今回は、当事者訴訟を学習するわ!
2種類の当事者訴訟の違いを意識するモン!
本ブログでは、行政書士の試験科目「行政事件訴訟法・当事者訴訟」について要約しています。
行政書士を目指している方に向けて、下記の書籍を参考にして作成しました。
ほんのわずかでも、行政書士試験を受験される方の手助けになれたら幸いです。
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- 2級ファイナンシャル・プランニング技能士
当事者訴訟とは何か
当事者訴訟とは何か
当事者訴訟とは、権利義務の主体が対等な立場で法律関係について争う訴訟です。
取消訴訟は、行政庁が公権力の行使として一方的に国民に対してなした処分・裁決という行為自体を直接に争う訴訟であるのに対し、当事者訴訟は、行政主体などと国民が対等な立場で法律関係について争う訴訟です。
当事者訴訟の種類
当事者訴訟には、形式的当事者訴訟と実質的当事者訴訟があります。
形式的当事者訴訟
形式的当事者訴訟とは何か
形式的当事者訴訟とは、当事者間の法律関係を確認しまたは形成する処分・裁決に関する訴訟で、法律の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするものです。
形式的当事者訴訟は、処分・裁決の効力を争う点で実質的には抗告訴訟であるものの、立法政策上、形式的訴訟の形式をとるべきとされているものです。
形式的当事者訴訟の具体例
上記事例において、Xは、収用裁決に不服があるので、本来ならば、収用裁決の取消訴訟を提起することになるはずです。
しかし、収用委員会の裁決のうち損失の補償に関する訴えは、これを提起した者が起業者であるときは土地所有者または関係人を、土地所有者または関係人であるときは起業者を、それぞれ被告としなければならないので、Xは、2000万円という補償金額に不服がある場合には、企業者であるB市を被告として訴えを提起することになります。
このように、収用委員会の裁決のうち損失の補償に関する訴えは、実質的には収用裁決の取消訴訟であるものの、土地収用法という法律によって、補償金の支払いに関する当事者間で直接争うべきとされているので、形式的当事者訴訟に当たります。
実質的当事者訴訟
実質的当事者訴訟とは何か
実質的当事者訴訟とは、公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の公法上の法律関係に関する訴訟です。
したがって、行政主体と国民との間における対等当事者としての法律関係に関する訴訟であっても、私法上の法律関係に関する訴訟は、実質的当事者訴訟ではなく民事訴訟となります。
実質的当事者訴訟の具体例
実質的当事者訴訟の具体例としては、日本国籍を有することの確認の訴え、在外国民の選挙確認の訴えなどがあります。
なお、土地収用法に基づく収用委員会の裁決のうち損失の補償に関する訴えのように、個別法の中に損失補償に関する規定がある場合は、形式的当事者訴訟となりますが、個別法の中に損失補償に関する規定がない場合に、憲法29条3項に基づいてなした損失補償請求の訴えは、実質的当事者訴訟となります。
それではまた次回。
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