オプション取引のガンマを理解するために、ガンマを何かに例えてくれる?
ガンマは、受験生の気持ちに例えるとわかりやすいモン。
「オプション取引をはじめたい」、もしくは「オプション取引をはじめたばかり」の方は、カタカナ用語(オプション取引特有)の理解に苦しんでいませんか?
- デルタ
- ガンマ
- ベガ
- シータ(セータ)
- プット
- コール
- プレミアムetc
どこか遠い異国の方のお名前でしょうか( ´艸`)
わたし自身、オプション無しではいられないほどのオプションマニア(笑)ですが、初心者のころはどの本を読んでもイマイチ理解できませんでした。
むずかしい数学の教科書を読んでいる気分...。
微分とか...
積分とか...
オプション取引は、ただ相場が上がるか下がるを当てる取引ではありません。
- 上がるだろう
- 下がるだろう
- 上がらないだろう
- 下がらないだろう
- 相場は大きく動くだろう(上にも下にも)
- 相場はほとんど動かないだろう(上にも下にも)
上から2つの取引は、すべての投資(株式投資など)にも当てはまりますが、以下4つの取引はオプション取引特有の投資手法になります。
オプション取引をはじめることにより、新たな収益機会が広がります。
独特なオプション用語を理解して、オプション取引をはじめてみませんか。
オプション取引の「ギリシャ指標」には、「デルタ」「ガンマ」「ベガ」「セータ」の4つがあります(ギリシャ指標とは?)。
本記事では上記4つ指標のうち、「ガンマ」についてわかりやすく書いています。
ガンマの世界へようこそ💘
- 九州を拠点に自動車販売店を経営
- 2015年より金融系ブログ作成
- ほったらかし投資が座右の銘
ガンマ|ドキドキ度
本記事のオプション取引は、「日経平均株価」を対象にした「日経225オプション取引」です(日経平均株価とは?)。
日経225オプション取引については、日経225オプションとは?|コール・プットなどの用語を解説!をご参考ください。
オプション取引のリスク管理指標(リスクファクター)の一つで、原資産の価格が動いた時に、デルタ(原資産価格の変化に対するオプション価格の感応度)がどれだけ変化するかを表す指標。ガンマの値は、アット・ザ・マネー付近で値が大きくなり、イン・ザ・マネーまたはアウト・オブ・ザ・マネーになるほど0に近づく。
野村證券
冒頭でくまケンが、ガンマを受験生に例えました。
まさにその通りです( ´艸`)
合格ラインぎりぎりの受験生は、ドキドキしながら受験日を迎えます。
一方、「合格間違いなしの受験生」「記念受験をする受験生」のハートは穏やかです(記念受験とは、受かるはずのない学校を記念のために受けること)。
- 「合格ラインぎりぎりの受験生」のハートはガンマの最大値
- 「合格間違いなしの受験生」「記念受験をする受験生」のハートはガンマの最小値
受験
ガンマ値は「ドキドキ感」なのです。
ガンマ値は、平常時には低く落ち着いていますが、ドキドキする場面では急激に上昇します。
ガンマがドキドキして数値を上げると、デルタもドキドキして数値が上昇。
*デルタについては後述
するとデルタのドキドキ度は、オプション料に伝わり、結果オプション料も変動するのです(オプション料とは?)。
ガンマ→デルタ→オプション料
ドキドキ度の伝染は、必ず一定の方向です。
逆の伝染はありません。
デルタ|おさらい
デルタを知らずにガンマは理解できません。
本格的にオプション取引のガンマを解説する前に、簡単にデルタについておさらいしておきます。
デルタついての詳しい説明は、オプション取引のデルタをわかりやすく解説します!をご参考ください。
デルタには以下2つの役割があります。
- 利益になる確率を教えてくれる(日経平均株価が、前もって決めた価格を超えるか超えないか)。
*前もって決めた価格=権利行使価格(けんりこうしかかく) - 日経平均株価に連動して、オプション料がどれくらい上下するかを教えてくれる。
それぞれ説明します。
利益になる確率を教えてくれるなんて、とてもすばらしいわ。
