相場の行方はだれにもわからないわ。
相場の行方がわからなくても、利益になるオプション戦略を紹介するモン。
一般的に知られている投資は...
- 買っている商品の価格が上がれば利益
- 売っている商品の価格が下がれば利益(空売り)
となります。
上がれば利益(損失)下がれば損失(利益)であれば、利益になる確率は50%のはずなので、「運がよければもうかるかも」とだれもが思いがちです。
しかし...投資で利益を出す確率は、決して50%ではありません。
40%、30%、もしくはそれ以下かも...。
なぜなら投資家の欲望や感情が、利益になる確率を下げてしまうからです。
それでは、相場が上がっても下がっても利益になる投資手法があればどうでしょうか?
投資してみたいですよね( ´艸`)
相場が動かないと損失になるのが欠点のですが、相場が動くときはだいたい決まっているので、おもしろい投資ができそうです。
相場が上がっても下がっても利益になる一方、相場が動かなければ損失になるオプション戦略。
その名もロング・ストラドル
本記事では、「ロング・ストラドル」についてわかりやすく解説しています。
ロング・ストラドルへようこそ💘
- 九州を拠点に自動車販売店を経営
- 2015年より金融系ブログ作成
- ほったらかし投資が座右の銘
ロング・ストラドルとショート・ストラドル
本記事のオプション取引は、「日経平均株価」を対象にしている「日経225オプション取引」です(日経平均株価とは?)。
日経225オプション取引については、日経225オプションとは?|コール、プットなどの用語を解説!をご参考ください。
同じ限月で同じ権利行使価格のコール・オプション(コール)とプット・オプション(プット)を組み合わせることで得られるポジション。
同じ権利行使価格のコールとプットを同数買うことで得られるポジションはロング・ストラドルと呼ばれ、一般的には、原資産価格が大きく上昇するか下落すると予想でき、かつどちらに動くか分からない局面に有効とされている。
野村證券
前述したように、ロング・ストラドルは、相場が上下関係なく大きく動くと予想する時に使うオプション戦略です。
相場が大きく動く場合に無限大の利益となり、損失は支払うオプション料に限定されます。
選挙や、大事な経済指標の発表を控えている時などがねらい目です。
- 利益は無限大
- 損失は限定(支払いオプション料)
- 相場が大きく動きそうな時がねらい目
ロング・ストラドルとは正反対のオプション戦略に、「ショート・ストラドル」があります。
ショート・ストラドルは下図のように、相場は動かないと予想した時に使うオプション戦略です。
現在の日経平均株価付近の「コールオプション」と「プットオプション」を、同じ枚数売ります(同じ満期日)。
*コールオプションとプットオプションについては後述
ショート・ストラドル
*○○円=現在の日経平均株価=アット・ザ・マネー
ショート・ストラドルについて詳しくは、オプションの売り戦略|ショート・ストラドルを分かりやすく解説をご参考ください。
ロング・ストラドルは、ショート・ストラドルとは正反対に、アット・ザ・マネー(同じ満期日)の「コールオプション」と「プットオプション」を同じ枚数買います。
ロング・ストラドル
- ○○円より上がるだろう(○○円で買える)という商品(オプション)=コールオプション
- ○○円より下がるだろう(○○円で売れる)という商品(オプション)=プットオプション
ロング・ストラドルは、上記のコールオプションとプットオプションを買いあわせて利益をねらいます。
まずは、コールオプションの買いについて簡単に説明します。
コールオプション買い
前述したように、日経平均株価(相場)が上がると予想すればコールオプションを買います。
コールオプションは、日経平均株価を前もって設定した○○円で買える商品(権利)。
日経平均株価が○○円より上昇すると、高くなった日経平均株価を安い○○円で買えるので、日経平均株価から○○円を引いた金額が利益となります。
前もって設定した○○円を権利行使価格という
コールオプション取引の流れ
- 日経平均株価が上がると予想する。
- コールオプションを買う。
- コールオプションの売り手にオプション料を支払う。
- 日経平均株価が上昇して権利行使価格を超えた。
- 高くなった日経平均株価を、安い権利行使価格で買える(売り手は売らなけらばならない)。
- 日経平均株価から権利行使価格を引いた分が買い手の利益となる。
オプションを売買するときに、買い手が売り手に支払うオプションの価格(プレミアムとも呼ばれる)
上記の流れは、取引を満期日(SQ日)に自動決済した場合です。
満期日
実際ほとんどの取引では、コールオプションの買い手と売り手の間で、オプション料を売買して利益をねらいます。
- 日経平均株価が上がる=コールオプション料が高くなる
