あ行
悪意(あくい)
事情を知っていること。
意思無能力者(いしむのうりょくしゃ)
幼児や心神喪失者などの意思能力のない者。
意思無能力者による法律行為は無効です。
遺留分(いりゅうぶん)
相続人の生活保障などの観点から、遺言によっても侵害されない一定額(1/2or1/3)。
たとえば、配偶者1人・子1人の場合は、配偶者1/4・1/4となります。
なお、兄弟姉妹には遺留分はありません。
遺留分侵害額の請求(いりゅうぶんしんがいがくのせいきゅう)
遺留分侵害額に相当する金銭を請求すること。
遺留分侵害額の請求は、意思表示のみで可能です。
か行
解除(かいじょ)
一方の契約者からの意思表示によって、契約をなかったことにすること。
契約を一度解除すると、撤回はできません。
過失(かしつ)
不注意や怠慢のこと。
仮登記(かりとうき)
本登記をするために必要な書類などがそろっていない場合や、とりあえず登記の順位を保全したい場合にする登記。
仮登記に対抗力はありません。
危険負担(きけんふたん)
売主・買主に責任がない状態で、建物や土地が引渡し前に損傷・滅失した場合は、買主は代金の支払いを拒否できる。
求償(きゅうしょう)
第三者が債務者に代わって弁済したときに、第三者が債務者に対して請求すること。
強迫被害(きょうはくひがい)
強迫被害者には、落ち度はなしとみなされる。
したがって、善意無過失の第三者に対して対抗(主張)できます。
虚偽表示(きょぎひょうじ)
相手と示し合わせて、売買していないのに売買したことにすること。
実際に売る意思も買う意思もないので、契約は無効です。

金銭債務(きんせんさいむ)
金銭の支払いを目的とする債務。
約束した日に支払えなければ、約束した日から履行遅滞になります。
金銭債務に履行不能はありませんので、常に履行遅滞となります。
欺罔行為(ぎもうこうい)
相手をだまして錯誤させることや、相手をあざむく行為。
契約不適合責任(けいやくふてきごうせきにん)
売買契約をして引き渡されたものが、契約内容と違った場合は、売主は責任を取らなければならない。
権限外(けんげんがい)
代理人が、本人から与えられた権限以外の行為をした場合。



検認(けんにん)
遺言書の偽造・変造を防止するための手続き。
家裁の検認がなくても遺言書は無効になりません。
顕名(けんめい)
代理人が、「私は本人の代理人です」と相手方に示すこと。
代理人が顕名をしなかった場合、相手方が善意無過失であれば、契約は代理人と相手方で結ばれることになります。
しかし相手方が、悪意or善意有過失であれば、通常通りに本人と相手方間の契約が成立します。
権利部(けんりぶ)
不動産登記などの登記用紙の一部分。
- 登録申請義務がない
- 対抗要件とするには権利部に登記が必要
- 対抗要件として使わなければ登記の必要なし
原状回復(げんじょうかいふく)
解除後、すべてを元に戻すこと。
ただし原状回復は、「もとに戻せばよい」というわけではありません。
金銭であれば、金銭に預かっていた期間の利息をつけて返しますし、建物も使用料をつけて返します。
限定承認(げんていしょうにん)
財産の分を限度に借金を引き継ぐ(相続)こと。
限定承認は、相続人全員共同でしなければなりません(家裁に申述)。
公正証書遺言(こうせいしょうしょいごん)
口述したものを公証人が筆記した遺言。
実印が必要で、原本は公証役場に保管されます。
証人が2人以上必要で、検認は不要です。
さ行
債券(さいけん)
相手に請求できる権利。
債権消滅(さいけんしょうめつ)
- 所有権移転登記が完了(不動産の場合)
- 引渡し完了(その他)
催告権(さいこくけん)
相手方は、無権代理人との契約を追認するかどうかを本人に催告できる。
相手方は悪意でも催告できて、相手から確答が無い場合は追認拒絶とみなされます。
債務(さいむ)
相手に対して負う義務。
債務不履行(さいむふりこう)
約束通りに債務を果たさないこと。
詐欺被害(さぎひがい)
詐欺でだまされた人は、相手の発言が本当かどうかを調べればわかるはずとみなされる。
詐欺被害者は調べることを怠った(落ち度あり)ということで、善意無過失の第三者に何も主張できません。
ただし、第三者に悪意や過失があった場合(詐欺や強迫を知っていた・知ることができた)は、詐欺・強迫にかかわらず取消しを対抗(主張)できます。
錯誤(さくご)
勘違いのこと。
原則、錯誤による意思表示は取消しができます。
取得時効(しゅとくじこう)
物を一定期間継続して占有すると、その物の権利を取得できる制度。
すなわち、長い間他人の物を持っていると自分の物になるということです。
消滅後(しょうめつご)
代理権が消滅して、代理人ではなくなった者が代理行為をした場合。



