民法は1050条もあるわ!
よく出る分野に絞って学習するんだモン。
本ブログでは、宅建士の試験科目「その他の重要事項」について要約しています。
宅地建物取引士を目指している方に向けて、下記の書籍を参考にして作成しました。
ほんのわずかでも、宅地建物取引士を受験される方の手助けになれたら幸いです。
- 九州を拠点に自動車販売店を経営
- 2015年より金融系ブログ作成
- ほったらかし投資が座右の銘
不法行為
正当防衛は、不法行為ではありません。
不法行為とは
「不法行為」とは、故意・過失によって他人に損害を与えることです。
- お隣さんの窓ガラスを割ってしまった
- 人を車ではねてしまった
不法行為に対して、被害者は損害賠償を請求できます。
- 損害賠償債務の履行遅滞は、不法行為(損害発生)のときから始まる
- 損害賠償請求権の時効は、被害者・法定代理人が損害・加害者を知ったときから3年
- 人の生命・身体を侵害する不法行為の時効は5年
- 不法行為のときから20年で時効消滅
損害賠償請求は相殺できますが、以下の場合は相殺できません。
- 悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務
- 人の生命・身体の侵害による損害賠償の債務
即死の場合でも、慰謝料請求権は発生するわ。
被害者の遺族が請求するんだモン。
使用者責任
従業員が仕事上の不法行為で他人に損害を与えた場合、従業員だけではなく、雇い主(使用者)にも損害賠償請求をできます(連帯債務と同じような関係)。
なお、「使用者責任」は、仕事中だけではなく仕事中にみえる場合にも成立します。
例えば、私用で会社の車を使用していたときなどです。
使用者が損害賠償をした場合、従業員に対して求償をできますが、信義則上相当と認められる範囲内に限られます。
すなわち、全額は無理だということです。
共同不法行為
数人が共同して他人に損害を与えた場合、加害者たちは連帯して損害賠償責任を負います(共同不法行為)。
被害者は、加害者全員に対して損害の全額を同時に請求できます。
工作物責任
建物などに欠陥があり、第三者に損害を与えた場合、被害者に対して損害賠償責任を負います(工作物責任)。
- 占有者→損害発生防止に必要な措置をしていたら免責
- 所有者→占有者が責任を負わない場合は責任を負う(無過失責任)
損害発生の原因が建物を造った業者にある場合は、損害賠償をした占有者・所有者は、業者に対して求償をできます。
相隣関係
ご近所さんとのトラブルについてです。
隣地使用権
土地の所有者は、隣地との境界付近での築造・修繕などのために、必要な範囲内で隣地の使用を請求できます。
ただし、隣地所有・使用者のために、最も損害の少ないものを選ばなければなりません。
また隣地を使用する者は、隣地所有・使用者に対して事前に通知しなければなりませんが、事前の通知が困難な場合は、使用を始めてから遅滞なく通知すればいいです。
土地の通行権
他の土地に囲まれて公道に通じていない場合、公道に出る目的で、囲んでいる他の土地を通行できます。
ただし、どこを通ってもよいのではなく、最も損害の少ない方法で通行しなければなりません。
なお、「土地の通行権」として、償金を払う必要があります。
竹木の枝と根
隣地の竹木の枝が境界線を越えた場合、竹木の所有者に枝を切らせることができます。
土地の所有者は、隣地の竹木の枝を自分で切ることはできません。
ただし、枝の切除を催告したにもかかわらず相当期間内に切除しない場合は、自分で枝を切ることができます。
また、竹木の所有者がわからない場合も、自分で枝を切ることができます。
なお、隣地の竹木の根が境界線を越えた場合は、自分で根を切除してもよいです。
目隠し
境界線より1m未満の距離で、他人の宅地を見渡せる窓・ベランダを設けるときは、「目隠し」をつけなければいけません。
債権譲渡
物を売れるのだから、債権も売れるはずです。
債権譲渡とは
「債権譲渡」とは、ある人に対する債権を他の人に譲渡することです。
債権譲渡を債務者に対抗する要件
債権譲渡があったことを債務者が知らなければ、債務者に対抗できません。
対抗するには以下が必要です。
- 譲渡人から債務者への通知
- 債務者の承諾
二重譲渡が行われた場合
二重譲渡
「二重譲渡」が行われた場合には、確定日付のある証書(公正証書など)で通知のある方が優先されます。
どちらにも確定日付のある通知があった場合には、通知の到達が早いほうを優先します。
すなわち、先に届いたほうの通知が優先されるのです。
債権譲渡禁止特約
債権譲渡を禁止する特約をつけていたのに、債権を譲渡してしまった場合でも譲渡は有効です。
譲渡を無効にすると、譲渡特約を知らずに買った譲受人がかわいそうだからです。
しかし、譲受人や第三者に、悪意・重過失がある場合は債務の履行を拒めます。
請負
重要なポイントを確認しておきましょう。
請負
請負人が仕事を完成させて、注文者が仕事に報酬を払う契約を「請負」といいます。
請負契約が成立すると、注文者は報酬を支払う義務を負い、請負人は仕事を完成させて完成した物を引き渡す義務を負います。
なお、請負の目的物の引渡しと報酬の支払いは同時履行ですが、仕事の完成と報酬の支払いは仕事の完成が先です。
請負人の担保責任
請負人の担保責任は、契約不適合責任とほぼ同じ内容です。
- 建物の修補請求
- 損害賠償請求
- 請負契約の解除
- 報酬の減額請求
契約不適合が、注文者の指図によって生じた場合は、上記のいずれもできません。
ただし、請負人が悪意の場合はその限りではありません。
注文者の解除権
注文者は、仕事の完成前であれば、損害を賠償して請負契約を解除できます。
委任
終了事由などは、代理と近い契約です。
委任とは
「委任」とは、委任者が法律行為をすることを受任者に委託して、委任者が承諾することで成立する契約のことです。
法律行為ではなく事実行為である場合は、準委任となります。
なお、委任は請負とは異なり、仕事の完成を目的にはしていません。
委任は無償で行うことが原則で、特約がない限り委任者に報酬を請求できません。
受任者の権利・義務
受任者には、善管注意義務があります。
有償・無償にかかわらず、自己に対するもの以上に注意しなければいけません。
そして、受任者には費用前払請求権があり、事務処理に必要な費用をあらかじめ委任者に請求できます。
委任契約の終了
委任者・受任者の死亡や破産手続き開始で委任契約は終了し、相続人に承継はしません。
また、受任者が後見開始の審判を受けた場合にも終了します。
委任契約の解除
委任者・受任者のいずれも、特別の理由なくとも自由に委任契約を解除できます。
ただし、相手方の不利な時期に解除したときは、解除した者は損害賠償義務を負います。
しかし、解除がやむを得ない場合には損害賠償義務は負いません。
また、委任者が受任者の、利益(報酬以外)を目的とする委任を解除したときにも、損害賠償義務を負います。
それではまた次回。
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