行政書士|合格への道【国家賠償法】

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クマ美

今回は、国家賠償法を学習するわ!

くまケン

判例を中心に学習するモン!

本ブログでは、行政書士の試験科目「国家賠償法」について要約しています。

行政書士を目指している方に向けて、下記の書籍を参考にして作成しました。

ほんのわずかでも、行政書士試験を受験される方の手助けになれたら幸いです。

記事を書いた人
  • 九州を拠点に自動車販売店を経営
  • 2015年より金融系ブログ作成
  • 2級ファイナンシャル・プランニング技能士
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目次

国家賠償法の全体像

国家賠償制度成立の経緯

大日本帝国憲法の下では、国家は過ちを犯さないと考えられており、国や公共団体の違法な行為により損害が発生したとしても、国民は損害賠償請求をできないとされていました(国家無答責の原則)。

もっとも、これではあまりに国民にとって不利益なので、日本国憲法は、17条という条文をおいて国や公共団体に対する損害賠償請求(国家賠償請求)を認め、これを受けて国家賠償法が作られました。

国家賠償法の仕組み

国家賠償法は、6条しかない法律です。

人(公務員)の行為により生じた損害については1条が、物(公物)により生じた損害については2条が、それぞれ国家賠償請求を認めています。

これにより、国や公共団体の違法な行為によって生じた損害については、大体の場合、金銭で穴埋めできます。

なお、3条~6条は、1条と2条に共通して適用されるルールを定めています。

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国家賠償法1条

要件

国家賠償法1条1項は、

  • 国または公共団体の
  • 公権力の行使に当たる
  • 公務員が
  • 職務を行うについて
  • 故意または過失によって
  • 違法
  • 他人に損害を加えたときは

国や公共団体が賠償する責任を負うとしています。

すなわち、上記をすべて満たした場合、国家賠償請求が認められます。

国または公共団体

国または公共団体とは、公権力の行使を行った者が所属する団体を意味します。

公権力の行使

公権力の行使とは、国や公共団体の活動から、純粋な私的経済作用と2条の対象となる公の営造物の設置・管理を除いたすべてのものを意味すると広く捉えられています。

したがって、公権力の行使には、行政権のみならず、立法権や司法権も含まれています。

また、公立学校における教師の教育活動や課外クラブ活動中に教師が生徒に対して行う監視・指導などの事実上の行為も含まれます。

公務員

公務員には、国家公務員・地方公務員のみならず、公権力の行使を委任されている民間人も含まれます。

なお、公権力の行使を行った公務員が誰であるかを特定できなかったとしても、一連の行為のうちのいずれかに故意または過失に因る違法行為があったのでなければ被害が生ずることはなかったであろうと認められ、かつ、これによる被害につき専ら国または公共団体が損害賠償責任を負うべき関係が存在するときは、国または公共団体は、損害賠償責任を負います。

職務を行うについて

国家賠償法1条1項は、公務員が「その職務を行うについて」と規定し、公務員による侵害行為が「職務行為」であることを要件としています。

しかし、職務行為を厳密に考えると、被害者の救済という観点から問題が生ずるため、最高裁の判例は、公務員が客観的に職務執行の外形を備える行為をし、これによって他人に損害を加えた場合、国または公共団体は、損害賠償責任を負うとしています(外形標準説)。

故意・過失

故意とはわざとという意味であり、過失とは不注意でという意味です。

違法性

違法とは、単に法令に違反するという意味ではなく、客観的に公正を欠くことを意味します。

最重要判例<<裁判官がした争訟の裁判の違法性

最重要判例<<パトカーによる追跡行為の違法性

最重要判例<<税務署長による所得税更正処分の違法性

なお、行政庁が法律上の規制権限を行使しなかったことにより国民が損害を受けた場合、法令の趣旨・目的やその権限の性質に照らし、著しく合理性を欠くときには、被害者との関係で違法となります。

損害の発生

損害には、生命・身体・財産に関する損害のほか、精神的損害も含まれます。

免責事由

国家賠償法1条1項には、使用者責任のような免責事由が規定されていません。

したがって、国または公共団体は、公務員の選任及びその公務の監督について相当の注意をしていたとしても、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償責任を負います。

損害賠償責任の性質

国家賠償法1条1項は、本来、賠償責任を負うべきなのは違法な行為をした公務員であるものの、公務員個人に支払い能力がないこともあるので、国または公共団体が公務員に代わって賠償責任を負担することを定めたものと考えられています(代位責任説)。

