相場が上がっても下がっても利益になる状態💘
デルタヘッジのことだモン!
一般的な投資(株式・先物・FXなど)は、相場の上下どちらかの動きが損益になります。
相場が上がれば利益で下がれば損失、または下がれば利益で上がれば損失(空売り)。
したがって、利益と損失の確率はおおよそ50%ということです。
確実に相場の流れを読めれば良いのですが、私たち個人投資家には無理な話しです...。
しかしオプションの世界では、将来の相場を読まなくても利益になる手法があります。
相場がこの先上がっても利益、下がっても利益の状態を作れたらすばらしいと思いませんか?
本記事では、安心できるポジションを作れる「デルタヘッジ」についてわかりやすく解説しています。
デルタヘッジをしっかりと理解すれば、難解なオプション戦略も ”ストンと腑に落ちる” ことでしょう。
デルタヘッジへようこそ💘
- 九州を拠点に自動車販売店を経営
- 2015年より金融系ブログ作成
- ほったらかし投資が座右の銘
デルタヘッジ
オプション取引において、デルタ値を基にオプションの価格変動リスクを回避(ヘッジ)する手法。オプションと原資産を合わせて売買することにより、原資産価格の変動による損益とオプション価格の変動による損益を相殺し、全体の損益をゼロにする。
野村證券
本記事のオプション取引は、「日経平均株価」を対象にしている「日経225オプション取引」です。
日経225オプション取引については、日経225オプションとは?|コール・プットなどの頭語を解説!をご参考ください。
また本記事は、オプション買いのデルタヘッジについて解説しています。
デルタ
デルタヘッジのデルタは、オプション参加者に大事な2つのことを教えてくれます。
デルタの数値は、-1から+1(0.1きざみ)で表されます。
かりにデルタが0.1であれば、日経平均株価が1円上がるとオプション料(コール)は0.1円上がり、コール側のイン・ザ・マネー(ITM)になる確率は10%です。
逆にデルタが-0.1であれば、日経平均株価が1円下がるとオプション料(プット)は0.1円上がり、プット側のイン・ザ・マネー(ITM)になる確率は10%です。
権利行使価格
以上のことから、デルタはオプション取引にとって最も重要で、最もわかりやすい指標といえます。
デルタについて詳しくは、初心者向け|オプション取引のデルタをわかりやすく解説します!をご参考ください。
デルタニュートラル
デルタヘッジとは、オプションと日経先物ミニを使って、相場の変動(上げ下げ)による損失を無くすことです。
具体的には、日経先物ミニ(デルタ=0.1)でポジションのデルタを相殺して0(ゼロ)に近づけます。
日経先物ミニについて詳しくは、先物取引はお小遣い程度で(´艸`)|わかりやすく解説します!をご参考ください。
デルタを0に近づける(損益線が平行になる)ことで、相場の上下による損益の差を無くすのです。
デルタヘッジ(ポジティブガンマ)
デルタをニュートラルにすることで、相場が右(上昇)へ行っても左(下落)へ行っても、損益はほぼ同じになります。
逆にデルタに傾きがあると、一方は利益でもう一方は損失なってしまいます。
デルタロングとデルタショート
デルタヘッジで利益確定
ロング・ストラドル
デルタをニュートラルにすれば、相場の動きが気にならなくなりました。
ということは、デルタニュートラルを使うことで、「利益確定」のポジションを作れそうです。
ロング・ストラドルは、日経平均株価が上下どちらに動いてもうれしい戦略ですが、大きく動きすぎるとデルタが1に近づいて先物と同じ値動きになってしまいます。
ロング・ストラドル
ロング・ストラドルについては、オプションの買い戦略|ロング・ストラドルとは?をご参考ください。
すなわち相場が大きく動きすぎると、利益も大きくなりますが、逆に利益が大きく減っていく可能性もあるのです。
そこで心配なので、デルタヘッジを使って利益を確定させます。
下のグラフは、ロング・ストラドルでエントリーした損益グラフです。
青線グラフはエントリー日で、赤線グラフはデルタヘッジした後になります。
デルタヘッジ(ロング・ストラドル)
ロング・ストラドルは、アット・ザ・マネー(ATM)のコールとプットを買うので、エントリー時点のデルタはほぼ0(+0.5と-0.5)でデルタニュートラルです。
その後相場が大きく上昇したので、利益がでている★の地点のデルタは0.7になりました。
★の地点で日経先物ミニを7枚売ることで、デルタが0に近づいて損益は赤線グラフに変化します。
すなわち、★を起点にして再びエントリーしたようなものです。
赤線グラフを見ればわかるように、今後日経平均株価が上がっても下がっても、利益は★の地点以下にはなりません。
むしろ、大きくどちらかに動いてくれたほうが、ガンマの作用で利益は大きくなります。
ガンマについて詳しくは、初心者向け|オプション取引のガンマとは?わかりやすく解説!をご参考ください。
ただし、オプションの買いポジションはセータが敵になるので、オプション料はセータの分だけ日々下がっていきます。
タイムディケイ
セータについて詳しくは、オプション取引|セータとは?わかりやすく解説します!をご参考ください。
また、インプライド・ボラティリティ(IV)の変動により、ベガの影響も受けるので注意が必要です。
オプションの買いポジションにとって、IVの上昇は追い風(利益)ですが、IVの下落は向かい風(損失)になります。
ベガの作用
ベガについて詳しくは、オプション取引|ベガとは?わかりやすく解説します!をご参考ください。
インプライド・ボラティリティ(IV)について詳しくは、オプション取引|ボラティリティをわかりやすく解説!をご参考ください。
- ガンマ=味方
- セータ=敵
- ベガ=味方にも敵にもなる
シミュレーション
実際に、シミュレーターで利益を確定してみます。
日経平均株価26,675円
オプション | 枚数 | 価格 | IV | デルタ | ガンマ | ベガ | セータ |
コール26,750円買い | 1枚 | 550円 | 21.01% | +0.491 | +0.000272 | +27.84 | -11.73 |
プット26,750円買い | 1枚 | 625円 | 21.07% | -0.509 | +0.000271 | +27.84 | -11.70 |
エントリー
日経平均株価が26,675円のときに、「コール26,750円」「プット26,750円」を買いました。
最大損失は、それぞれの支払いオプション料「550円+625円=1,175円」で、利益は無限大です。
15日後
15日後に、日経平均株価は「26,675円」から「28,270円」に上昇しました。
利益は379,000円です。
日経平均株価が「1,595円」動いた実績を残す(379,000円の利益を固定)ために、日経225先物ミニを日経平均株価28,270円のデルタ値(0.913)と同じくらい売ります。
デルタヘッジ(デルタニュートラル)
日経225先物ミニを9枚売ることで...
