今回は、仮の救済を学習するわ!
たとえ仮でも必要なんだモン!
本ブログでは、行政書士の試験科目「行政事件訴訟法・仮の救済」について要約しています。
行政書士を目指している方に向けて、下記の書籍を参考にして作成しました。
ほんのわずかでも、行政書士試験を受験される方の手助けになれたら幸いです。
- 九州を拠点に自動車販売店を経営
- 2015年より金融系ブログ作成
- 2級ファイナンシャル・プランニング技能士
執行停止
執行停止の原則
行政の円滑な運営に支障をきたすことを防止するため、取消訴訟がなされ審理中であったとしても、処分の効力・処分の執行・手続の続行は妨げられません(執行不停止の原則)。
執行停止
執行停止とは何か
執行停止の原則を貫くと、取消訴訟の審理中に処分が執行され原告に損害が生じ、後日請求が認容されても、もはや原告の権利救済が実現できなくなる場合があります。
また、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為については、民事保全法に規定する仮処分をすることができないとされているので、原告は、仮処分の方法により救済を求めることができません。
そこで、原告の権利を保全するため、処分の効力・処分の執行・手続の続行の全部または一部の停止をすることが認められています(執行停止)。
なお、執行停止の内容は、行政不服審査法におけるものと同様です。
執行停止の要件
行政事件訴訟における執行停止の要件は、以下の通りです。
- 取消訴訟が違法に提起されていないこと
- 重大な損害を避けるため緊急の必要があること
- 原告からの執行停止の申立てがあること
- 公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあること
- 本案について理由がないとみえること
執行停止の手続
執行停止の決定は、口頭弁論を経ないでできますが、あらかじめ、当事者の意見をきかなければなりません。
執行停止の取消し
執行停止の決定が確定した後に、その理由が消滅し、その他事情が変更したときは、裁判所は、相手方の申立てにより、決定をもって、執行停止の決定を取り消すことができます。
内閣総理大臣の異議
裁判所の権限濫用に基づく執行停止により行政が停滞することを回避するため、内閣総理大臣は、執行停止の申立てがあった場合や、執行停止の決定があった後に、裁判所に対して、異議を述べることができます。
内閣総理大臣の異議が述べられたときは、その理由の当否について裁判所に審査権限はなく、裁判所は、執行停止をできなくなり、すでに執行停止の決定をしているときは、決定を取り消さなければなりません。
内閣総理大臣の異議は、執行停止の決定をした裁判所に対して述べなければなりません。
なお、内閣総理大臣は、やむをえない場合でなければ、異議を述べてはならず、また、異議を述べたときは、次の常会にて国会に報告しなければなりません。
行政不服審査法と行政事件訴訟法の執行停止
行政不服審査法 | 行政事件訴訟法 | ||
審査庁が処分庁の 上級行政庁・処分庁 | 左記いずれでもない | ||
職権による 執行停止 | 可能 | 不可 | 不可 |
処分庁の 意見徴収 | 不要 | 必要 | 不要 |
執行停止義務 | あり | なし | |
なしうる措置 | 右記以外の措置もなしうる | 処分の効力・執行・手続の続行の停止 | |
内閣総理大臣 の異議 | 不可 | 可能 |
仮の義務付け・仮の差止め
仮の義務付けとは、義務付け訴訟を提起したものの、その判決を待っていたのでは間に合わないような場合に、仮に行政庁がその処分・裁決をすべき旨を命ずることです。
仮の差止めとは、差止め訴訟を提起したものの、その判決を待っていたのでは間に合わないような場合に、仮に行政庁がその処分・裁決をしてはならない旨を命ずることです。
仮の義務付け・仮の差止めと執行停止との違いについては、以下の通りです。
仮の救済
執行停止 | 仮の義務付け・仮の差止め | |
するための条件 | ・取消訴訟を提起 ・重大な損害を避けるため 緊急の必要があること ・執行停止の申立て | ・義務付け訴訟・差止め訴訟を提起 ・償うことのできない損害を 避けるため緊急の必要があること ・仮の義務付け・仮の差止めの申立て ・本案に理由があるとみえる |
できない場合 | ・公共の福祉に重大な影響を 及ぼすおそれがある ・本案について理由がないとみえる | ・公共の福祉に重大な影響を 及ぼすおそれがある |
内閣総理大臣の異議 | 可能 |
それではまた次回。
コメント