オプション｜ショート・コール・バタフライをわかりやすく解説！

「選挙もあるし、日経平均株価は大きく動くだろう．．．」

「万が一動かなくても、あまり損はしたくない．．．」

「あわよくば、わずかな利益をもらいながらも、十分な利益をねらいたい．．．」

そのような、ワガママだらけの要望に応えられる取引．．．実はあるのです。

ただし基本は、少ない損失で ”ほどほど” に満足できる利益をねらいます。

運がよければ、損失なしで利益がねらえるかもしれません。

その名も【ショート・コール・バタフライ】

名前からしてもかっこいいですね（ ´艸｀）

本記事は、「小心でありながらも負けたくない投資家」に向けた内容となっています。

ショート・コール・バタフライへようこそ💘

ショート・コール・バタフライ

本記事のオプション取引は、「日経平均株価」を対象にしている「日経225オプション取引」です（日経平均株価とは？）。

日経225オプション取引については、日経225オプションとは？｜コール、プットなどの用語を解説！をご参考ください。

権利行使価格の低いオプションと高いオプションを1枚ずつ売り、中間値のオプションを2枚買う取引の組み合わせをショートバタフライと呼び、ロングストラドルと同様、相場の大変動を期待する戦略で、予想がはずれて相場が安定した場合の最大損失を限定する取引だが、ロングストラドルに比べて相場の小幅の変動でも利益が得られる代わりに、相場が変動した場合に得られる利益が限定される。

投資用語集

ねらい時

ショート・コール・バタフライは、「ロング・ストラドル」と同じように、日経平均株価が大きく動くと予想したときにねらうオプション戦略です。

ロング・ストラドルについては、オプションの買い戦略｜ロング・ストラドルとは？をご参考ください。

ロング・ストラドルとショート・コール・バタフライ

ロング・ストラドル	損失限定	利益無限大	最大損失大
ショート・コール・バタフライ	損失限定	利益限定	最大損失小

ロング・ストラドルの損失は限定ですが、ATM付近の高いオプション料を2つ支払うだけなので、利益無限大で損失は大きくなります。

一方のショート・コール・バタフライも損失限定ですが、オプション料を2つ支払うと同時に2つ受け取るので、利益限定で損失は小さくなります。

すなわちショート・コール・バタフライは、ロング・ストラドルの安心・安全バージョンですね（ ´艸｀）

コールだけではなく、「プットオプション」でもバタフライを組むことができます。

損益

ショート・コール・バタフライの損益

ショート・コール・バタフライは、基本的にアット・ザ・マネー（ATM）のコールを2枚買い、イン・ザ・マネー（ITM）とアウト・オブ・ザ・マネー（OTM）のコールを1枚ずつ売ります。

損益の状態（コール）

• アット・ザ・マネー（ATM）＝日経平均株価と権利行使価格が同じ状態
• イン・ザ・マネー（ITM）＝日経平均株価が権利行使価格を超えている状態
• アウト・オブ・ザ・マネー（OTM）＝日経平均株価が権利行使価格を超えていない状態

「ATMとITMの値幅」と「ATMとOTMの値幅」は同じで、満期日も同じオプションです。

損益図（下）からもわかるように、ショート・コール・バタフライは、「ロング・ストラドル」と「ショート・ストラングル」の合成版といえますね。

ショート・ストラングルの損失無限が、ロング・ストラドルの利益無限を打ち消しますが、ショート・ストラングルの利益限定が、ロング・ストラドルの損失大を小さくしてくれます。

ロング・ストラドルとショート・ストラングル

ショート・ストラングルについては、オプションの売り戦略｜ショート・ストラングルを分かりやすく解説をご参考ください。

組成

「ATMコール買い×2」「ITMコール売り×1」「OTMコール売り×1」それぞれの損益図が組み合わされて、ショート・コール・バタフライの損益図（太いグレー線）ができあがります。

組み合わせ

• ATMコール買い×2＝赤く太い点線
• ITMコール売り×1＝左側の青く細い点線
• OTMコール売り×1＝右側の青く細い点線

コール4つの組み合わせ

• ①～⑤＝「売りオプション料（受取）×2ー買いオプション料（支払）×2」
• ②～③＝「コール売り×1」
• ③～④＝「コール買い×2ーコール売り×1」
• ④～⑤＝「コール買い×2ーコール売り×2」

