内閣は、行政権を担当する機関だわ。
内閣も条文からの出題がほとんどだモン。
本ブログでは、行政書士の試験科目「統治・内閣」について要約しています。
行政書士を目指している方に向けて、下記の書籍を参考にして作成しました。
ほんのわずかでも、行政書士試験を受験される方の手助けになれたら幸いです。
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行政権と内閣
「行政権」は、「立法権」と「司法権」を除いたものと定義するのが一般的です(控除説)。
行政活動にはさまざまなものがあり、積極的に定義することが事実上不可能なために消極的な定義がなされています。
行政権は、内閣に属しています。
国家権力
内閣の組織
内閣の組織
内閣は、首長たる内閣総理大臣とその他の国務大臣で組織されます。
内閣総理大臣と国務大臣は、文民でなければならないとされています。
議会に対して責任を負う者によって軍事権をコントロールして、軍の独走を抑止するためです。
構成員の選任
内閣総理大臣
内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で指名し、天皇が任命します。
国務大臣
内閣総理大臣は、内閣の一体性を確保するため、国務大臣を任命したり罷免したりすることができます。
ただし、国務大臣の過半数は、国会議員の中から選ばなければなりません。
総辞職
総辞職とは、内閣総理大臣及び国務大臣の全員が同時に辞職することです。
総辞職が必要な場合
内閣は、自らの意思でいつでも総辞職できます。
ただし、以下の場合には、意思にかかわらず総辞職しなければなりません。
総辞職が必要な場合
- 不信任決議案の可決、または信任決議案の否決から、10日以内に衆議院が解散されなかった場合
- 内閣総理大臣が欠けた場合
- 衆議院議員総選挙後に初の国会が召集された場合
総辞職に伴う法的効果
行政の空白を作らないように、内閣は、総辞職をした場合でも、新たに内閣総理大臣が任命されるまで職務を継続しなければいけません。
総辞職の流れ
議院内閣制
議院内閣制とは、議会と政府が一応分立しており、政府が議会に対して連帯責任を負う政治体制です。
憲法には、議院内閣制を採用すると書かれていません。
しかし以下の規定があることから、議院内閣制を採用していると考えられます。
内閣の連帯責任
*国会=衆参両議院
内閣の連帯責任は、法的責任ではなく、国民からの政治的批判を受けるという政治責任を意味します。
内閣総理大臣の指名
国務大臣の任命
内閣不信任決議権
国務大臣の議員出席
内閣と内閣総理大臣の権能
憲法上、内閣の権能と内閣総理大臣の権能は区別されています。
内閣の権能は、閣議の決定を経なければなりませんが、内閣総理大臣の権能は、単独で行使できます。
内閣の権能
- 法律を誠実に執行し、国務を総理すること。
- 外交関係を処理すること。
- 条約を締結すること。
但し、事前に、時宜によっては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。 - 法律の定める基準に従い、官吏に関する事務を掌理すること。
- 予算を作成して国会に提出すること。
- この憲法及び法律の規定を実施するために政令を制定すること。
但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。 - 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること。
*国務の総理=政治全体が調和を保って円滑に進行するように配慮すること
*掌理=処理
*官吏=国家公務員
内閣総理大臣の権能
- 内閣総理大臣は、国務大臣を任命する(68条1項前段)。
内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができる(68条2項) - 内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告し、並びに行政各部を指揮監督する(72条)。
- 法律及び政令には、すべて主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することを必要とする(74条)。
- 国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。
但し、これがため、訴追の権利は害されない(75条)。
*訴追=検察官が起訴すること
<事案>
当時の内閣総理大臣が、丸紅から全日空にロッキード社製航空機の購入を奨励するように依頼を受けて5億円を授受したため、収賄罪で起訴された。
<結論>
航空機の購入を奨励した行為は、内閣総理大臣の職務権限に属するから、収賄罪が成立する。
<判旨>
内閣総理大臣が行政各部に対し指揮監督権を行使するためには、閣議にかけて決定した方針が存在することを要するが、閣議にかけて決定した方針が存在しない場合においても、内閣総理大臣の地位及び権限に照らすと、流動的で多様な行政需要に遅滞なく対応するため、内閣総理大臣は、少なくとも、内閣の明示の意思に反しない限り、行政各部に対し、随時、その所掌事務について一定の方向で処理するよう指導、助言等の支持を与える権限を有するものと解するのが相当である。
それではまた次回。
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