日経225オプション｜プットレシオスプレッドとは？わかりやすく解説

相場の動きを読めなくて、投資で損ばかりしていませんか？

わたし自身、相場を読むことはとっくの昔にあきらめています（ ´艸｀）

投資の基本は、下落相場にそなえることです。

一般的に、上昇相場はゆるやかで下落相場は急激な動きをします。

したがって、投資で利益を出しつづけるには、上昇相場よりも下落相場に注意しておく必要があるのです。

株式投資などで下落相場にそなえるためには、「空売り」や「インバース型ETF」などで対処できます（空売りとは？）。

しかし空売りやインバース型ETFは、相場が逆に上昇した場合には、利益どころか損失になってしまいます。

すなわち、「相場が上がるか下がるか」しかないのですね。

上がれば利益（損失）下がれば損失（利益）であれば、利益になる確率は50％のはずなので、「運がよければもうかるかも」とだれもが思うでしょう。

しかし．．．投資で利益を出す確率は、決して50％ではありません。

40％、30％、もしくはそれ以下かも．．．。

なぜなら投資家の欲望や感情が、利益になる確率を下げてしまうからです。

相場の「読み」をはずしても、利益になる取引があれば挑戦してみたいと思いませんか？

本記事では、「相場はどこまでも上昇していいし、ある程度下落してもいい」という都合の良い投資手法を紹介します。

プットレシオスプレッドへようこそ💘

プットレシオスプレッド

本記事のオプション取引は、「日経平均株価」を対象にしている「日経225オプション取引」です（日経平均株価とは？）。

日経225オプション取引については、日経225オプションとは？｜コール、プットなどの用語を解説！をご参考ください。

プットレシオスプレッド

オプションを買い、そのオプションよりもアウト・オブ・ザ・マネーのオプションを2倍数売るスプレッドポジションです。差し引きでプレミアムを受け取ることができれば、原資産の幅広い価格帯で利益を得ることが出来るのが特徴ですが、相場が予想に反した場合には無制限の損失が発生するリスクがあります。auカブコム証券

「プットレシオスプレッド」は、数あるオプション戦略のひとつです。

現在の日経平均株価に近いプットオプションを1つ買って、遠いプットオプションを複数売ります（プットオプションとは？）。

プットレシオスプレッド

買うオプションも、売るオプションも必ず同じ満期日です（満期日とは？）。

売りの合計オプション料（受け取り）を、買いのオプション料（支払い）よりも高くなるように組むことで、利益限定になります（オプション料とは？）。

逆に損失は無限大です。

利益と損失の範囲

プットオプションを買った地点から売った地点の間では、買いと売りの利益が重なるので、利益が左肩上がりに上昇します。

利益は山の形で上昇

プットレシオスプレッドは、一見プットオプションの単独売りに似ていますが、中身はまったくの別物。

プットオプションの単独売り

プットオプションの単独売りの利益はずっと平行ですが、プットレシオスプレッドの利益には夢があるのです（ ´艸｀）

プットレシオスプレッドの夢

インプライド・ボラティリティ

プットレシオスプレッドは、受け取るオプション料が支払いオプション料よりも多いので、空売りと同じ損益の形になります。

すなわち、オプション料が安くなると利益になるのです。

空売り

空売り＝オプション料が高いときに売って、安くなったら買いもどして利益になる。

したがってプットレシオスプレッドを組む場合、インプライド・ボラティリティ（以降IV）が高いときに仕掛けるようにします。

IVについては、オプション取引｜ボラティリティをわかりやすく解説！をご参考ください。

IVの上昇は、相場の値動きがより大きくなることを意味しています。

値動きが大きくなると、ポジションがイン・ザ・マネーになる可能性も高くなります（イン・ザ・マネーとは？）。

ポジション

すなわち需要と供給の関係で、IVが高いほどオプション料も高くなり、逆に低いほどオプション料も安くなるのです。

オプション取引では、ボラティリティの高低に目をつけて、高いオプションを売り、安いオプションを買うという手法が基本になります。

IV	ポジション	オプション料
高い	買い手｜権利を行使できる可能性が増える 売り手｜リスク増加	高い
低い	買い手｜権利を行使できる可能性が減る 売り手｜リスク低下	安い

