べない場合は、契約を更新したものとみなされます(法定更新)。
期間の定めのある場合
法定更新をした場合、従前と同じ条件で更新したものとみなしますが、期間だけは「期間の定めのないもの」となります。
期間の定めのない場合
解約の申し入れをして一定の期間が経過すると契約は終了します。
ただし、賃貸人が解約の申し入れをする場合、正当事由が必要です。
- 賃貸人からの解約申し入れ=解約申し入れ日から6か月
- 賃借人からの解約申し入れ=解約申し入れ日から3か月
解約の申し入れにより契約が終了する場合においても、期間満了後に賃借人が住み続けていて、賃貸人が賃借人が住み続けていることを知りながら遅滞なく異議を述べない場合は、契約を更新したものとみなされます(法定更新)
対抗力
第三者に対抗(主張)するには、民法では賃借権の登記が必要ですが、借地借家法では建物の引渡しがあれば第三者に対抗できます。
すなわち、住んでいる家が売られて、新しい大家が家に住みたいといわれても、引渡しで対抗できるのです。
造作買取請求権
賃貸人の許可を得てエアコンなどの造作を取り付けた場合、出ていくときに賃借人は賃貸人に買い取り請求できます(造作買取請求権)。
しかし、造作買取請求権を認めないとする特約は有効です。
借賃増減請求権
賃料が不相当であると思われる場合には、増減額請求をできます。
裁判が確定するまでは、相当と認める額の支払いをすればいいです。
判決が出た場合、請求があったときから増減することになるので、差が生じた場合には利息(年1割)を付けて支払います。
- 増額が正当という裁判が確定するまでは、相当と認める額を支払う
- 裁判が確定したら、すでに支払った額に不足がある場合、利息を付けて支払う
- 減額が正当という裁判が確定するまでは、相当と認める額を請求できる
- 裁判が確定したら、すでに受けとった額に超過がある場合、利息を付けて返還する
特約がある場合、増額しない特約は有効です。
したがって、増額できない特約が設定されている場合には、賃貸人から増額請求はできません。
しかし、減額請求できない特約が設定されていても、賃借人から減額請求は可能となります。
- 【増額しない特約】→賃借人有利(増額請求NG)
- 【減額しない特約】→賃貸人有利(減額請求OK)
賃貸借契約の終了と転貸借
転借して住んでいる場合、賃貸人と賃借人の契約(原賃貸借契約)が終了したら、転貸借がどのように扱われるかは元の契約がどのように終了したかで異なります。
- 【期間満了】→賃貸人から転借人に通知+6か月で退去
- 【合意解除】→転借人は出ていく必要なし
- 【債務不履行解除】→転借人は出ていかなければならない
(転借人に支払いの機会を与える必要なし)
転借人の保護
賃貸人の承諾を得ている転借人には、借地借家法では原則として賃借人と同様の保護が与えられています。
したがって、転借人も造作買取請求権を行使できます。
借地上の建物の賃借人の保護
借地権の期間が満了した場合、借地上の建物の賃借人は土地を明け渡さなければなりません。
借地権の存続期間が満了することを、建物の賃貸人などから1年前までに知らされていなかった場合に限り、裁判所により明渡しまでに猶予を与えられます。
その場合の明渡し期限は、建物の賃借人が土地の存続期間満了を知った日から1年を超えない範囲で、相当の期間を設定されます。
定期建物賃貸借
定期建物賃貸借は、別名「定期借家」です。
定期建物賃貸借契約
定期建物賃貸借契約とは
「定期建物賃貸借契約」は更新がなく、期間を1年未満にできる契約です。
書面(公正証書など)または電磁的記録で契約する必要があります。
また、賃貸人が賃借人に対して、「契約の更新がなく、期間の満了により契約が終了すること」を書面により説明することも必要です。
説明がなされなかった場合は、通常の借家契約となります。
契約期間が終わったら契約は終了しますが、再契約も可能です。
再契約の場合は、保証人がいる場合は保証も再契約が必要ですし、宅建業者の重要事項説明も再度必要となります。
終了通知
契約期間が1年以上の定期建物賃貸借の場合には、期間満了の1年前から6か月前までの間に、賃貸人から期間満了による賃貸借の終了を通知しなければ終了を対抗(主張)できません。
ただし、賃貸人の正当事由は不要です。
なお、契約期間が1年以上の定期建物賃貸借契約で、期間満了による賃貸借の通知を忘れてしまった場合には、通知の日から6か月経過後に終了したことを対抗(主張)できます。
解約申し入れ
定期建物賃貸借では、特別に賃借人からの中途解約を認めています。
ただし、床面積200㎡未満の居住用建物でやむを得ない事情がある場合のみです。
申し入れから1か月で賃貸借契約は終了します。
借賃増減請求
定期建物賃貸借契約の場合、借賃の増減請求をしない旨の特約があれば、借賃増減請求はできません。
普通の賃貸借契約とは異なり、定期建物賃貸借契約では、特約があれば減額請求もできません。
借賃増減請求
増額しない特約 | 減額しない特約 | |
普通の賃貸借 | 有効 | 無効 |
定期建物賃貸借 | 有効 | 有効 |
取り壊し予定の建物賃貸借
一定期間後に建物を取り壊すことが決まっていて、取り壊すときに建物賃貸借契約が終了する旨を定めた契約を、「取り壊し予定の建物賃貸借契約」といいます。
取り壊し予定の建物賃貸借契約は、建物を取り壊すべき事由を記載・記録した書面または電磁的記録でしなければいけません。
それではまた次回。
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