デルタは、-1~0(プットオプション)と0~1(コールオプション)と表され、数字が大きくなるほどオプション取引の満期日(SQ日)に利益になる確率が高くなります(SQ日とは?)。
*先物・オプション取引には満期日がある
先物・オプション取引の満期日
利益になる確率を表す場合は、%(パーセント)で表示します。
- 0.0=満期日に利益になる確率は0%
(売りポジションは100%) - 0.2=満期日に利益になる確率は20%
(売りポジションは80%) - 0.4=満期日に利益になる確率は40%
(売りポジションは60%) - 0.6=満期日に利益になる確率は60%
(売りポジションは40%) - 0.8=満期日に利益になる確率は80%
(売りポジションは20%) - 1.0=満期日に利益になる確率は100%
(売りポジションは0%)
オプション料の値動きがわかれば助かるモン。
さらにデルタは、日経平均株価の値動きに対して、オプション料がどれくらい反応して変動するかも教えてくれます。
たとえば、デルタが0.1であった場合、日経平均株価が1円上がればオプション料は0.1円上がると予測できるのです。
日経平均株価が1円のスピードで走っているときに、オプション料は0.1円で走っていると理解してください。
デルタは「速度」
ちなみにデルタの値は、満期日にはじめて「-0.1」or「0」or「1.0」になります。
ガンマ|日経225オプション取引
前述した一連の伝染(流れ)を、日経225オプション取引(以下、オプション取引)に置きかえて説明します。
ポジション
オプション取引では、受験生をポジション持ちのオプション参加者に置きかえます。
ポジション持ちのオプション参加者は、「権利行使価格」に日経平均株価が近づくと一番ドキドキします。
*権利行使価格の説明は前述
日経平均株価が「権利行使価格」を超えるか超えないかで、オプション参加者の損益が決まるからです。
権利行使価格(コールオプション)
権利行使価格に日経平均株価が近づく=合格ラインぎりぎりの受験生
すなわちガンマは、ポジションをもっている投資家の気持ちを表しているといえます。
ドキドキ度
ガンマは、アット・ザ・マネー付近(一番ドキドキ)でもっとも大きくなり、イン・ザ・マネー(満足)またはアウト・オブ・ザ・マネー(あきらめ)になるほど0に近づきます。
ポジション
現状に満足(イン・ザ・マネー)していたり、あきらめ(アウト・オブ・ザ・マネー)ていたら、ドキドキしないからです。
- イン・ザ・マネー(ITM)|利益がでている状態
- アット・ザ・マネー(ATM)|損益ゼロの状態
- アウト・オブ・ザ・マネー(OTM)|損失がでている状態
ガンマ値の動き
前述したように、ガンマが大きくなるほどデルタの動く幅が大きくなり(1に近づく)、ガンマが小さくなるほどデルタの動く幅は小さくなります(0に近づく)。
デルタの傾き
また、ガンマはデルタと違い、コールに対してもプットに対しても正の値です。
したがってガンマは、オプションの買いには有利に働き、売りには不利に働きます。
時間
ガンマの大きさは、時間にも影響されます。
同じ権利行使価格(ATM付近)でも、満期月の近いガンマのほうが、遠いガンマよりも大きいです。
*満期月は限月(げんげつ)といい、最も近い限月を期近(きぢか)といいます。
期近
また、オプション満期日までの期間が短いオプション(ATM付近)ほど、ガンマは大きくなります。
逆にOTMになればなるほど、期近よりも期先のガンマが大きくなります。
ガンマの変化(期間)
決戦の日(満期日)が近くなると、ドキドキ感が大きくなるからでしょうね( ´艸`)
期近の満期日の直前に、日経平均株価が権利行使価格(アット・ザ・マネー)付近にあるときのガンマが最大になります。
ポジティブガンマ
日経平均株価が動けば動くほど利益になり、利益が出はじめる(イン・ザ・マネー)と加速度的に利益が増えていきます。
日経平均株価が上昇(もしくは下落)
アット・ザ・マネー(権利行使価格)に向けてガンマが上昇
ガンマの上昇によりデルタも上昇
日経平均株価がアット・ザ・マネー(権利行使価格)を超える
