本稿では、制限行為能力者の保護を中心に学ぶわ。
取引の安全よりも、弱者保護を優先しているんだモン。
本ブログでは、宅建士の試験科目「権利関係の制限行為能力者」について要約しています。
宅地建物取引士を目指している方に向けて、下記の書籍を参考にして作成しました。
ほんのわずかでも、宅地建物取引士を受験される方の手助けになれたら幸いです。
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制限行為能力者
民法は、判断能力が劣っている人(弱者)を守ります。
弱者保護を何よりも優先しているのです。
意思能力
契約には意思能力が必要です。
意思能力がない人(意思無能力者)がした契約は無効となります。
意思無能力者
- 泥酔状態の人
- 就学前の児童
- 認知症の人etc
制限行為能力者
単独で有効な法律行為をできる能力を「行為能力」といい、判断能力が不十分とみられる人を「制限行為能力者」といいます。
制限行為能力者
- 未成年者
- 成年被後見人
- 被保佐人
- 被補助人
制限行為能力者には、保護者を付けます。
たとえば、未成年者の親などです。
制限行為能力者
制限行為能力者が、単独(保護者の同意なし)で行った行為は取消しできます。
取消しは、制限行為能力者を保護するためのものなので、善意の第三者にも対抗(主張)できます。
ただし、制限行為能力者が、行為能力者であると信じさせるために、詐術(うそ)を用いた場合は取消しできません。
追認の催告
制限行為能力者と取引した側は、いつ契約の取消しをされるかわかりません。
そこで、取引した側を保護するために、1か月以上の期間を定めて、取引を「追認」するかどうかを催告できます。
追認
追認した場合は、取消しできません。
契約前は「同意」だわ。
契約後は「追認」だモン。
基本的には保護者に催告しますが、被保佐人・被補助人には本人に催告できます。
追認
また確答がなかった場合、基本的には追認となりますが、被保佐人・被補助人に催告して確答がなかった場合は、取消しとなります。
制限行為能力者の種類
民法では、未成年者と成年被後見人を特に厚く保護しています。
未成年者
18歳未満の者を「未成年者」といいます。
未成年者が単独で行った行為は取消しできます(本人または保護者)。
取消しできないケース
- 法定代理人の同意を得ている場合
「お菓子買いたい」「いいよ」 - 営業の許可を受けている場合
「喫茶店をやりたい」「いいよ」 - 処分を許された財産を処分する場合
「おこづかいをあげるね」「ありがとう」 - 単に権利を得、または義務を免れる場合
「借金を免除してあげるね」「ありがとう」
成年被後見人
成年被後見人とは、判断力のない者のことで、家裁から後見開始の審判を受ける必要があります。
成年被後見人には、成年後見人(法定代理人)がつきます。
未成年者と同じように、成年被後見人が単独で行った契約は取り消せますが、成年後見人(同意権がない)の同意を得て行った契約も取消しできます。
成年被後見人は、成年後見人の同意を得たとしても、違う行為をしてしまう可能性があるからです。
ただし、「日用品の購入その他日常生活に関する行為」は、取消しできません。
また、成年後見人が成年被後見人の住居を売却・賃貸するときには、家裁の許可が必要です。
被保佐人
被保佐人とは、成年被後見人ほどではないが、事理弁識能力が著しく不十分な者です。
家裁から保佐開始の審判を受ける必要があります。
被保佐人は、ほとんどの行為は単独でできますが、以下の2つは取消し可能です。
- 不動産の取引
- 不動産の賃貸借
被補助人
被補助人は、被保佐人ほどではないにせよ精神上の障害によって、事理弁識能力が不十分な者です。
家裁から補助開始の審判を受ける必要があります。
ほぼすべての行為は単独でできますが、取消権は家裁が被補助人ごとに選びます。
まとめ
未成年者 | 被後見人 | 被保佐人 | 被補助人 | |
同意権 | 〇 | × | 〇 | △ |
追認権 | 〇 | 〇 | 〇 | △ |
取消権 | 〇 | 〇 | 〇 | △ |
代理権 | 〇 | 〇 | △ | △ |
それではまた次回。
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