消滅時効(しょうめつじこう)
時間が経つと失う時効。
消滅時効の期間は、権利行使できるときから10年、もしくは知ったときから5年のうち、いづれか早い方になります。



所有権移転の登記(しょゆうけんいてんのとうき)
不動産の所有権が移ったときに所有権を明確にするために行う登記。
所有権保存の登記(しょゆうけんほぞんのとうき)
不動産において最初に行われる登記。
その後売買・相続によって所有者が変わったら「所有権移転の登記」を行います。
心裡留保(しんりりゅうほ)
冗談や嘘のこと。
何度も嘘をつかれていて、嘘と気づけた場合(善意有過失)や、嘘だと知っていた場合(悪意)は保護する必要はありません。
なお、善意の第三者には、その無効を対抗(主張)できません。



時効(じこう)
時の経過によって権利関係に変化が生じること。
時効の援用(じこうのえんよう)
時効の利益を受けるという意思表示。
援用するという意思表示をしてから効力が生じます。
時効の援用ができる人は、時効によって直接利益を受ける人のみです。
時効の完成猶予(じこうのかんせいゆうよ)
一定期間、時効の完成を猶予(一時ストップ)させること。
【時効の完成猶予】一時ストップ
時効の更新(じこうのこうしん)
時効の完成前に、それまでの時間経過をゼロに戻すこと。
【時効の更新】ゼロに戻す(リセット)
時効の遡及効(じこうのそきゅうこう)
時効が完成すると、時効の効果は、時効の起算日(期間を数え始める最初の日)にさかのぼる。
- 【取得時効】はじめから所有者にすれば不法占拠の事実がなくなる→損害賠償不要
- 【消滅時効】貸し借りが最初からなくなる→遅延損害金不要
時効の利益の放棄(じこうのりえきのほうき)
時効の利益を受けないという意思表示。
「時効の利益の放棄」は、時効完成の前にはできません。
また、時効完成後に、債務者が時効の完成を知らずに承認(債務の一部を弁済)した場合、「時効の援用」はできません。
自己契約(じこけいやく)
代理人自身が相手方(買主)になること。
代理人は、自分を相手方として契約することはできません。
ただし、本人があらかじめ許諾していた場合は有効になります。



自筆証書遺言(じひつしょうげんいごん)
全文を自分で手書きし、日付と名前を記入して押印された遺言。
財産目録は、ページごとに署名・押印すればPCで作成してもいいです。
また、法務局の補完制度を利用すれば検認は不要です。
授権表示(じゅけんひょうじ)
代理人に代理権を与えていないのに、相手方に与えたと誤信させた場合。



制限行為能力者(せいげんこういのうりょくしゃ)
判断能力が不十分とみられる人。
制限行為能力者には、保護者を付けます。
- 未成年者
- 成年被後見人
- 被保佐人
- 被補助人
成年被後見人(せいねんひこうけんにん)
判断能力を欠いているとされる制限行為能力者のひとつ。
家裁から後見開始審判を受ける必要があります。