以上のことから、プットレシオスプレッドは、相場が急激に下落（IVは上昇）したあと緩やかに上がりそうなときがねらい目といえます。

損失無限

「オプションの売りは怖い」とオプションの本などに書かれているように、プットレシオスプレッドの損失は無限大です。

オプション料の上昇には限界がないからです。

逆にオプションの買い手の損失は、支払うオプション料のみとなります。

買い手は自分に不利な取引をしなくてもいいからです（権利の破棄）。

売れる権利

損失が無限に大きくなる取引はやはり避けたいので、「損切り」の設定は必ずしてください（損切りとは？）。

損切りの設定には、「逆指値注文」を使います（逆指値注文とは？）。

逆指値注文と指値注文

タイムディケイ

オプション料は、時間価値の減少（タイムディケイ）によって毎日必ず下がっていきます。

オプション料の価値

そしてほとんどのオプションが、満期日には0円になるのです。

オプション料

オプション料の減少については、オプション取引｜セータとは？わかりやすく解説します！をご参考ください。

オプション料が毎日下がっていくのなら、オプションは売るほうがお得そうに思いがちです。

しかしオプション取引はうまくできていて、「ガンマ」がタイムディケイの「じゃま」をします。

相場が大きく動くと、ガンマが牙をむいてオプション料を跳ね上げるのです。

ガンマの働き

ガンマについては、初心者向け｜オプション取引のガンマとは？わかりやすく解説！をご参考ください。

プットレシオスプレッドにとって、セータが味方でガンマは敵。

調整

プットレシオスプレッドは、相場の状況に合わせた調整が必要となります。

【買いと売りの権利行使価格が広い】
＊売りの権利価格を固定

• 受け取るオプション料が少ない
• 最大利益が大きい
• 損失の拡大が小さい（デルタの傾きが小さい）

＊権利行使価格とは？

【買いと売りの権利行使価格がせまい】
＊売りの権利価格を固定

• 受け取るオプション料が多い
• 最大利益が小さい
• 損失の拡大が大きい（デルタの傾きが大きい）

デルタの傾き

デルタについては、初心者向け｜オプション取引のデルタをわかりやすく解説します！をご参考ください。

戦術

日経平均株価が26,200円のとき（12月24日）に、オプション25,000円を1枚買って、プットオプション24,750円を2枚売りました。

オプション	枚数	オプション料
プットオプション25,000円買い	1枚	93円
プットオプション24,750円売り	2枚	79円

＊実際の金額は×1,000倍

最大利益は、権利行使価格の差（25,000円－24,750円）＋受取オプション料（79円×2）ー支払オプション料（93円）＝315円で、損失は前述のように無限大となります。

エントリー日

• 水色グラフ＝エントリー日の損益
• 青色グラフ＝満期日の損益

エントリー日の損益グラフを見てください。

満期日に日経平均株価が24,740円の場合、最大利益に近い305円の利益になります。

しかしエントリー日に、日経平均株価が24,740円になった場合は313円の損失です。

3日後の損益グラフ

セータの影響で10日後の損益グラフは全体的に上昇しましたが、日経平均株価が24,740円の地点では、いまだに126円の損失です。

以上のことからわかるように、たとえ満期日の最大利益が大きくても、期中（取引中）は損失の状態なので判断がむずかしい戦略といえます。

今のポジションが満期日には大きな利益になることはわかっていても、損失を抱えたまま相場が上昇しつづけるのは精神的にキツイですし、証拠金をさらに増やす必要もでてきます（証拠金とは？）。

したがってプットレシオスプレッドは、イン・ザ・マネーを目指すのではなく、「離れたプットオプション売り」のつもりで挑むことをオススメします。

すなわち、満期日にポジションを自動決済（SQ決済）するのではなく、少ない利益でも早めに決済するのです。

プットレシオスプレッド（離れたプットオプション売り）は、利益になる確率が高い戦略なので、少ない利益で数を増やしていくほうがいいと思います。

満期日

また、もしも日経平均株価が大暴落して、プットオプションを売っている地点まで近づいてきたら、売っているオプションを買い戻してデビットスプレッドに切り替えてもいいですね。

デビットスプレッドについては、オプション取引｜デビットスプレッドとは？わかりやすく解説をご参考ください。

プット・デビットスプレッド

プット・デビットスプレッドに切り替えることで、日経平均株価が下落しつづけても利益が確定（236円）します。

逆に日経平均株価が大暴騰しても、損失は限定（14円）なので安心です。

もしくは、あまりにも日経平均株価の下落が強すぎる場合は、売っている先のプットオプションを買い増ししてもよいかもしれません。

まとめ

プットレシオスプレッドの最大のデメリットは、プットオプションを複数枚売るので証拠金が高くなることです。

売っているオプションの方が多いので仕方ありませんが．．．。

また、相場が上昇したときの利益or損失は限定されますが、予想以上に下落したときの損失は無限大です。

必ず損切りを設定して、状況に応じてデビットスプレッドを組み直すなどの調整をしてください。

売りと買いを同じ枚数にする

オプション初心者は、「遠いプットオプションの裸売り」のつもりで、安くて遠いプットオプションで組むことをオススメします。

受取オプション料は、せいぜい20円～30円くらいがよいでしょう。

現在の日経平均株価から遠く離れたプットオプションを売ることで、比較的リスクの低いオプション戦略になります。

プットレシオスプレッドで、こころからだにやさしい「ほったらかし投資」をはじめてみませんか。

それではまた。

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