クマ美は、3級ファイナンシャル・プランナー技能士なの。
次は、2級ファイナンシャル・プランナー技能士を目指すんだモン。
私たちの身の回りには、病気・事故・自然災害などさまざまなリスクが潜んでいます。
ファイナンシャル・プランナー(以下FP)の仕事は、できるだけリスクの損害を減らす対策を提案することです。
日常的なリスク
健康 | 財産 | 賠償 |
・病気 ・ケガ ・死亡など | ・火事 ・盗難 ・事故など | ・破損 ・破壊 ・衝突など |
上記のようなリスクの損害を減らすために保険があります。
本ブログでは、リスク管理の「法人契約の生命保険の経理処理」について要約しています。
2級FP技能士を目指している方に向けて、下記の書籍を参考にして作成しました。
ほんのわずかでも、2級FP技能士を受験される方の手助けになれたら幸いです。
- 九州を拠点に自動車販売店を経営
- 2015年より金融系ブログ作成
- ほったらかし投資が座右の銘
生命保険料の経理処理
法人が支払った生命保険料は、種類ごとに経理処理が異なります。
基本的な経理処理
損金は経費のことね。
算入は経費として計上することだモン。
定期保険の保険料を支払った(法人受取)
借方 | 貸方 |
支払保険料(損金算入) | 現金 |
終身保険の保険料を支払った(法人受取)
借方 | 貸方 |
保険料積立金(資産計上) | 現金 |
養老保険の経理処理
「契約者=法人」「被保険者=役員・従業員の全員*」という養老保険で、以下の要件を満たせば、支払い保険料の1/2を損金算入(福利厚生費)できます(ハーフタックスプラン)。
*全員を特定にすると給与扱い
- 満期保険の受取人=法人
- 死亡保険金の受取人=被保険者の遺族
ハーフタックスプラン
仕分け(ハーフタックスプラン)
借方 | 貸方 |
福利厚生費(資産計上) 支払い保険料(損金算入) | 現金 |
役員・従業員が退職したらどうなるのかしら?
解約返戻金として法人が受けとるモン。
個人年金保険の経理処理
「契約者=法人」「被保険者=役員・従業員」という個人年金保険で、保険料を支払った場合の経理処理は以下になります。
- 「死亡給付金受取人=法人」「年金受取人=法人」=資産計上
- 「死亡給付金受取人=遺族」「年金受取人=役員・従業員」=給与
- 「死亡給付金受取人=遺族」「年金受取人=法人」=以下の図
なお、被保険者を特定の役員・従業員にした場合、福利厚生費は給与になります。
定期保険・第三分野保険に係る保険料の取扱い
法人が以下の条件で保険料を支払った場合、最高解約返戻率に応じて一定の割合を資産計上します。
*2019年7月8日以降の契約
最高解約返礼率が50%以下、または保険期間が3年未満であれば全額を損金算入できます。
- 契約者=法人
- 被保険者=役員・従業員
- 保険期間=3年以上
- 定期保険・第三分野保険
- 最高解約返戻率が50%超え
最高解約返戻率 | 資産計上期間 | 資産計上期間の処理 | 取崩期間 |
50%以下 | なし | ・資産計上なし ・全額損金算入 | なし |
50%超70%以下 | 保険期間の40%相当 | ・40%資産計上(前払保険料) ・60%損金算入 | 75%期間経過から 期間終了まで |
70%超85%以下 | 保険期間の40%相当 | ・60%資産計上(前払保険料) ・40%損金算入 | 75%期間経過から 期間終了まで |
85%超 | 保険期間開始から 最高解約返戻率になる期間 | ・10年目まで=最高解約返戻率×90% 残りは損金算入 ・11年目以降=最高解約返戻率×70% 残りは損金算入 | 解約返戻金が 最大の期間から 期間終了まで |
最高解約返戻率が「50%超70%以下」かつ「年換算保険料が30万円以下」の契約については、資産計上は不要となります。
長期平準定期保険
一定の要件を満たした期間の長い定期保険を、「長期平準定期保険」といいます。
主に経営者向けで、死亡保険金受取人は法人です。
長期平準定期保険
- 保険期間満了時の年齢=70歳超え
- 契約時の年齢+保険期間×2=105超え
保険料の処理
期間の区分 | 支払い保険料の処理 |
前半6割の期間 | ・1/2損金算入* ・1/2資産計上** |
後半4割の期間 | ・全額損金算入 ・前半資産計上した金額を取り崩して損金算入 |
解約返戻金の経理処理
法人が解約返戻金を受けとると、資産計上してきた保険料積立金を取り崩します。
保険料積立金よりも解約返戻金が多い場合は、その差額を「雑収入」とし、少ない場合は「雑損失」として経理処理します。
例
保険料総額200万円のうち100万円を資産計上(100万円を損金算入)していた場合、200万円の解約返戻金があると、200万円ー100万円で100万円の雑収入となります。
払済保険の経理処理
役員の勇退時に、生命保険(契約者=法人・被保険者=役員)を払済保険に変更して現物支給できます。
終身保険から払済保険
経理処理
- 解約返戻金が保険料積立金よりも多い=雑収入で経理処理
- 解約返戻金が保険料積立金よりも少ない=雑損失で経理処理
役員勇退時の名義変更(終身保険)
役員の勇退時に、終身保険(契約者=法人・受取人=法人)を名義変更(契約者=役員・受取人=遺族)して現物支給できます。
法人から役員へ名義変更
経理処理
- 解約返戻金相当額が保険料積立金よりも多い=雑収入で経理処理
- 解約返戻金相当額が保険料積立金よりも少ない=雑損失で経理処理
保険金の経理処理
受取人が法人
法人が、資産計上している保険料なしに死亡保険金等を受けとった場合、全額を雑収入として益金参入します。
逆に資産計上している保険料がある場合は、死亡保険金等の方が多ければ差額を雑収入、少なければ差額を雑損失として経理処理します。
受けとった保険金・給付金は何に使ってもいいのよ。
見舞金でも事業費でもいいんだモン。
受取人が被保険者・遺族
保険金の受取人が法人以外(役員or従業員・その遺族)の場合、法人には一切の入金がありません。
死亡保険金等の支払いがあった場合に、法人に資産計上額があれば、雑損失として経理処理します。
借方 | 貸方 |
雑損失 ○○円 | 保険料積立金 ○○円 |
それではまた次回。
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