善意(ぜんい)
事情を知らないこと。
全部他人物売買(ぜんぶたにんぶつばいばい)
他人の物を売る契約。
民法では、他人の物を売買する契約も有効な契約であるとしています。
相続(そうぞく)
亡くなった人の権利や義務を引き継ぐこと。
ただし相続は、プラスだけではなくマイナスも相続します。
相続放棄(そうぞくほうき)
はじめから相続人ではなかったことになること。
相続放棄は単独でできます(家裁に申述)。
双方代理(そうほうだいり)
売主と買主の両方の代理人になること。
双方代理は禁止されています。
ただし、双方があらかじめ許諾していた場合は有効になります。



た行
単純承認(たんじゅんしょうにん)
財産も借金も両方とも相続すること。
代位(だいい)
他人にかわってその地位につくこと。
代襲相続(だいしゅうそうぞく)
相続人になれる人が「死亡・欠格(けっかく)・廃除(はいじょ)」によって相続できない場合に、代わりに子が相続人になること。
なお、相続放棄した場合には代襲相続できません。



代物弁済(だいぶつべんさい)
本来の給付とは異なる他の給付をすることで、債務を消滅させること。
お金の代わりにキャベツで支払うなどです。
代理権(だいりけん)
本人(未成年者・成年被後見人・被保佐人・被補助人)の代わりに、契約などの法律行為を行う権限のこと(法定代理権)。
他に、任意代理権もあります。
未成年者 | 被後見人 | 被保佐人 | 被補助人 | |
同意権 | 〇 | × | 〇 | △ |
追認権 | 〇 | 〇 | 〇 | △ |
取消権 | 〇 | 〇 | 〇 | △ |
代理権 | 〇 | 〇 | △ | △ |
地役権(ちえきけん)
一定の目的のために、他人の土地を利用する権利のこと(近道など)。
地上権(ちじょうけん)
他人の土地を使用できる権利(地下鉄・トンネルなど)。
追完(ついかん)
売り主に対して、契約内容に適合するように目的物の修補等を求めることができる権利。
追認(ついにん)
取消権を放棄すること。
取り消すことができる取引を、「取り消さない」と決める意思表示です。



未成年者 | 被後見人 | 被保佐人 | 被補助人 | |
同意権 | 〇 | × | 〇 | △ |
追認権 | 〇 | 〇 | 〇 | △ |
取消権 | 〇 | 〇 | 〇 | △ |
代理権 | 〇 | 〇 | △ | △ |
手付解除(てつけかいじょ)
買主が売主に預けておくお金のこと。
買主は売主に手付を預けておくことで、契約を解除できます。
手付解除は、民法のルールにのっとった正当な解除なので、債務不履行にはなりません。
取消権(とりけしけん)
契約を取消しできる権利。
錯誤・詐欺・強迫による契約は、原則、取り消せます(例外あり)。
未成年者 | 被後見人 | 被保佐人 | 被補助人 | |
同意権 | 〇 | × | 〇 | △ |
追認権 | 〇 | 〇 | 〇 | △ |
取消権 | 〇 | 〇 | 〇 | △ |
代理権 | 〇 | 〇 | △ | △ |
【取消権】
- 相手方は、不安定な立場から逃れるために本人に取消しを主張できる
- 相手方は善意であること
- 本人が追認すると取消しできない



同意権(どういけん)
本人の契約に同意を与えたり、同意を与えていない場合に、勝手にしてしまった契約を取り消せる権利。
成年後見人には、同意権は認められていません。
成年被後見人は、成年後見人の同意を得たとしても、違う行為をしてしまう可能性があるからです。
ただし、「日用品の購入その他日常生活に関する行為」は、取消しできません。
未成年者 | 被後見人 | 被保佐人 | 被補助人 | |
同意権 | 〇 | × | 〇 | △ |
追認権 | 〇 | 〇 | 〇 | △ |
取消権 | 〇 | 〇 | 〇 | △ |
代理権 | 〇 | 〇 | △ | △ |
動機の錯誤(どうきのさくご)
契約をするきっかけが、勘違いであった場合などのこと。
「動機の錯誤」の場合は原則として取消しができませんが、動機を相手に表示した場合は、表示行為の錯誤とすることができて、取消しができます。
表示の方法は、明示的(はっきり)でも黙示的(ふるまい)でもいいです。
同時履行の抗弁権(どうじりこうのこうべんけん)
相手方が履行の提供をしていなければ、自分も履行を拒めること。
相手方を履行遅滞だというためには、自分が履行の提供をしている必要があります。
な行
二重譲渡(にじゅうじょうと)
売主が同じ土地を2人の買主に売ってしまった場合、契約日ではなく、登記を早くした方が認められる。
任意代理権(にんいだいりけん)
本人の意思で、他人に与える代理権のこと。
他に、法定代理権もあります。



