裁判制度は、頻出のテーマだわ!
しかも、安定した得点が見込めるモン!
本ブログでは、行政書士の試験科目「紛争解決制度・裁判制度」について要約しています。
行政書士を目指している方に向けて、下記の書籍を参考にして作成しました。
ほんのわずかでも、行政書士試験を受験される方の手助けになれたら幸いです。
裁判とは何か
裁判とは、司法機関としての裁判所・裁判官が、現実の紛争を解決する目的でなす公権的な法的判断の表示のことです。
裁判には大きく分けて、私人間の権利義務に関する紛争を解決する民事裁判と、犯罪を行った者の処罰を求める刑事裁判があります。
民事裁判・刑事裁判
民事裁判 | 刑事裁判 | |
訴える人 | 原告 | 検察官 |
訴えられる人 | 被告 | 被告人 |
裁判の基本原則
当事者主義
当事者主義とは、主張・立証の主導権を裁判の当事者に委ね、裁判官は審判の立場からその過程を整理して、最終的に優劣を判断するにとどめる原則です。
日本では、民事・刑事裁判の両方において、当事者主義が採用されています。
自由心証主義
自由心証主義とは、裁判所が証拠に基づき事実認定をするにあたり、裁判官の自由な判断に委ねる原則です。
日本では、民事・刑事裁判の両方において、自由心証主義が採用されています。
証明責任
裁判所は、事実の存否が確定できない場合であっても、裁判を拒否できません。
そのような場合には、当事者のどちらかに不利な判決をせざる得ないことになります。
この当事者の負う不利益を証明責任といいます。
民事裁判では、一定の法律効果を主張する当事者(原告)が、その効果の発生に必要な事実につき証明責任を負います。
刑事裁判では、検察官が証明責任を負います。
刑事裁判では、被告人の人権保障の観点から「疑わしきは被告人の利益に」の原則が採用されているからです。
裁判所・裁判官
裁判所
裁判所は、最高裁判所と下級裁判所に大別されます。
最高裁判所
最高裁判所は、大法廷または小法廷のいずれかで審理を行うかを自由に決定できます。
ただし、以下の場合には、大法廷で裁判を行わければなりません。
- 法令が憲法に適合するか否かを判断するとき(違憲判断)
- 法令が憲法に適合しないと認めるとき(違憲判断)
- 憲法その他の法令の解釈適用について、意見が前に最高裁のした裁判に反するとき(判例変更)
下級裁判所
下級裁判所には、高等裁判所・地方裁判所・簡易裁判所・家庭裁判所があります。
裁判官の数
- 高等裁判所=3人の裁判官による合議制
- 地方裁判所=3人の裁判官による合議制を除き、1人の裁判官
- 簡易裁判所=1人の裁判官
- 家庭裁判所3人の裁判官による合議制を除き、1人の裁判官
裁判官
種類
最高裁判所の長たる裁判官を最高裁判所長官といい、その他の裁判官を最高裁判所判事といいます。
下級裁判所の裁判官のうち、高等裁判所の長たる裁判官を高等裁判所長官といい、その他の裁判官は判事・判事補・簡易裁判所判事といいます。
任命
指名 | 任命 | 認証 | |
最高裁長官 | 内閣 | 天皇 | ー |
最高裁判事 | ー | 内閣 | 天皇 |
高等裁長官 | 最高裁の指名名簿 | 内閣 | 天皇 |
下級裁判事 | 最高裁の指名名簿 | 内閣 | ー |
定年
最高裁判所・簡易裁判所の裁判官の定年は70歳で、その他の裁判官の定年は65歳です。
三審制
三審制とは何か
日本の裁判制度では、3回まで裁判を受けられる三審制が採用されています。
三審制
審理の内容
民事裁判では、事実問題は第二審(控訴)までで審理しなければならず、第三審(上告)では法律問題についてしか審理できません。
刑事事件では、事実問題は第一審だけで審理しなければならず、その上の審級では法律問題しか審理できません。
ただし、重大な事実の誤認がある場合などは、上告審でも事実問題を審理できます。
上級審の審理の方式
