信用取引と株式投資は違うのかしら?
信用取引は、証券会社からの信用が必要な株式投資だモン。
投資初心者の方は、信用取引と聞いてもいまひとつピンと来ないかもしれません。
現物取引と信用取引
たとえば手持ち資金が100万円の場合、現物取引ならば100万円の取引しかできません。
しかし信用取引では、100万円の手持ち資金で約330万円の取引ができます。
くだけた言い方をすれば、「信用取引は証券会社に担保をあずけて、もっているお金の約3.3倍を借金して株式投資をすること」です。
信用取引=借金
信用取引を勉強してこれから信用取引をはじめたい方には、この記事は少々後ろ向きかもしれません。
わたし自身、信用取引をはじめた頃に、短期の売買をくり返して株式投資に疲れ果てた苦い経験があるからです。
そうした経験があるので、少々きびしめな記事に感じると思います。
- 信用取引をするには保証金がいくら必要か。
- 借金をしてまで株式投資をする理由。
- クロス取引。
- 現物取引にはない信用取引のメリットとデメリット。
- 信用取引の怖さ。
- 信用取引との付き合い方。
信用取引をはじめるのであれば、しっかりと勉強して、レバレッジ1倍からはじめてください。
信用取引へようこそ💘
- 九州を拠点に自動車販売店を経営
- 2015年より金融系ブログ作成
- ほったらかし投資が座右の銘
信用取引は借金と同じ
信用取引とは、顧客が委託保証金を証券会社に担保として預託し、資金又は証券を借りて売買を行う取引です。所定の期限内に、主に反対売買によって弁済します。委託保証金の約3倍までの売買ができること、信用売りが利用できることが主なメリットです。
日本取引所グループ
前述したように、信用取引とは証券会社から「お金」or「株式」を借りて株式投資をすることです。
銀行などからお金を借りるのと同じように、証券会社に信用してもらい、証券会社から「お金」or「株式」を借りて株式投資を行います。
保証金
証券会社に預けるお金や株式のことを保証金と言います。
保証金率=保証金÷約定代金×100
保証金維持率=(保証金±株価の値動き)÷約定代金×100
約定した株価の変動(保証金維持率)は、各々の証券会社で違いますが、約定代金に対して20%~25%以上必要です。
保証金と保証金維持率
決められた保証金維持率以下になると、保証金を追加しなければ強制的にポジションが決済されてしまいます(ポジションとは?)。
余裕のある保証金を用意しましよう。
信用買い
証券会社から「お金」「株式」を借りてでも、株式投資をする理由は2つあります。
1つめの理由は、レバレッジ(てこ)をかけて手持ち資金の約3.3倍の株式投資ができるからです。
たとえばもっているお金が100万円の場合には、100万円の株式しか買えないですが、信用取引であれば330万円の株式を買えます。
すなわち信用取引がうまくいけば、通常取引の3.3倍もの利益をだせるのです。
信用売り(空売り)
2つめの理由は、株価が下落しているときに売りから入ることで利益を出せるからです。
信用売りは、文章では伝えにくいので図で説明します。
信用売り(空売り)
株式市場で、株価が1,000円のときに証券会社から株式を借りる。
証券会社から株式を1,000円で借りたと同時に、株式市場で借りた株式を1,000円で売る(1,000円が手元に残る)。
株価が900円に下がったので、株式市場で株式を900円で買いもどす(900円を支払う)。
証券会社から借りていた株式は、証券会社に返さなければならないので、株価900円で買った株式を証券会社に返す。
手元に残った100円が利益(1,000円-900円=100円)。
信用売り(空売り)=借りる→売る→買う→返す
空売りは、ぜひ覚えておきたい手法だモン。
信用売り(空売り)をすることで、収益の機会が2倍に広がります。
クロス取引(つなぎ売り)
クロス取引は株主優待ねらいでよく利用され、「つなぎ売り」とも呼ばれます。
クロス取引を知らずに株主優待ねらいの取引をすると、かなりの確率で損をしてしまうので、ぜひクロス取引を覚えてください。
権利確定日
権利付最終日までに株主優待株をもっていれば、株主優待の権利を手に入れられます。
翌日の権利落ち日は、株主優待が目的だけの投資家が株を売るので、どうしても株価は下がりがちです。
株主優待の権利をゲットしても、株価が下がって損失がでればまったく意味がありません。
株主優待の価値>株価の下落+手数料
そこでクロス取引の出番です。
したがって、権利落ち日に株価が上がっても下がっても、まったく気にならないすばらしい取引なのです。
- 現物取引で株を買う|株主優待の権利をゲットする役割
- 信用取引で株を売る(空売りする)|株価の下落を帳消しにする役割
- 上記2つの取引を同時に行う|株価の変動による利益と損失を打ち消す
クロス取引の例
上図は、権利付き最終日に株価100円だった優待株が、権利落ち日には50円に下がったケースです。
たとえ権利落ち日に株価が下がっても、信用売り(空売り)の+50円が現物買いの-50円を消してくれます。
権利付最終日に優待株を持っていれば、1日だけの保有であっても株主優待をもらえる。
優待クロス取引は、1日だけの保有に目をつけた取引といってもいいでしょうね。
ただし、1日だけの保有では優待の権利をもらえない銘柄(めいがら)もあるのでご注意ください(銘柄とは?)。
信用取引は2種類
信用取引は、一般信用取引と制度信用取引の2つにわかれます。
一般信用取引
「一般信用取引は自由」と覚えてください(笑)
- 投資家と証券会社が直接取引する(相対取引)。
- 選べる銘柄は証券会社で違う。
- 証券会社が独自に金利や返済期限をきめられる。
- 金利は高め。
一般信用取引は、投資家と証券会社だけの信用取引となります。
