今回は、住民の権利を学習するわ!
最も重要なテーマだモン!
本ブログでは、行政書士の試験科目「地方自治法:住民の権利」について要約しています。
行政書士を目指している方に向けて、下記の書籍を参考にして作成しました。
ほんのわずかでも、行政書士試験を受験される方の手助けになれたら幸いです。
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住民
市町村の区域内に住所を有する者は、当該市町村及びこれを包括する都道府県の住民となります。
その区域内に住所を有していれば、自然人・法人を問わず、また、国籍・年齢なども問われません。
選挙
選挙権
選挙権とは、選挙において投票をする権利です。
議会の議員及び長の選挙権をもっているのは、日本国民たる年齢満18年以上の者で、引き続き3か月以上その市町村の区域に住所を有する者です。
被選挙権
被選挙権とは、公職に立候補する権利です。
被選挙権を取得するための条件は、立候補しようとする職種によって異なり、まとめると以下の表のとおりです。
被選挙権
議員 | 市町村長 | 都道府県知事 | |
国籍 | 日本国民 | ||
年齢 | 満25歳以上 | 満30歳以上 | |
住所 | 引き続き3か月以上 その市町村の区域に住所を有する者 | なし |
直接請求
地方自治法は、住民による監視と参加を可能にするため、地方の政治を直接コントロールすることができる制度を認めています(直接請求)。
直接請求には、
- 条例の制定改廃請求
- 事務監査請求
- 議会の解散請求
- 議員・長・主要公務員の解職請求(リコール)
の4種類があります。
直接請求は、その地方公共団体の有権者の一定割合の署名を集め、この署名を請求先に提出することによってなされます。
直接請求
必要な署名数 | 請求先 | 請求後の措置 | |
条例の制定 改廃請求 | 選挙権を有する者の 総数の50分の1以上 | 長 | 請求を受理した日から20日以内に議会を招集し 意見を付けて議会に付議し、 その結果を代表者に通知し、 かつ、公表する |
事務監査 請求 | 監査委員 | 監査の結果に関する報告を決定し、 これを代表者に送付し、 かつ、公表するとともに、 法律に基づく委員会・委員に提出する | |
議会の解散 請求 | 選挙権を有する者の 総数の3分の1以上 | 選挙管理委員会 | 解散の投票において過半数の同意があったときは、 解散する |
議員・長の 解職請求 | 解職の投票において過半数の同意があったときは、 その職を失う | ||
主要公務員の 解職請求 | 長 | 議会の議員の3分の2以上の者が出席し、 4分の3以上の者の同意があったときは、 その職を失う |
住民監査請求・住民訴訟
住民監査請求
住民監査請求とは何か
地方自治法は、特に不正が行われやすい債務会計上の行為については、住民一人でも監査請求をできるとしています(住民監査請求)。
事務監査請求と住民審査請求
事務審査請求 | 住民監査請求 | |
対象 | 地方公共団体の事務全般 | 地方公共団体の財務関係上の行為 または怠る事実に限られる |
必要な署名数 | 選挙権を有する者の 総数の50分の1以上 | 不要(1人可能) |
監査の結果に不満があるとき | 訴訟提起できない | 訴訟提起できる |
住民監査請求の対象
住民監査請求の対象は、違法または不当な財務会計上の行為または怠る事実です。
住民監査請求の内容
住民監査請求によって請求できる内容は、当該行為の防止・是正、当該怠る事実を改めること、当該行為または怠る事実によって地方公共団体の被った損害を補てんするために必要な措置を講ずべきことです。
期間制限
違法または不当な財務会計上の行為のあった日または終わった日から1年を経過したあとは、正当な理由がない限り、住民監査請求をできません。
対して、怠る事実に係る住民監査請求については、期間制限はありません。
住民訴訟
住民訴訟とは何か
住民監査請求による監査の結果に不満がある住民は、裁判所に対して訴訟を提起できます(住民訴訟)。
住民訴訟の対象
住民訴訟の対象は、違法な財務会計上の行為または怠る事実です。
住民監査請求とは異なり、不当な財務会計上の行為または怠る事実は対象とされていません。
住民訴訟の類型
住民訴訟には、請求の内容に応じて、以下の4つがあります。
- 【意味】地方公共団体の執行機関・職員が違法な財務会計上の行為をする恐れがある場合に、事前にその差止めを請求する訴訟
- 【被告】違法な財務会計上の行為をしようとしている執行機関・職員
- 【意味】違法な財務会計上の行為の取消しまたは無効確認を求める訴訟
- 【被告】違法な財務会計上の行為をした行政庁の帰属する地方公共団体
- 【意味】違法に公金の賦課徴収または財産の管理を怠る事実がある場合に、その違法を確認することを求める訴訟
- 【被告】職務を怠った執行機関・職員
- 【意味】執行機関等に対し、長・職員・当該行為または怠る事実に係る相手方への損害賠償請求または不当利得返還請求をすることを求める訴訟
- 【被告】請求を行うべき執行機関等
原告適格
住民訴訟を提起できるのは、住民監査請求をした住民に限られています(監査請求前置主義)。
管轄
住民訴訟は、当該普通地方公共団体の事務所の所在地を管轄する地方裁判所に提起することとされています。
出訴期間
住民訴訟の出訴期間については、以下のとおりです。
監査の結果・勧告に 不服がある場合 | 監査の結果・勧告の内容の通知があった日から30日以内 |
議会・長などの措置に不服がある場合 | 措置に係る監査委員の通知があった日から30日以内 |
監査委員が監査・勧告を 監査請求があった日から 60日以内に行わない場合 | 60日間の期間が経過した日から30日以内 |
勧告を受けた議会・長等が 必要な措置を講じない場合 | 勧告に示された期間を経過した日から30日以内 |
公の施設
公の施設とは何か
公の施設とは、地方公共団体が住民の福祉を増進する目的で住民に利用させるための施設です。
住民は、公の施設の利用権をもっているので、地方公共団体は、正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではならず、また、住民が公の施設を利用することについて、不当な差別的扱いをしてはなりません。
設置・管理等
設置・管理
公の施設の設置・管理に関する事項は、法律またはこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか、条例で定めなければなりません。
廃止・独占的利用
条例で定める重要な公の施設のうち条例で定める特に重要なものを廃止したり、条例で定める長期かつ独占的な利用をさせようとするときは、議会において出席議員の3分の2以上の者の同意を得なければなりません。
指定管理者
公の施設の設置の目的を効果的に達成するために必要があると認めるときは、条例の定めるところにより、指定管理者に公の施設の管理を行わせることができます。
そして、指定管理者の指定の手続、指定管理者が行う管理の基準および業務の範囲その他必要な事項は、条例で定めなければなりません。
普通地方公共団体は、指定管理者の指定をしようとするときは、あらかじめ、当該普通地方公共団体の議会の議決を経なければなりません。
なお、普通地方公共団体は、適当と認めるときは、指定管理者に、管理する公の施設の利用に係る料金をその者の収入として収受させることができます。
区域外設置
公の施設は、関係地方公共団体と協議すれば、その地方公共団体の区域外に設置することもできます。
この協議については、関係地方公共団体の議会の議決を経なければなりません。
審査請求
普通地方公共団体の長以外の機関がした公の施設を利用する権利に関する処分についての審査請求は、普通地方公共団体の長が当該機関の最上級行政庁でない場合においても、当該普通地方公共団体の長に対してするものとされています。
それではまた次回。
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