デルタを0に近づけることでデルタがほぼ平行になり、日経平均株価が上下どちらに動いても利益が確定されます。
「28,270円」の日経225先物ミニを9枚売ることで、日経平均株価が「28,270円」より上下どちらに動いても、損益が相殺されるようになるからです。
下図は、デルタヘッジをしなかった場合の損益表です。
その後の日経平均株価の下落で損失に転換しました。
デルタヘッジ無し
下図はデルタヘッジをした後の損益表です。
デルタヘッジ有り
その後日経平均株価は下落しましたが、日経225先物ミニを9枚売っていたおかげで、安定した利益が続きました。
デルタヘッジ実行
本記事のデルタヘッジは、オプションの買いポジションなので、オプション買いのねらい時について解説します。
オプション買いのねらい時
前述したロング・ストラドルだけではなく、オプションの買いすべてにおいて、IVの低いときが絶対条件です。
日経平均VIは、今後1か月で日経平均株価がどれくらい動くかを予測した指標なので、オプションの買い時を教えてくれます。
日経VI
オプション料が安いときに買って、高くなったら売ります。
- IVが低い=オプション料が安い
- IVが高い=オプション料が高い
ボラティリティ(相場の変動率)が上昇すると、相場が大きく動いてポジションがITMになる確率が高くなるので、オプション料も高くなるのです。
逆にボラティリティが下落すると、ITMになる確率が低くなり、オプション料は安くなります。
前出のシミュレーターでは、ロング・ストラドルのベガが2倍(27.84+27.84)になりました。
IVが上昇することで、オプション料の上昇にはずみがつきます。
メリット
デルタヘッジのメリットは、日経平均株価が上下どちらに動いても利益がでることです。
相場の動きを予測する必要はまったくありません。
日経225先物ミニを、デルタの動きにあわせて機械的に売り買いするだけです。
大きな利益はねらわずに、少ない利益を確実に取りに行きたい方に向いています。
デメリット
デルタヘッジは、相場が動かないと損失になります。
時間の経過によって、オプションの価格が下がってしまうからです(タイムディケイ)。
また、デルタの動きにあわせてポジション調整が必要になるので、手間がかかってしまいます。
「ほったらかし投資」には向いていません。
まとめ
デルタヘッジは、大変安心感のある投資スタイルですが、大きな利益を逃してしまう恐れがあります。
デルタヘッジ有りと無し
- 青線グラフでエントリー
- 相場が★へ上昇
- ★地点でデルタヘッジ(赤線グラフ)
- 相場が★へ上昇
- ★はデルタヘッジ無し
上図の★はデルタヘッジ後の利益で、★はデルタヘッジをしなかった場合の利益です。
デルタヘッジをしなければ、大きな利益をねらえます。
しかし逆に、大きな損失になる恐れもあります。
デルタヘッジをしながらコツコツと利益を重ねていく手法は、野球の送りバンドのようなものです。
ドカンとホームランをねらうのではなく、送りバンドで次の塁へ走者を進めながら1点を確実に取っていく。
デルタヘッジ戦略は、「手堅い戦法の高校野球」と同じようなものなのです。
高校野球の監督になったつもりで、オプションや日経先物ミニという選手たちを鍛えてください。
日々がんばって努力すれば、オプション取引(甲子園)で利益(勝利)をつかめると思います。
- 「ほったらかし投資」とは読んで字のごとく、商品を買ったあとは ”ほったらかし” ているだけの投資方法。
- 「ほったらかし投資」の中身はさまざまだが、投資のプロやAIに売買をまかせるというのが基本。
- 「ほったらかし投資」は、<初心者も始めやすい><少額から始められる><長期投資に有効な>投資方法。
それではまた。
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