一般信用取引
一般信用取引のメリット
制度信用取引(後に説明します)で発生する逆日歩(ぎゃくひぶ)は、一般信用取引では発生しません。
一般信用取引は投資家と証券会社だけの取引なので、信用売りの在庫がなくなった時点で取引は終了するからです。
したがって、優待クロス取引をする場合は一般信用取引の利用をオススメします。
一般信用取引のデメリット
- 制度信用取引とくらべて一般的に金利が高い。
- 信用売りに人気の株主優待銘柄は、権利付き最終日近くになると売り切れてしまう。
一般信用取引の保有期間はできるだけ短くして、気になる銘柄の在庫チェックは怠らないようにしてください。
制度信用取引
証券会社が勝手にルールを変更することはできません。
「制度信用取引は束縛」と覚えてください(笑)
- 証券金融会社と証券取引所の審査をパスした優良銘柄だけの取引。
- 返済期限は6か月以内。
- 金利は低め。
制度信用取引
一般信用取引は投資家と証券会社だけの取引ですが、制度信用取引には「証券金融会社」が加わります。
投資家が証券会社から株式を借りるときに、人気株(信用売り)は足りなくなることがあります。
株式が足りなくなると、証券会社は「証券金融会社」を通して機関投資家などから株式を借りるのですが、その株式を借りる費用を逆日歩といいます。
逆日歩は、制度信用取引の2つあるデメリットの1つです。
逆日歩(ぎゃくひぶ)
「売り手は逆日歩を支払う」「買い手は逆日歩を受けとる」という2つのことが、株式の在庫不足を解消する役目を果たします。
投資家に人気の優待クロス取引には、制度信用取引は向いていません。
理由は逆日歩が突然発生するからです。
貸株料などほかの手数料は、取引をはじめる前からわかっていますが、逆日歩は事前にわかりません。
貸株料の金利差と逆日歩をくらべたら雲泥の差です。
クロス取引は、できるだけ一般信用取引ではじめてください。
逆日歩は、制度信用取引の2つあるデメリットの1つなのね。
もう1つのデメリットを説明するモン。
制度信用取引では、すべての銘柄を信用売り(空売り)できません。
制度信用銘柄の中でも、半分ほどしか信用売り(空売り)ができないのです。
意外と知られていないので注意してください。
なお、信用買いはすべての銘柄で取り引きできます。
金利/貸株料
主なネット証券会社の金利(信用買い)
証券会社 | 金利 制度信用 | 金利 一般信用 |
SBI証券 | 2.80% | 2.80%(無期限) 0.00%(日計り) |
楽天証券 | 2.80% | 2.80%(無期限) 0.00%(いちにち) |
松井証券 | 3.10% | 4.10%(無制限) 0.00%~1.80%(一日) |
LINE証券 | 2.80% | ー |
CONNECT | 2.0% | ー |
主なネット証券の貸株料(信用売り)
証券会社 | 制度信用 貸株料 | 一般信用 貸株料 |
SBI証券 | 1.10% | 0.00%(日計り) 3.90%(短期) 1.10%(無期限) |
楽天証券 | 1.10% | 0.00% (いちにち) 3.90%(短期) 1.10%(無期限) |
松井証券 | 1.15% | 0.00%~1.80%(一日) 3.90%(短期上限) 2.00%(無期限) |
LINE証券 | 1.15% | ー |
CONNECT | 1.00% | ー |
一般信用取引の金利/貸株料は、各々の証券会社が独自に金利やネーミングを設定しています。
独自設定のせいか、証券会社の金利/貸株料をならべて比較する場合、少々複雑で見にくいのが欠点です。
なお、LINE証券やCONNECTのように、一般信用取引のサービス設定が無い証券会社もあります。
信用取引の怖さ
株式相場がとつぜん暴騰・暴落したとしても、現物取引は手持ちのお金を失うだけなのでまだいいです。
しかし信用取引で暴騰・暴落相場に出くわしてしまうと、追い証をつきつけられたりして、思いがけない借金を背負うことになるかもしれません。
こころの強い方は、”信用取引の恐ろしさ” からはい上がれるかもしれませんが、大抵の人は投資の世界から去ってしまいます。
投資の世界から去ってしまうだけならまだよいのですが、家庭崩壊や夜逃げなどとても残酷な現実がまちかまえている場合もあります。
現物取引に慣れてから信用取引
これから投資をはじめる方は、最初のうちは現物取引だけにとどめておきたいものです。
- 株主優待がもらえる(もらえない場合もある)。
- 配当金がもらえる(もらえない場合もある)。
- 決済期限がない。
- 投資資金以上に損をしない。
- 取引手数料が安い。
- 金利を取られない。
- 持っている株を貸せば貸し株料がもらえる。
- 借金のない取引。
- 実際に持っている資金以上の株は買えない。
- 買いからしか市場に参加ができない(空売りできない)。
- レバレッジをかけられないので資金効率が悪い。
信用取引はレバレッジ1倍から
くり返しますが、信用取引はリスクの大きい投資方法です。
信用取引をはじめるのは、現物取引で十分な経験を積んだのちに、しっかりと勉強してからでも遅くはないです。
現物取引に十分に慣れてから、まずはレバレッジ1倍から「信用取引を経験するくらい」がちょうどいいと思います。
- 「ほったらかし投資」とは読んで字のごとく、商品を買ったあとは ”ほったらかし” ているだけの投資方法。
- 「ほったらかし投資」の中身はさまざまだが、投資のプロやAIに売買をまかせるというのが基本。
- 「ほったらかし投資」は、<初心者も始めやすい><少額から始められる><長期投資に有効な>投資方法。
それではまた。
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