上級審の審理の方式は、以下の3つです。
続審 | 第一審の裁判の審理を基礎としながら、新たな資料の提出を認めて審理を続行する |
事後審 | 第一審の裁判の記録に基づいて、その判断の当否を事後的に審査する |
覆審 | 第一審の裁判の審理とは無関係に、新たに審理をやり直す |
司法制度改革
裁判員制度
裁判員制度の対象となる裁判においては、裁判員6人、裁判官3人で構成される合議体(4人:1人もある)が、事実の認定・法令の適用・刑の量定を行います。
<事案>
覚せい剤営利目的輸入材などで起訴された被告人が、裁判員制度によって懲役9年および罰金400万円の有罪判決を受けたため、裁判員制度が憲法に違反するとして争った。
<結論>
裁判員制度は憲法に違反しない。
<判旨>
- 刑事裁判の基本的な担い手について
裁判は、証拠に基づいて事実を明らかにし、これに法を適用することによって、人の権利義務を最終的に確定する国の作用であり、取り分け、刑事裁判は、人の生命すら奪うことのある強大な国権の行使である。そのため、多くの近代民主主義国家において、それぞれの歴史を通じて、刑事裁判権の行使が適切に行われるよう種々の原則が確立されてきた。基本的人権の保障を重視した憲法では、特に31条から39条において、適正な刑事裁判を実現するための諸原則を定めており、そのほとんどは、各国の刑事裁判の歴史を通じて確率されてきた普遍的な原理ともいうべきものである。刑事裁判を行うに当たっては、これらの諸原則が厳格に遵守されなければならず、それには高度の法的専門性が要求される。憲法は、これらの諸原則を規定し、かつ、三権分立の原則の下に、「第6章 司法」において、裁判官の職権行使の独立と身分保障について周到な規定を設けている。こうした点を総合考慮すると、憲法は、刑事裁判の基本的な担い手として裁判官を想定していると考えられる。 - 国民の司法参加について
他方、歴史的、国際的な視点から見ると、欧米諸国においては、上記のような手続の保障とともに、18世紀から20世紀前半にかけて、民主主義の発展に伴い、国民が直接司法に参加することにより裁判の国民的基盤を強化し、その正当性を確保しようとする流れが広がり、憲法制定当時の20世紀半ばには、欧米の民主主義国家の多くにおいて陪審制が採用されていた。
日本私法支援センター(法テラス)
日本私法支援センター(法テラス)は、国民の司法へのアクセス拡充のため、以下の業務を行っています。
法テラスの業務
- 情報提供業務
- 民事法律扶助業務
- 国選弁護関連業務
- 司法過疎対策業務
- 犯罪被害者支援業務
刑事裁判に関する改革
強制基礎
平成16年の検察審査会法改正により、検察官が公訴を提起しない場合において、検察審査会が2度にわたって基礎を相当とする議決をしたときには、裁判所が指定した弁護士が公訴を提起する強制起訴の制度が導入されました。
公判前整理手続
平成17年の刑事訴訟法改正により、刑事裁判においては、審理が開始される前に事件の争点および証拠等の整理を集中して行う公判前整理手続の制度が導入されました。
消費者団体訴訟制度
差止め請求
平成18年の消費者契約法改正により、事業者による不当な勧誘行為・表示行為等について、内閣総理大臣の認定を受けた適格消費者団体が当該行為の差止めを請求できる消費者団体訴訟制度が導入されました。
損害賠償請求
平成25年に成立した「消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律」により、一定の集団に属する者が同一の集団に属する者の全員を代表して原告となり、当該集団に属する者の全員が受けた損害について、一括して損害賠償を請求できるようになりました。
それではまた次回。
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