金融資産に保険を掛けていますか?
生命保険や自動車保険は掛けているのに、金融資産に保険を掛けていない方は多いのではないでしょうか。
金融資産の保険って何のことかしら?
プットオプションのことだモン。
わたし自身も、取引で大損するまでは金融資産への保険など考えもしなかったです。
しかし景気がよくて、金融相場が右肩上がりのときにこそ、金融資産に保険を掛けておく必要があります。
保険の機能を有するということは、すなわち、このプットオプションという商品が日経平均の値動きと反対の動きをするように設計されている商品だということです。
日経平均が下がれば、プットオプションの値段が上がることになります。
ですから、このプットオプションを買っておけば、日経平均が下落する際、プットオプション価格の値上がり益で株等の損失をカバーすることができるというわけです。
北浜投資塾
○○ショックと呼ばれる大暴落は、これまで数年ごとに起こってきました。
大暴落にそなえて、しっかりとプットオプションで保険を掛けておきましょう。
過去の大暴落
- 1929年 ウォール街大暴落
- 1971年 ニクソンショック
- 1987年 ブラックマンデー
- 1991年 日本バブル崩壊
- 1997年 アジア通貨危機
- 2001年 ITバブル崩壊
- 2006年 ライブドアショック
- 2008年 リーマンショック
- 2020年 コロナショック
本記事では、安いプットオプションを購入して金融資産を守るための方法を紹介しています。
すなわち、金融資産に対する掛けすて保険です。
毎月のわずかな掛け金が、相場の大暴落に備えてくれます。
本記事は下記の書籍を参考にしています。
掛けすて保険へようこそ💘
- 九州を拠点に自動車販売店を経営
- 2015年より金融系ブログ作成
- ほったらかし投資が座右の銘
日経225オプション取引
本記事を読み進める前に、日経225オプションとは?|コール・プットなどの用語を解説!を読んでいただけると本記事が理解しやすくなります。
読んでみようかしら。
読んだほうがいいモン。
それではプットオプションについて説明します。
プットオプション
ある商品を将来のある期日までに、その時の市場価格に関係なくあらかじめ決められた特定の価格(=権利行使価格)で売る権利のこと。
野村證券
金融資産の掛けすて保険とは、日経平均株価から遠くはなれて安い「日経225オプション取引」のプットオプション(以下、プット)のことです(日経225オプション取引とは?)。
遠くはなれた安いプットについて、わかりやすく説明していきます。
- プットの買い手は、日経平均株価を売れる権利をもちます。
- プットの売り手は、買い手の売れる権利に応じる義務を負います(強制的に買わされる)。
プットオプション①
権利行使価格は29,000円(プット29,000)で、日経平均株価が30,000円から28,000円になったとします。
プット29,000の買い手は、28,000円になった日経平均株価を、権利行使価格29,000円で売れます。
プット29,000の買い手は、差し引き1,000円の利益(29,000円-28,000円)です。
逆にプットの売り手は、買い手の売れる権利に応じる義務がある(強制的に買わされる)ので、28,000円の日経平均株価を29,000円で買わなければなりません。
プットの売り手は、差し引き1,000円の損失(28,000円-29,000円)です。
プットオプション②
- プットの買い手にとって、前もって決めた価格より日経平均株価が下がると利益になり上がると損失。
- プットの売り手にとって、前もって決めた価格より日経平均株価が下がると損失になり上がると利益。
オプション料
現在の日経平均株価が30,000円のとき、日経平均株価を29,000円で売れる権利(プット)を「100円」(オプション料といいます)で買ったとします。
その後日経平均株価が29,000円に近づけば近づくほど、100円で買ったプットは「110円」「120円」と跳ねあがります。
*実際の金額は×1,000倍
プットオプション(3)
本記事で扱うプットは、掛けすての保険料と同じようなものとして見ています。
したがって、我々個人投資家にとって100円(実際は10万円)の掛けすて保険料は高すぎです。
そこで、現在の日経平均株価から離れている安いプット(数円)を買って、日経平均株価の大暴落にそなえます。
プットオプション(4)
オプションの買い手は、自分にとって不利な権利を放棄(取引しない)できます。
すなわち、オプションの買い手は利益がでていれば取引しますが、損失がでていれば取引をしなくてもいいのです。
取引をしない場合、買い手の損失は支払うオプション料のみとなります。
大暴落
世界の株式市場は、今日までいくつかの大暴落を繰り返しながらも上昇トレンドが続いています。
「2000年のITバブル崩壊」「2008年のリーマンショック」では、株価が半分ほどに下落することもありました。
だけど株価はもち直して、上昇トレンドにもどっていくわ。
「経済政策」「先進技術の発展」「先進国の政治の安定」などが、さまざまなショックにも負けずに、世界の株価市場を右肩上がりにしているのでしょう。
大暴落は数年ごとにやってくるモン。
しかし長期の上昇トレンドの中でも、株価が10%ほど下落することは珍しいことではなく、数年おきに大暴落は発生しています。
とくに2020年のコロナショックでは、NYダウが一時30%を超えて下落したこともありました(NYダウとは?)。
ダウ平均株価の大暴落
出来事 | 価格米ドル | 1月前比較(%) | 半年後上昇率(%) |
ITバブル崩壊 | 7,702.34 | ▲16.8 | 11.5 |