＊①～⑤の順に見ていくと理解しやすいです。

ギリシャ指標

ショート・コール・バタフライのギリシャ指標をそれぞれ見てみましょう（ギリシャ指標とは？）。

デルタ

ショート・コール・バタフライは、同じ値幅のコールを同じ枚数売り買いするので、デルタはほぼ0になります（デルタとは？）。

すなわち相場の上下が気にならない状態です（デルタニュートラル）。

デルタニュートラル

デルタについて詳しくは、初心者向け｜オプション取引のデルタをわかりやすく解説します！をご参考ください。

ガンマ

ガンマの値は、アット・ザ・マネー（ATM）付近で最も大きくなります（ガンマとは？）。

ガンマ

ショート・コール・バタフライは、ガンマの値が最大となるATMを買う（ポジティブガンマ）ので、相場は「大きく動いてほしい」と願う戦略になります。

したがって、ガンマはショート・コール・バタフライの味方になります。

ガンマの働き

ガンマについて詳しくは、初心者向け｜オプション取引のガンマとは？わかりやすく解説！をご参考ください。

セータ

セータの値も、ガンマと同じようにアット・ザ・マネー（ATM）付近で最大となります（セータとは？）。

したがってセータの働き（タイムディケイ）は、ショート・コール・バタフライの敵です。

なぜならセータの働きで、ATMで買っているオプション料が日々下がって損失が発生するからです。

しかしITMとOTMのプットを売っているので、損失は和らぎます。

セータについて詳しくは、オプション取引｜セータとは？わかりやすく解説します！をご参考ください。

ベガ

ベガの値は満期日から離れるほど大きくなります（ベガとは？）。

したがってショート・コール・バタフライは、たっぷりと日数を残してエントリーするほうが良いです。

ベガについて詳しくは、オプション取引｜ベガとは？わかりやすく解説します！をご参考ください。

手数料

約定代金に手数料が掛かるオプション取引では、当然約定代金が大きくなるほど手数料も高くなります（約定とは？）。

大手証券会社の手数料

証券会社	手数料	最低手数料
SBI証券	0.22％	220円
楽天証券	0.198％	198円
松井証券	0.22％	220円
マネックス証券	0.198％	198円
auカブコム証券	0.22％	220円

オプション取引では、日経平均株価が上がればコールのオプション料が高くなり、下がれば安くなります。

したがって、ショート・コール・バタフライの手数料を含めた損益図は以下の形になります。

手数料を含めた損益図

損益図を見るとわかる通り、相場の上昇（コールの価格上昇）で手数料が高くなる分利益が減っていますね。
＊取引の純粋な損益は、売りと買いで相殺されるのでプラスマイナス0

相場は上がらないと予想すれば、コールのバタフライ戦略をオススメします。

逆に下がらないと予想すれば、プットのバタフライ戦略がオススメです。

ショート・コール・バタフライ｜シミュレーション

日経平均株価が26,375円のときに以下のポジションを組みました。

オプション	枚数	価格
コール26,375円（ATM）買い	2枚	425円
コール26,250円（ITM）売り	1枚	505円
コール26,500円（OTM）売り	1枚	370円

• 最大利益＝受取りオプション料-支払いオプション料（ITM+OTM-ATM×2）
  • 25円＝505円+370円-425円×2
• 最大損失＝OTM（ATM）の権利行使価格-ATM（ITM）の権利行使価格-最大利益
  • 100円＝26,500円（26,375円）-26,375円（26,250円）-25円
• 損益分岐点＝26,275円（ITM側）
• 損益分岐点＝26,475円（OTM側）

最大損失100円、最大利益25円をねらいます。
＊オプションの金額は×1,000倍で計算

エントリー日から取引最終日（満期日直前）までの損益図からわかるように、期中の損益ラインはほとんど下がりません。

満期日近くになって、ようやく損益ラインが大きく下がりました。

ショート・コール・バタフライは、満期日まで持ち越してはいけない 戦略ですね。

満足できる利益に達したら、早々に利益を確定しましょう。

取引

今回のシミュレーションは、日経平均株価の急上昇でコールのオプション料が跳ね上がったときのものです。

運がよければ、「損失なしで利益だけの取引」というリスクゼロのポジションを取ることもできます。

まとめ

相場の大きな値動きを期待して、損失限定で利益をねらうショート・コール・バタフライ。

相場が大きく動けば利益になりますが、あまり動かなかったときには損失になります。

ショート・コール・バタフライでねらう相場は、ロング・ストラドルとほとんど変わりません。

あまり相場観に自信がないときは、ショート・コール・バタフライが良いでしょう。

しかし多少の自信があるときは、まずは大きな利益がねらえるロング・ストラドルを仕掛けても良いと思います。

その後あまり動く気配がなければ、ショート・ストラングルを組み入れて、ショート・コール・バタフライに変えてください（損失減少・利益限定）。

こころからだにやさしい「ほったらかし投資」には、損失限定のオプション戦略が必須です。

それではまた。

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