抵当権...またまた難しそうだわ~
基本問題だけに集中するんだモン。
本ブログでは、宅建士の試験科目「抵当権」について要約しています。
宅地建物取引士を目指している方に向けて、下記の書籍を参考にして作成しました。
ほんのわずかでも、宅地建物取引士を受験される方の手助けになれたら幸いです。
- 九州を拠点に自動車販売店を経営
- 2015年より金融系ブログ作成
- ほったらかし投資が座右の銘
抵当権
近年は、難しい抵当権の出題が増えています。
抵当権とは
抵当権とは、目的物を競売でお金にかえて、優先的に弁済を受けとれる権利です。
払えなかったら...
- 代わりの人が返す→保証契約
- 競売にかけて返す→抵当権
抵当権を設定できるのは債務者だけではありません。
代わりの人にも設定できます(物上保証人)。
抵当の仕組み
1つの物に複数の抵当権を設定した場合、登記の順序で優劣が決まります。
土地・建物を競売したときには、1番抵当権者から優先して支払われて、抵当権が消滅すると、2番抵当権者が1番に繰り上がります。
抵当権の成立
抵当権は合意のみで成立して、書面や登記などは必要ありません。
しかし、抵当権を第三者に主張するためには、登記が必要です。
抵当権の目的物
抵当権は、土地・建物だけではなく地上権などにも設定できます。
ただし、賃借権には設定できません。
抵当権設定者ができること
抵当権が実行されるまでは、抵当権設定者は目的物(土地・建物)を自由に使えたり、勝手に売ることもできます。
抵当権の実行?
目的物を競売にかけることだモン。
しかし、通常の利用方法を逸脱している場合は、売れなくなると困るので、抵当権者は「妨害排除請求」をできます。
抵当権の性質
性質をしっかりと学んでおけば、保証の学習が楽になります。
付従性(ふじゅうせい)
被担保債権が成立しないときは、抵当権も成立しません。
すなわち、お金を貸せなかった場合は、当然のことながら抵当権も成立しません。
また、被担保債権が消滅したら、抵当権も消滅します。
すなわち、支払いが終わったら、当然のことながら抵当権も消滅します。
被担保債権があって、はじめて抵当権が存在することを「付従性」といいます。
随伴性(ずいはんせい)
被担保債権が移動したら、抵当権も移動します(随伴性)。
抵当権の効力
法律用語に負けないように~。
抵当権の範囲
土地に抵当権を設定した場合、抵当権は庭木のような不可一体物にもおよびます。
しかし、賃料などの果実にはおよびません。
ただし、債務不履行の場合は、それ以降の果実にも抵当権の範囲はおよびます。
優先弁済の範囲
後順位抵当権者がいた場合、利息その他の定期金については、満期の来た「最後の2年分」に限られます。
後順位抵当権者の取り分が少なくなるからです。
後順位抵当権者がいない場合は、最後の2年分には限られません。
物上代位
抵当権を設定していた建物が、火事になってしまったら競売にかけられなくなります。
その場合は、建物にかけられていた保険金が建物の代わりになります。
抵当権者は、保険金を差し押さえることで回収できます(物上代位)。
物上代位は、金銭が抵当権設定者に支払われる前に、抵当権者が差し押さえなければなりません。
金銭が抵当権設定者に支払われると、物上代位はできなくなるからです。
第三者との関係
難しい話になってきます。
しっかりと理解しましょう。
抵当権のついている土地(建物を借りた場合)
- Bの建物にAの抵当権がついている
- Bの建物にCが賃借している
- Aが抵当権を実行
- Dが競落
上記の場合、Aの抵当権とCの賃借権のどちらが先に登記したかで決着をつけます。
- Aの登記が先→Cは立ち退く
- Cの登記が先→Cは住める
なお、立ち退きには6か月の猶予期間があります。
抵当権のついている土地(建物を買った場合)
- Bの建物にAの抵当権がついている
- Bの土地をCが購入
- Aが抵当権を実行
上記の場合は、Aの抵当権とCの所有権のどちらが先に登記したかで決着をつけます。
- Aの登記が先→Aが抵当権を実行すればCは所有権を失う
- Cの登記が先→Aは抵当権を実行できずCは所有権を維持
第三者取得の保護
抵当権がついた土地・建物を買った第三取得者は、いつ抵当権が実行されて所有権を失うかわかりません。
そこで、第三取得者を保護するための制度があります。
- 抵当不動産の第三取得者は、利害関係のある第三者
- したがって、債務者に代わって債務を弁済できる
- 抵当不動産の代価を抵当権者に提供して、抵当権の消滅を請求できる
- 抵当権者は承諾したくない場合、書面の送付を受けた後2か月以内に抵当権を実行する必要がある
- 実行しなければ承諾したことになる
- 抵当権が実行されて競売が行われたら、自分が競落することで所有権を保てる
法定地上権と一括競売
民法では、建物は財産だと考えられています。
法定地上権と一括競売
競売によって土地と建物の所有者が別々になったときに、建物の所有者が、土地を利用することを認める権利を「法定地上権」といいます。
法定地上権の成立要件
- 抵当権設定時に土地の上に建物が存在すること
- 抵当権設定時に土地と建物の所有者が同一であること
- 土地と建物の一方又は両方に抵当権が存在すること
- 抵当権が実行されて土地と建物の所有者が別々になること
一括競売
土地に抵当権を設定したあと、抵当設定者が抵当地に建物を建てた場合に、抵当権者が土地と建物を一括して競売にかけられる権利を「一括競売」といいます。
しかし、抵当権は土地にしかついていませんので、優先弁済を受けられるのは土地の代金のみです。
根抵当権
難しそうな単語が続きます。
根抵当権とは
一定の取引の範囲内の債券であれば、まとめて担保して、付従性により消滅しない抵当権を「根抵当権」といいます。
根抵当権を設定する際には、極度額(根抵当権で担保される最高限度額)を定めます。
根抵当権の特色
- 根抵当権は将来発生する不特定の債権のために設定できる
- 元本確定前(根抵当権)に、債権が弁済により消滅しても根抵当権は消滅しない
- 元本確定前(根抵当権)に、被担保債権が譲渡されても、債権を譲り受けた者は根抵当権を取得できない
- 根抵当権は確定した元本のほか、利息・遅延損害金のすべてを極度額まで担保する
- 普通抵当権のように、「利息は最後の2年分」はない
元本の確定
根抵当権を、普通の抵当権にすることを「元本の確定」といいます。
元本確定日を決めていた場合は、期日が来たら元本が確定して、決めていなかった場合は、「元本確定請求」によって確定します。
根抵当設定時から3年経過すれば元本確定の請求ができて、請求から2週間で確定する
いつでも元本確定の請求ができて、請求時に確定する
根抵当権の変更
元本確定前であれば、根抵当権の内容を変更できます。
極度額は、元本確定後(普通の抵当権)でも変更できますが、利害関係者の承諾が必要です。
それではまた次回。
コメント