リーマンショック | 7,552.29 | ▲16.4 | 12.2 |
世界金融危機 | 6,594.44 | ▲18.4 | 41.2 |
米国債務格下げ | 10,809.85 | ▲14.6 | 19.0 |
チャイナショック | 15,666.44 | ▲10.8 | 4.6 |
米中対立 | 21,792.20 | ▲10.3 | 22.6 |
コロナショック | 18,591.93 | ▲35.9 | 48.8 |
上図は、NYダウ平均株価の代表的な大暴落を数値で表したものです。
大暴落が起こっても、半年後にはほとんどが大暴落前よりも上昇しています。
”大暴落時は買いだ” といわれる所以(ゆえん)ですね。
掛けすて保険
世界規模の大暴落が起こると、誰もが金融資産を失ってしまいます。
「めったには起こらないけれど、起きてしまったら大変なこと」には保険(生命保険や自動車保険など)を掛けますよね。
大暴落により金融資産を失うことは 、「めったには起こらないけれど、起きてしまったら大変なこと」 です。
しかしほとんどの投資家は、前述したように金融資産に保険を掛けていないのではないでしょうか。
家族や自動車には保険を掛けているのに、金融資産には保険を掛けていないのが現状です。
わたしも保険を掛けていないわ。
金融資産にも保険を掛けたほうがいいんだモン。
”大暴落は繰り返しやって来る”
また、現在の金融相場がバブルであれば、そのバブルに比例してやってくる大暴落は大きくなります。
人間は ”嫌なことはすぐに忘れる” ようにできています。
過去の大暴落を決して忘れずに、つぎに起こるであろう大暴落にしっかりとそなえましょう。
遠くて安いプット
遠く離れたプットと、ファープット買い(保険)について説明します。
あとで残念がるよりも今怖がるほうがずっといい
世の中の偉大な投資家たちは、大暴落を予見して、大暴落時に「買い」のポジションをとってきました(ポジションとは?)。
しかし我々一般の投資家は、大暴落の恐怖に勝てずに金融市場から退出してしまいがちです。
下がりつづける金融資産を買う勇気を、我々一般の投資家はもっていないのです。
下がりつづける金融資産を買う勇気をもっていないからこそ、「遠くて安いプット買い」という保険をもちましょう。
ファープットオプション買い戦略
遠くて安いプットを買って、ほったらかしにする「ファープット買い戦略」について説明します。
- 満期日までの日数が、できるだけたくさん残っているプットを買う。
- オプション料は、できれば1円もしくは2円のプットを買う。
日経平均株価が、権利行使価格以下のままSQ日(満期日)を迎えると利益がでて、権利行使価格を超えると損失になります。
しかしながら、ほとんどの個人投資家はSQ日前にポジションを決済(反対売買)します。
理由については、【日経225オプション取引】SQ日と手じまいをご参考ください。
SQ日
下の画像では、日経平均株価7,500円のプットに1円のオプション料が付いています。
日経225オプションの取引画面
プットのオプション料は、日経平均株価が下がると上がる仕組みなので、大暴落が来ると「何十倍」「何百倍」にもなります。
ほかの金融資産は大暴落で下がりつづけますが、プットは上がりつづけるのです。
プットは、コールと比べて値動きが大きくなります。
株価が上がる喜びよりも、株価が下がる恐怖のほうが大きいからです。
1円のプットであれば、かりに ”大暴騰(だいぼうとう)” が起きても、オプション料が下がる余地はまったくないので安心できます。
*1円のプットは、実際には1,000倍の1,000円で買うことになります。
ファープット買い戦略では、オプション料の安さ(1円)に加えて、できるだけSQ日が離れているプットを選ぶことも大事です。
1円のプットは100%掛けすての保険なので、SQ日に自動精算されるまでの日数は、多ければ多いほどお得になります。
また、高いプット(100円)を1枚買うよりも、安いプット(1円)を数十枚買う方が効率がいいです。
安いプットの方が、高いプットよりも大暴落したときの倍率(値上がり率)が大きくなるからです。
手持ち資金に応じて、1円のプットを10枚・20枚とまとめて買うことをオススメします。
指値売り注文
突然のプットの大暴騰(日経平均株価の大暴落)に備えて、「指値売り注文」の設定は必須です(指値売り注文とは?)。
指値注文
プットの買い値から100倍とか200倍というように、必ず売り値(指値売り注文)を設定しておきましょう。
また、指値注文の有効期限は「取引最終日」にしてください。
日経平均株価の大暴落はいつ来るか、誰にもわかりません。
まとめ
- ファープット買い戦略は、掛けすて保険だとしっかりと認識してください。
- 1円のプットが、仮に10円になっても売るのはやめましょう。
- そのまま放っておいたら、いずれは100円になるかもしれません。
ひとは誰でも、もらう喜びよりも失う悲しみの方が大きいもの。
投資でもしかり、株価が上がるよろこびよりも、株価が下がる恐怖のほうが大きいです。
ファープット戦略は、株価が下がる恐怖に目をつけた投資方法といえます。
ぜひ、ファープット戦略をあらたな投資方法として採り入れてみてください。
- 「ほったらかし投資」とは読んで字のごとく、商品を買ったあとは ”ほったらかし” ているだけの投資方法。
- 「ほったらかし投資」の中身はさまざまだが、投資のプロやAIに売買をまかせるというのが基本。
- 「ほったらかし投資」は、<初心者も始めやすい><少額から始められる><長期投資に有効な>投資方法。
それではまた。
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