- 日経平均株価が下がる=コールオプション料が安くなる
オプション料(コール)
コールオプションの買い手は、自分に不利な取引(日経平均株価が権利行使価格よりも下がった)はしなくてもいいです。
取引をしない場合には、取引の最初に売り手に支払ったオプション料が損失となります(損失限定)。
つぎは、プットオプションの買いについて簡単に説明します。
プットオプション買い
プットオプションは、コールオプションの真逆で、日経平均株価(相場)が下がると予想すればプットオプションを買います。
プットオプションは、日経平均株価を前もって設定した○○円(権利行使価格)で売れる商品(権利)。
日経平均株価が○○円より下落すると、安い日経平均株価を高い○○円で売れるので、○○円から日経平均株価を引いた金額が利益となります。
プットオプション取引の流れ
- 日経平均株価が下がると予想する。
- プットオプションを買う。
- プットオプションの売り手にオプション料を支払う。
- 日経平均株価が下落して権利行使価格より下がった。
- 安くなった日経平均株価を、高い権利行使価格で売れる(売り手は買わなければならない)。
- 権利行使価格と日経平均株価の引いた分が買い手の利益となる。
上記の流れは、取引を満期日(SQ日)に自動決済した場合です。
実際の取引では、プットオプションの買い手と売り手の間で、オプション料を売買して利益をねらいます。
オプション料(プット)
- 日経平均株価が上がる=プットオプション料が安くなる
- 日経平均株価が下がる=プットオプション料が高くなる
プットオプションの買い手も、自分に不利な取引(日経平均株価が権利行使価格よりも上がった)はしなくてもいいです。
取引をしない場合には、取引の最初に売り手に支払ったオプション料が損失となります(損失限定)。
つぎは、ロング・ストラドルについて説明します。
ロング・ストラドル
シミュレーションを交えて、ロング・ストラドルについて再度解説します。
ロング・ストラドル
くり返しになりますが、ロング・ストラドルは、相場が上下どちらかに大きく動くと予想した場合のオプション戦略です。
アット・ザ・マネー(ATM)のコールオプションと、プットオプション(同じ満期日)を同じ枚数買います。
ITM ATM OTM
- 日経平均株価が上昇した場合、コールとプットのオプション料が最初に支払ったオプション料を上まわれば利益。
- 日経平均株価が下落した場合、プットとコールのオプション料が最初に支払ったオプション料を上まわれば利益。
逆にオプション料の合計よりも、支払いオプション料のほうが多ければ損失となります。
シミュレーション
日経平均株価が18,995円の時に、相場が上下どちらかに大きく動くだろうと予想してロング・ストラドルを組みました。
権利行使価格19,000円のコールオプションとプットオプションを1枚ずつ買います。
日経平均株価18,995円(エントリー)
- 緑グラフ=エントリー日
- 青グラフ=満期日
- 縦軸=損益
- 横軸=日経平均株価
オプション | オプション料 | IV | デルタ | ガンマ | ベガ | セータ |
コール19,000円 | 235円 | 17.03% | +0.536 | +0.0740 | +12.52 | -10.66 |
プット19,000円 | 260円 | 22.30% | -0.469 | +0.0566 | +12.54 | -13.97 |
最大利益は無限大で、最大損失(支払いオプション料)は495円(235円+260円)です。
満期日の損益分岐点(赤⇧)は、コール側は19,495円(19,000円+495円)、プット側は18,505円(19,000円-495円)となります。
デルタニュートラル
その後日経平均株価が上昇して20,000円となり、利益が550,000円になりました。
日経平均株価20,000円(利益550,000円)
日経平均株価20,000円の時点ではデルタが1に近いので(0.891)、日経平均株価の値動きに比例して損益の増減も激しくなります。
デルタ0.891
したがって、日経225ミニを9枚売って現時点で利益を固定します。
日経225ミニを9枚売ることでデルタが0に近づくので(-0.9+0.891=-0.009)、日経平均株価が20,000円から上下どちらに動いても、550,000円以上の利益を確保できます(当日)。
デルタ-0.009
デルタを0に近づける(デルタニュートラル)ことで、得られる利益は減るかもしれませんが、安心して取引を続けられます。
デルタニュートラル
今後は、オプション料の時間価値低下(タイムディケイ)に負けないくらいの、インプライド・ボラティリティ(IV)の上昇を期待します。
*インプライド・ボラティリティ(IV)については後述
オプション料の時間価値
インプライド・ボラティリティ(IV)
オプションはいつでも買っていいのかしら?