もっとも、損害を与えた公務員が完全に保護されるというのもおかしな話です。

そこで、公務員に故意または重過失があったときは、国または公共団体は公務員に対して求償できます。

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国家賠償法2条

要件

国家賠償法2条1項は、

  • 道路・河川その他の公の営造物の
  • 設置または管理に瑕疵があったため
  • 他人に損害を生じたときは

国または公共団体がこれを補所賠償する責任を負います。

すなわち、上記のすべてを満たした場合、国家賠償請求が認められます。

なお、他に損害の原因について責任を負うべき者があるときは、国または公共団体は、これに対して求償権を有します。

公の営造物

公の営造物とは、公物と同じ意味であり、国または公共団体の行政主体が、直接に公共目的のために使用させている有体物です。

したがって、公の営造物には、不動産のみならず動産も含まれますし、道路のような人口公物のみならず河川のような自然公物も含まれます。

設置・管理の瑕疵

瑕疵とは、通常有すべき安全性を欠いていることをいいます。

設置の瑕疵とは、公の営造物が成立当初から安全性を欠いていることをいい、管理の瑕疵とは、公の営造物の設置後に安全性を欠くようになったことをいいます。

なお、国家賠償法1条1項では、公務員の故意または過失が国家賠償請求の条件とされていましたが、国家賠償法2条1項では、公物を設置・管理する公務員の故意または過失が条件とされていません。

このように、故意または過失が条件とされていない損害賠償責任のことを無過失責任といいます。

もっとも、被告である国または公共団体において、損害の発生が不可抗力によるものであることを立証すれば、国家賠償法2条1項の責任を免れることができます。

道路の管理の瑕疵については、以下の判例があります。

最重要判例<<高知落石事件

最重要判例<<転倒した赤色灯標柱の放置

最重要判例<<故障車の放置

河川については、以下の判例があります。

最重要判例<<大東水害訴訟

最重要判例<<多摩川水害訴訟

公の営造物自体に物理的な瑕疵がなかったとしても、管理者が適切な制限を加えないままその映画を利用させたことにより、営造物の本来の利用者以外の第三者との関係で瑕疵が認められることがあります(機能的瑕疵)。

最重要判例<<大阪空港公害訴訟

免責事由

国家賠償法2条1項には、土地の工作物の占有者のような免責事由が規定されていません。

したがって、国または公共団体は、損害の発生を防止するのに必要な注意をしていたとしても、国家賠償法2条1項に基づく損害賠償責任を負います。

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国家賠償法3条~6条

1条と2条に共通して適用されるルールについて説明します。

賠償責任者

国家賠償法1条の場合、公務員を選任・監督している国や公共団体が、国家賠償法2条の場合、公の営造物を設置・管理している国や公共団体が、それぞれ国家賠償責任を負うのが通常です。

もっとも、どこが公務員をせんにん・監督しているか、どこが公の営造物を設置・管理しているかが不明確な場合もあり、誰に対して国家賠償請求をしてよいかわからないという事態もあり得ます。

そこで、3条は、公務員の選任・監督または公の営造物の設置・管理に当たる者と公務員の給与その他の費用または公の営造物の設置・管理費用の負担者が異なるときは、費用負担者もまた損害賠償責任を負うこととして、請求先を広げています。

他の法律の適用

国家賠償責任については、国家賠償法に規定がない事項については民法の規定が適用されますが、民法以外の他の法律に別段の規定がある場合は、その規定が適用されます。

つまり、

  • 民法以外の他の法律
  • 国家賠償法
  • 民法

の順で法律が適用されます。

最重要判例<<国家賠償法4条と失火責任法

担保補償主義

被害者が外国人である場合、日本で国家賠償請求をすることはできません。

しかし、ある外国において日本人が国家賠償請求をすることが保証されている場合には、その外国の人も日本で国家賠償請求をすることができます(相互保証主義)。

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取消訴訟と国家賠償請求訴訟の関係

行政処分が違法であることを理由として国家賠償請求をするためには、あらかじめその行政処分について取消しまたは無効確認の判決を得ておく必要はありません。

最重要判例<<課税処分の取消訴訟と国家賠償請求訴訟の関係

それではまた次回

大きいくまケン
くまケン

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この記事を書いた人

日々の相場の動きに動じない、「ほったらかし投資」についていろいろと語ってみました。
「ほったらかし投資」は、こころとからだにやさしい投資スタイルです。
今まで金融投資には興味が無かった方が、少しでも金融投資の世界に興味を持っていただけるとうれしいです。宮崎県出身 鹿児島大学法文学部卒 

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