債務不履行?弁済?難しそうだわ~
債務不履行と損害賠償請求を中心に学ぶモン。
本ブログでは、宅建士の試験科目「債務不履行・弁済」について要約しています。
宅地建物取引士を目指している方に向けて、下記の書籍を参考にして作成しました。
ほんのわずかでも、宅地建物取引士を受験される方の手助けになれたら幸いです。
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- ほったらかし投資が座右の銘
債務不履行
約束を破れば、当然ペナルティがあります。
債務不履行とは
「債務不履行」とは約束違反のことです。
債務不履行
- 【履行不能】(履行できない)
- 【履行遅延】(履行できるのにしない)
債務不履行の場合、債権者は債務者に対して契約の解除ができます。
また、債務不履行が、債務者の責めに帰すべき(責任を負わせる)事由に基づく場合は、損害賠償の請求もできます。
損害賠償 | 契約解除 | |
債務者に帰責事由あり | 〇 | 〇 |
債務者・債権者に帰責事由なし | × | 〇 |
同時履行の抗弁権
売主の引渡しと、買主の支払いは「同時履行」の関係です。
したがって、相手方が履行の提供をしていなければ、自分も履行を拒めます(同時履行の抗弁権)。
相手方を履行遅滞だというためには、自分が履行の提供をしている必要があります。
- 解除による原状回復義務の履行
- 弁済と受取証書の交付
- 詐欺・強迫により契約が取り消された場合の返還義務
- 請負の目的物の引渡しと報酬の支払い
- 被担保債務の弁済と抵当権の登録抹消手続き(弁済が先)
- 弁済と債権証書の返還(弁済が先)
- 敷金の返還と建物の明渡し(明渡しが先)
履行遅滞の時期
債務者は、履行期(約束の期日)までは、自己の債務を履行する必要はありません。
履行遅滞になる時期
確定期限付きの債務 | 期限が到来したとき |
不確定期限付きの債務 | 以下のいずれか早いとき ・期限到来した後に履行の請求を受けたとき ・期限到来を知ったとき |
停止条件付きの債務 | 条件成就を債務者が知ったとき |
期限の定めのない債務 | 債務者が履行請求を受けたとき |
難しいわ。
債務者が、「履行しなければ」と思ったときだモン。
目的物の滅失(危険負担)
契約前に売買の目的物が滅失していたら、履行不能となり買主は解除できます。
さらに売主に帰責事由があれば、損害賠償請求ができます。
- 契約から引渡しの間に目的物が不可抗力で滅失=買主は支払いを拒絶できる
- 引き渡し後に目的物が双方の帰責事由なしに滅失=買主は支払いを拒絶できない(損害賠償請求・解除もできない)
全部他人物売買
他人のものを売る契約も有効です。
しかし、仕入れられなかった場合には、債務不履行(履行不能)として扱います。
損害賠償請求と解除
約束を違反されたら損害がでます。
その損害は請求できます。
損害賠償の請求
「損害賠償額」は、あらかじめ決めておけます。
損害賠償額をあらかじめ決めた場合には、損害額が多くても少なくてもその額になります。
あらかじめ損害賠償額を決めておくことで、債権者は損害額を証明することなく、予定賠償額を請求できるのです。
また、違約金を定めた場合は、違約金を損害賠償額の予定と推定します。
金銭債務
「金銭債務」とは、金銭の支払いを目的とする債務です。
約束した日に支払えなければ、約束した日から履行遅滞になります。
金銭債務に履行不能はありません。
常に履行遅滞となります。
期日に支払いができなければ、どのような理由があっても債務不履行になるので、債権者は損害の証明をしなくても損害賠償の請求ができます。
金銭債務は、不可抗力でも容赦なく債務不履行になってしまうのです。
損害賠償は、法定利率(3%)が原則だわ。
3%よりも高い場合は、それに従うんだモン。
解除
「解除」とは、一方の契約者からの意思表示によって、契約をなかったことにすることです。
契約を一度解除すると、撤回はできません。
なお、契約不履行があまりに軽微である場合は解除できません。
待っても履行できないので、直ちに解除できます。
相当の期間を定めて相手に対して履行を催促し、履行がない場合に解除できます。
債務不履行解除は、解除をしてさらに損害賠償請求もできます。
原状回復
解除後、すべてを元に戻すことを「原状回復義務」といいます。
ただし原状回復は、「もとに戻せばよい」というわけではありません。
- 金銭=金銭+利息
- 建物=建物+使用料
金銭であれば、金銭に預かっていた期間の利息をつけて返しますし、建物も使用料をつけて返します。
なお、解除により当事者が負う原状回復義務は、同時履行の関係です。
手付解除
手付にはいろいろな種類がありますが、宅建士試験で大事なのは解約手付のみです。
手付解除とは
「手付(てつけ)」とは、買主が売主に預けておくお金のことです。
一般的には、手付金を代金の一部として支払っておき、引渡しの日に残りの代金を支払います。
買主は売主に手付を預けておくことで、契約を解除できます(手付解除)。
- 【買主】手付放棄
- 【売主】手付倍返し
手付解除は、民法のルールにのっとった正当な解除なので、債務不履行にはなりません。
したがって、損害賠償請求などはできません。
- 【債務不履行解除】別途損害賠償請求できる
- 【手付解除】別途損害賠償請求できない
手付解除の時期
相手方が履行に着手する前であれば、手付解除できます。
なお、自分が履行に着手していても、相手が履行に着手していなければ手付解除できます。
- 物件の引渡し
- 所有権移転登記申請手続きに着手
- 内金・中間金を支払う
- 引っ越し業者との契約
弁済
貸したお金は、誰に返してもらっても構わないですよね。
弁済とは
「弁済」とは、債務の履行をして債務を消すことです。
弁済
- お金を借りているならお金を返さなければならない
- 土地を売ったのなら土地を引き渡さなければならない
弁済できる者
お金を貸していた場合、誰に返してもらっても構いません。
したがって、基本的には第三者が弁済することは可能ですが、債務者が第三者の弁済を嫌がっている場合は、基本的に弁済できません。
しかし債務者に対して、弁済をするについて正当な利益を有する第三者は弁済できます。
たとえば、保証人などです。
それに対して、親・兄弟・友人などは正当な利益を有する者ではありません。
弁済を受ける者
お金を借りている人が、別の人に返してしまった場合、基本的に弁済は無効となります。
しかし、受領権者としての外観を有する者に対して善意無過失で弁済した場合には有効です。
弁済による代位
第三者が債務者に代わって弁済したときに、第三者が債務者に対して請求することを求償(きゅうしょう)といいます。
求償するときに、元の債権者のもっていた抵当権などを、使えるようにしてもらえたら求償もしやすくなります(弁済による代位)。
債務者の承諾なしに、当然に代位可能です。
代物弁済
本来の給付とは異なる他の給付をすることで、債務を消滅させることを「代物弁済」といいます。
お金の代わりにキャベツで支払うなどです。
代物弁済には、債権者と債務者の間で契約が必要です。
債権消滅
- 所有権移転登記が完了(不動産の場合)
- 引渡し完了(その他)
供託による弁済
相手が金銭の受領を拒絶していても、相手が受けとっていない以上、支払う義務は消滅しません。
相手が金銭の受領を拒絶している場合、債務者は「供託所」にお金を預けることで、支払ったと同じ効果となります。
供託が可能な場合
- 債権者が受領を拒む場合
- 債権者が受領不可能な場合
- 弁済者に過失なく債権者が誰かわからない場合
それではまた次回。
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