は行
配偶者居住権(はいぐうしゃきょじゅうけん)
夫婦の一方が亡くなった後、残された配偶者は、所有権を相続しなくても終身住み続けられる権利。
権利は譲渡できず、配偶者が亡くなれば消滅します。
なお、相続税はかかりません。
配偶者短期居住権(はいぐうしゃたんききょじゅうけん)
相続や遺贈で家が他の人に相続されても、被相続人と同居していた配偶者は、一定期間(建物の帰属が決定した日or相続開始時から6か月の遅い日)住み続けられる。
被保佐人(ひほさにん)
判断能力を欠いているとされる制限行為能力者のひとつ。
家裁から保佐開始審判を受ける必要があります。



被補助人(ひほじょにん)
判断能力を欠いているとされる制限行為能力者のひとつ。
家裁から補助開始審判を受ける必要があります。



秘密証書遺言(ひみつしょうしょいごん)
遺言書の内容を知られたくない場合に使用する遺言。
公証人が日付等を記入して、署名・押印して封印します。
検認が必要で証人も2人以上必要です。
表意者(ひょういしゃ)
意思表示をした者。
表見代理(ひょうけんだいり)
無権代理人が代理人に見える場合(本人に落ち度がある)は、無権代理であっても代理行為があったものとして、契約を有効とみなす制度。
本人の落ち度
- 授権表示
- 権限外
- 消滅後
表示行為の錯誤(ひょうじこういのさくご)
意思と表示が一致していないこと。
「表示行為の錯誤」は原則として取消しできます。
表題部(ひょうだいぶ)
不動産登記などの登記用紙の一部分。
- 登録申請義務がある
- 土地・建物のプロフィール
- 1か月以内に申請
- 申請がない場合は登記官が職権で登記できる
復代理(ふくだいり)
代理人に代わって代理人の仕事をする制度。
復代理人はあくまでも「本人の代理人」なので、復代理人がした契約は、本人がした契約になります。
不動産登記(ふどうさんとうき)
土地や建物の所在・面積のほか、所有者の住所・氏名などが確認できるもの。
- 建物の登記記録
- 土地の登記記録
弁済(べんさい)
債務の履行をして債務を消すこと。
- お金を借りているならお金を返さなければならない
- 土地を売ったのなら土地を引き渡さなければならない
ま行
未成年者(みせいねんしゃ)
18歳未満の者。
未成年者が単独で行った行為は取消しできます(本人または保護者)。
取消しできないケース
- 法定代理人の同意を得ている場合
「お菓子買いたい」「いいよ」 - 営業の許可を受けている場合
「喫茶店をやりたい」「いいよ」 - 処分を許された財産を処分する場合
「おこづかいをあげるね」「ありがとう」 - 単に権利を得、または義務を免れる場合
「借金を免除してあげるね」「ありがとう」
無権代理(むけんだいり)
代理権がないにもかかわらず、代理行為を行ったり、代理権限を超えて代理行為を行ったりすること。
代理権がないので、無権代理は効力を生じません。
ら行
履行遅滞(りこうちたい)
相当の期間を定めて相手に対して履行を催促し、履行がない場合に解除できる。
債務不履行解除は、解除をしてさらに損害賠償請求もできます。
履行不能(りこうふのう)
待っても履行できないので、直ちに解除できる。



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