今回は、組織再編を学習するわ!
会社法のラストだモン!
本ブログでは、行政書士の試験科目「会社法:組織再編」について要約しています。
行政書士を目指している方に向けて、下記の書籍を参考にして作成しました。
ほんのわずかでも、行政書士試験を受験される方の手助けになれたら幸いです。
- 九州を拠点に自動車販売店を経営
- 2015年より金融系ブログ作成
- 2級ファイナンシャル・プランニング技能士
事業の譲渡
事業の譲渡とは何か
事業の譲渡(取引行為)とは、営業譲渡と同じ意味です。
事業を構成する債権・債務及び契約上の地位を移転しようとする場合、事業譲渡契約とは別にその契約上の相手方の同意を要する点で、会社分割とは異なります。
手続
株主総会の承認決議
事業の全部の譲渡、事業の重要な一部の譲渡(譲渡する資産の帳簿価格が資産総額の5分の1を超える場合)、事業の全部の譲受については、原則として、株主総会の特別決議が必要です。
もっとも、以下の場合は、例外的に株主総会の特別決議が要求されません。
略式事業譲渡 | 譲渡の相手方が特別支配会社 |
簡易事業譲渡 | 譲受会社が対価として交付する財産の簿価の合計額が純資産額の5分の1以下 |
反対株主の株式買取請求権
事業の譲渡の承認決議前に反対の意思表示をし、かつ、承認決議に反対した株主は、原則として、株式買取請求権を行使できます。
債権者保護手続き
事業の譲渡については、債権者保護手続きは不要です。
事業譲渡の場合、資産や債務が当然に移転されるわけではなく、会社の財産が変動するわけではないからです。
組織変更
組織変更とは何か
組織変更とは、株式会社がその組織を変更することにより持分会社となり、また、持分会社がその組織を変更することにより株式会社となることです。
手続
総株主の同意
組織変更をする会社は、組織変更計画を作成しなければならず、その効力発生日の前日までに、組織変更計画について総株主の同意を得なければなりません。
債権者保護手続
組織変更をする会社は、原則として、所定の事項を官報に公告し、かつ、会社が把握している債権者には各別に催告しなければなりません。
ただし、公告方法として、定款に日刊新聞氏に掲載する方法または電子公告を認めている場合は、各別の催告は必要ありません。
合併
合併とは何か
合併とは、2つ以上の会社が契約により1つに合わさることです。
合併には、吸収合併と新設合併があります。
吸収合併
吸収合併とは、会社が他の会社とする合併であって合併により消滅する会社の権利義務の全部を、合併後存続する会社に承継させるものです。
新設合併
新設合併とは、2つ以上の会社がする合併であって、合併により消滅する会社の権利義務の全部を、合併により創設する会社に承継させるものです。
手続
合併の手続は、以下の流れになります。
当事会社間で合併契約を締結する
当事会社は、合併契約の内容等を記載・記録した書面または電磁的記録を本店に備え置き、株主・債権者は、営業時間内は、いつでも、閲覧・謄写できる
当事会社は、株主総会の特別決議を経る
当事会社は、所定の事項を官報に公告し、かつ、会社が把握している債権者には各別に催告する
吸収合併存続会社・新設合併会社は、合併の効力発生日後遅滞なく、所定の書面または電磁的記録を本店に備え置き、株主・債権者は、営業時間内は、いつでも、閲覧・謄写を請求できる
効力発生時期
吸収合併
吸収合併存続会社は、効力発生日に、吸収合併消滅会社の権利義務を承継します。
新設合併
新設合併設立会社は、その成立の日に、新設合併消滅会社の権利義務を承継します。
合併無効の訴え
会社の合併の無効は、各当事会社の株主・取締役等または合併を承認しなかった債権者が、合併の効力が生じた日から6か月以内に限り、訴えをもってのみ主張できます。
そして、請求を認容する判決が確定したときは、その合併は将来に向かって効力を失います。
会社分割
会社分割とは何か
会社分割(組織再編行為)とは、1つの会社を2つ以上の会社に分けることです。
会社分割は、権利義務を包括的に承継するものなので、一つ一つの契約などをそのまま譲受企業に承継できます。
会社分割には、吸収分割と新設分割があります。
吸収分割
吸収分割とは、株式会社または合同会社が、その事業に関して有する権利義務の全部または一部を分割後他の会社に承継させることです。
新設分割
新設分割とは、1または2以上の株式会社または合同会社が、その事業に関して有する権利義務の全部または一部を、分割により設立する会社に承継させることです。
手続
吸収分割会社については吸収合併消滅会社と、吸収分割承継会社については吸収合併存続会社と同様の手続が要求されています。
効力発生時期
吸収分割
吸収分割承継会社は、効力発生日に吸収分割会社の権利義務を承継します。
新設分割
新設分割設立会社は、その成立日に新設分割会社の権利義務を承継します。
株式交換・株式移転
株式交換・株式移転とは何か
株式交換・株式移転は、どちらも完全親子会社を簡易・円滑に総説するための手続です。
株式交換
株式交換とは、株式会社(子会社)が発行済株式の全部を、他の株式会社または合同会社(親会社)に取得させることです。
株式移転
株式移転(子会社)とは、1または2以上の株式会社が、発行済株式の全部を、新たに設立する株式会社(親会社)に取得させることです。
手続
株式交換完全子会社については吸収合併消滅会社と、株式交換完全親会社については吸収合併存続会社と同様の手続が要求されています。
ただし、株式交換・株式移転により各当事会社の財産が変動するわけではない(株主は移動)ので、債権者保護手続きは不要とされています。
効力発生時期
株式交換
株式交換完全親会社は、効力発生日に、株式交換完全子会社の発行済株式の全部を取得します。
株式移転
株式移転設立完全親会社は、その成立の日に、株式移転完全子会社の発行済株式の全部を取得します。
株式交換・株式移転無効の訴え
株式交換・株式移転についても、合併と同様に、訴えをもってのみ無効を主張できます。
株式交付
株式交付とは何か
株式交付とは、株式会社(親会社)が他の株式会社を子会社とするために他の株式会社(子会社)の株式を譲り受け、株式(子会社)の譲渡人に対して株式(子会社)の対価として親会社の株式を交付することです。
株式会社が他の株式会社を子会社とする手続としては株式交換がありますが、株式交換の場合は発行済株式の全部を取得させなければならず、一部のみを取得させて子会社とする手続が存在しなかったため、令和元年の会社法改正により、株式交付の手続が総説されました。
手続
株式交付親会社については、合併の場合と同様に手続が要求されています。
株式交付子会社については、手続の規定は設けられていません。
効力発生時期
株式交付親会社は、効力発生日に、株式交付子会社の株式を譲り受けたものとされ、株式交付子会社の譲渡人は、効力発生日に、株式交付親会社の株主となります。
株式交付無効の訴え
株式交付についても、合併と同様に、訴えをもってのみ無効を主張できます。
それではまた次回。
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