デルタの上昇(イン・ザ・マネー)によりオプション料が跳ね上がる
イン・ザ・マネーが深くなるほど(ガンマは減少しますが)、デルタ値の上昇(0.6~0.9)により、オプション料の値動きの幅が日経平均株価の値動きの幅に近づいていくからです。
*仮にデルタ値が0.9のとき、日経平均株価が10円動けばオプション料は9円上がる。
デルタ値の動き(コールオプション)
加速度的に利益が増えるなんて、とてもうれしいわ。
逆に損失は、デルタの減少+ガンマの減少によりブレーキがかかるので、あまり増えていきません。
損失に、ブレーキがかかるのはありがたいモン。
アクセルをベタ踏み(ガンマが増加)すると、スピード(デルタ)がさらに上昇(増加)して、オプション料に感動的な変化をもたらします。
デルタは速度で、ガンマは加速といわれる所以です。
オプションの買いは、アウト・オブ・ザ・マネーからイン・ザ・マネーめざすのでガンマはプラスに作用します。
コールとプットのイン・ザ・マネー
ネガティブガンマ
前述したように、日経平均株価が大きく動くと予想(オプション買い)する人は、ガンマを味方につけます。
逆に動かないと予想する人(オプション売り)は、ガンマを敵に回します。
日経平均株価が大きく動くと、ネガティブガンマが働いて損失が拡大するからです(ガンマは正の値だから)。
ガンマは正の値
ポジティブガンマ(買いポジション)の場合、日経平均株価が向かってほしい(利益になる)方向にガンマは作用します。
ポジティブガンマ(オプションの買い)=イン・ザ・マネーを願う
しかしネガティブガンマ(売りポジション)の場合は、本来ガンマが作用する方向とは逆方向を願います。
ネガティブガンマ(オプション売り)=アウト・オブ・ザ・マネーを願う
したがって、オプション売りの利益にはブレーキがかかり、逆に損失は加速していくのです。
ガンマの働き
くり返しますが、ガンマは正の値だけであって負の値はありません。
売りポジションだからといって、ガンマが負の値になることはないのです。
- コールオプションを売る場合は、日経平均株価は下がってほしい。
- プットオプションを売る場合は、日経平均株価は上がってほしい。
したがって、オプションを売るとガンマが敵になってしまいます。
ガンマを敵に回すのはとても怖いので、安易なオプションの売りは慎みましょう。
しかし、綿密に戦略を練っていれば、コールオプションの売りは「ちょっとしたこづかい稼ぎ」になります。
コールオプションの売りについては、下記↓↓の記事をご参考ください。
まとめ
ガンマは、デルタがどれくらいの速度で動くかを教えてくれるとても重要な存在です。
ガンマが大きいと、日経平均株価の値動きに対するデルタの値動きも大きくなり、オプション料の変化に大きな影響を与えます。
逆にガンマが小さいと、日経平均株価の値動きに対するデルタの値動きも小さくなり、オプション料はあまり影響を受けません。
ガンマはデルタの「縁の下の力持ち」
デルタの変化量=日経平均株価の変動幅×ガンマ値
デルタ=0.5+0.0005×100
デルタ=0.55
オプション料は55円上がる
デルタ=0.5-0.0005×100
デルタ=0.45
オプション料は45円下がる
ガンマの値から、ガンマ分のオプション料の値動きも計算できます。
かりにガンマが0.0001のときに、日経平均株価が100円上昇したとすると、(100×100)×0.0001÷2で0.5円オプション料が高くなります。
日経平均株価の値動きを2乗するところに、ガンマの強さ(恐ろしさ)が表れていますね。
- 「ほったらかし投資」とは読んで字のごとく、商品を買ったあとは ”ほったらかし” ているだけの投資方法。
- 「ほったらかし投資」の中身はさまざまだが、投資のプロやAIに売買をまかせるというのが基本。
- 「ほったらかし投資」は、<初心者も始めやすい><少額から始められる><長期投資に有効な>投資方法。
それではまた。
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