オプションは安いときに買う方がいいんだモン。
オプション買いのすべてに言えることですが、インプライド・ボラティリティ(IV)が低いとき(相対的)にエントリーしてください(IVとは?)。
ほとんどの投資家が相場に安心しきっているときは、オプションの売りは増えても買いは減るからです。
- ボラティリティが低い=オプション料が安い
- ボラティリティが高い=オプション料が高い
需要と供給の関係で、だれも買おうとしないオプションは安くなります。
コールオプションもプットオプションもどちらもです。
インプライド・ボラティリティについて詳しくは、オプション取引|ボラティリティをわかりやすく解説!をご参考ください。
まとめ
支払うオプション料が安ければ安いほど、日経平均株価が動いてほしい距離(損益分岐点)は近くなります。
したがって前述したように、インプライド・ボラティリティ(IV)が相対的に低いときにエントリーしてください。
インプライド・ボラティリティ(IV)が低いときの方が、オプション料は安くなるからです。
またオプション買いのポジションは、相場が動かない場合、時間価値の減少でオプション料が日々減っていきます。
- 時間価値の減り具合を示すセータの値は、アット・ザ・マネー付近で最大になる。
- 時間価値はアット・ザ・マネー付近で最大になるので、アウト・オブ・ザ・マネーよりもオプション料が高い(アウト・オブ・ザ・マネーとは?)。
セータについては、オプション取引|セータとは?わかりやすく解説します!をご参考ください。
ロング・ストラドルは、アット・ザ・マネーのオプションを買うので、オプション料が非常に高くオプション料の減少も大きいです。
したがってロング・ストラドルは、まず間違いなく相場が大きく動くと確信した場合にエントリーして、利益がでたら速やかに反対売買で決済するほうがいいでしょう。
残念ながら予想がはずれて相場が動かなかったら、すぐに損切してください(損切とは?)。
ポジションを抱えたまま、満期日を迎えることなど決してないように...。
ロング・ストラドルは、利益も大きいですが損失も大きい短期決戦用のオプション戦略です。
弟分の「ロング・ストラングル」とは、似ているようでまったくの別物だと思ってください。
ロング・ストラングル
- ロング・ストラドルは短期のオプション戦略(1日~数日)
- ロング・ストラングルは長期のオプション戦略(数日~満期日)
ロング・ストラングルについては、オプションの買い戦略|ロング・ストラングルとは?をご参考ください。
- 「ほったらかし投資」とは読んで字のごとく、商品を買ったあとは ”ほったらかし” ているだけの投資方法。
- 「ほったらかし投資」の中身はさまざまだが、投資のプロやAIに売買をまかせるというのが基本。
- 「ほったらかし投資」は、<初心者も始めやすい><少額から始められる><長期投資に有効な>投資方法。
それではまた。
コメント