賃貸借契約を学習するわ。
次に学ぶ「借地借家法」につながるモン。
本ブログでは、宅建士の試験科目「賃貸借」について要約しています。
宅地建物取引士を目指している方に向けて、下記の書籍を参考にして作成しました。
ほんのわずかでも、宅地建物取引士を受験される方の手助けになれたら幸いです。
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- 2015年より金融系ブログ作成
- ほったらかし投資が座右の銘
賃貸借契約のしくみ
お金をもらって貸している以上、きちんとした物を貸す必要があります。
賃貸借契約とは
土地や建物などを貸し借りする契約を、「賃貸借契約」といいます。
- 貸す人=賃貸人(ちんたいにん)
- 借りる人=賃借人(ちんしゃくにん)
- 賃借人に物の使用・収益をさせる義務
- 賃借人に賃料を請求する権利
- 賃貸人に賃料を支払う義務
- 賃貸人に物の使用・収益をさせるよう請求する権利
賃貸借契約の内容
存続期間
賃貸借の契約期間は50年を上限としています。
最短期間は定められていません。
50年を超える期間を設定した場合は、50年に短縮されます。
なお、期間を定めないで契約することも可能です。
対抗力
賃貸借契約における所有者が変わった場合、賃借人が借りる権利を主張するには対抗力が必要です。
民法では、賃借権の登記が対抗力となります。
賃借人は、賃借権の登記をしておけば賃借権を対抗(主張)できるのです。
賃借人が登記をしている場合に不動産が譲渡されたときは、不動産の賃貸人の地位は譲受人に移ります。
賃貸人の地位の移転は、賃貸物である不動産について所有権の移転登記をしなければ、賃借人に対抗できません。
具体的には、賃借人に賃料を請求できないなどです。
賃貸人の義務
使用収益させる義務
賃貸人には、物の使用・収益をさせる義務があります。
賃貸人は、お金をもらって物を貸している以上、使用に適した状態で貸さなければなりません。
修繕義務
壊れた場合には、修繕義務を負います。
賃貸人が修繕義務を怠って、まったく使用できなくなった場合は、賃借人は賃料の支払いを免れます。
また、賃貸人が修繕をしない場合や急迫の事情がある場合は、賃借人が修繕をできます。
必要費
賃貸人に負担義務のある費用(必要費)を賃借人が支出した場合、賃借人は直ちに賃貸人に請求できます。
有益費
利便性を高めるためや、改良のために支出した費用を有益費といいます。
有益費によって、価格の増加が現存する場合に限り、賃貸借契約の終了時に、「賃借人が支出した金額」「価値の増加額」のいずれかを賃貸人が選んで償還します。
賃借人の義務
賃料支払義務
建物の賃料は、原則として毎月末の支払いで後払いが原則です。
通知義務
賃借人は、賃借している物に修繕が必要なことを賃貸人が知らない場合は、賃貸人に通知しなければなりません。
修繕受忍義務
賃貸人が保存行為(修繕など)をする場合、賃借人は拒めません。
賃借人が保守点検のための立ち入りに、正当な理由なく応じず、賃貸物件の使用・収益に支障が生じた場合は、賃貸人は賃貸借契約を解除もできます。
原状回復義務
賃借人は、賃貸物件の引渡しを受けたあとに生じた損耗について、賃貸借契約が終了した際に元に戻す義務があります(原状回復義務)。
ただし、以下の場合は賃貸人が負担すべきとされています。
- 通常に使用収益により生じた損耗(通常損耗)
- 経年劣化によるもの
- 賃借人に帰責事由のない損耗(第三者による損耗)
更新と解約申し入れ
期間の定めのある場合
期間終了後も賃借人が使用を続けて、賃貸人が知りながらも異議を述べない場合、以前と同じ条件で更新されたとみなされます。
なお中途解約は、期間内に解約できるという契約(期間内解約条項)がある場合や、双方が合意(合意解除)した場合を除いてできません。
期間の定めのない場合
賃貸人・賃借人ともに、いつでも解約の申し入れをできます。
解約申し入れがあった場合、土地は1年経過後、建物は3か月後に終了します。
転貸・賃貸借の譲渡
転貸は「サブリース」ともいいます。
転貸・賃借権の譲渡
賃借人が、借りているものを又貸しすることを「転貸」といい、賃借権を他人に譲渡することを「賃借権の譲渡」といいます。
- 賃貸人の承諾が必要
- 無断でした場合、賃貸人は契約解除できる
- 背信的行為と認めるに足りない特段の事情がある場合は解除できない
転借人の扱い
- 転借人は、賃貸人に対して転貸借に基づく債務(賃借人の範囲)を履行する義務を負う
- 賃借人は、転借人に対して修繕義務を負う
- 賃貸不動産が転借人の過失により損傷した場合、賃借人は賃貸人に対し、保管義務違反として債務不履行に基づく損害賠償責任を負う
- 転借人がある場合の元の契約における正当事由*の判断にあたっては、転借人の事情が考慮される
賃料の請求
賃借権の譲渡をした場合、賃貸人は新しい賃借人にのみ賃料を請求できます。
賃貸人の承諾を得て転貸した場合、賃貸人は賃借人にも転借人にも賃料を請求できます。
転借人に請求する場合は、賃借料と転借料の安い方です。
敷金
敷金は、何かあったときのために預かっておくお金です。
敷金とは
敷金
賃借人が家賃を滞納などした場合は、賃借人は家賃を敷金からもらえます。
なお、敷金を家賃に充当しようという場合は、賃貸人からの主張は可能ですが、賃借人からの主張はできません。
また、賃料債務のほか、賃貸借契約終了時に発生する原状回復費用に充当することも可能です。
敷金返還と建物明渡し
敷金の返還債務と目的物の明渡しは、同時履行ではありません。
明渡しが先になります。
そのため賃借人は、敷金の返還を受けていないことを理由に、目的物の明渡しを拒めません。
敷金の継承
賃貸借契約中に賃貸人が変わった場合、敷金は新しい賃貸人に継承されます。
一方、賃貸借契約中に賃借人が変わった場合は、敷金は新しい賃借人には継承されません。
それではまた次回。
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